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令和四年四月二十二日提出
質問第五四号

改正労働契約法と有期雇用契約に関する質問主意書

提出者  神谷 裕




改正労働契約法と有期雇用契約に関する質問主意書


 我が国において多くの有期雇用労働者が大量に雇い止めされている問題について、お尋ねする。

一 我が国の労働者の約四割を占める有期雇用契約による非正規労働者の雇用安定化を目的として、「労働契約法の一部を改正する法律」が平成二十四年八月十日に公布された。有期労働契約が反復更新されて通算五年を超えたときは、労働者の申込みにより、無期契約に転換できるルールが平成二十五年四月一日に施行された。しかし、無期転換できた労働者はわずかであり、無期転換権の発生直前の雇止めが常態化している。
 1 改正労働契約法の趣旨どおり、無期転換権を得て無期雇用に移行した労働者の人数について、政府が把握するところをお示しいただきたい。
 2 多くの独立行政法人、企業等では、無期転換権の発生を阻止するために、更新五年上限の就業規則を設けているが、違法ではないか。政府の見解を求める。
 3 改正労働契約法の趣旨が無視され、無期転換が行われていないとすれば、この労働契約法が空洞化していると言わざるを得ない。この状態を放置するならば、その理由をお示しいただきたい。
二 厚生労働省は、参議院・厚生労働委員会(平成二十八年)、衆議院・厚生労働委員会(平成二十九年)において、「無期転換ルールを免れる目的で雇い止めをしているような事案を把握した場合には、都道府県労働局におきましてしっかりと啓発指導する」「無期転換申込権を行使しないことを更新の条件とする等、労働者にあらかじめ無期転換申込権を放棄させることを認めることは、法の趣旨を没却することなので、こうした労働者の意思表示については、公序良俗に反し、無効と解される」旨答弁している。
 1 厚生労働省の啓発指導に対してどのような対応があったのか、お答え願いたい。
 2 啓発指導に即した対応がなかった場合、政府は今後どのように指導するのか。
三 平成二十五年十二月公布の「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律」(平成二十六年四月一日施行)により、大学等及び研究開発法人の研究者、教員等については、無期転換権発生までの期間を五年から十年とする特例が設けられた。
 1 この特例に併せて二〇二二年度末の無期転換もしくは雇止めの状況について、政府が把握するところをお示しいただきたい。
 2 加えて、どのような業務形態・業務内容の方が雇止めの対象となっているか、政府の把握するところをお示しいただきたい。
 3 東北大学では約二百四十名が、理化学研究所では約六百名が、二〇二三年三月末に雇い止めされる可能性がある。無期転換権の発生直前の雇止めであり、労働契約法に反していないか。
 4 二〇二三年三月末には、日本全国で数千名の教員・研究員が職を追われると推測される。雇い止めされるのは主に若手研究者である。日本の研究力の低下に拍車をかけ、科学技術力を損なう重大な事態である。これを放置することは、政府としての責任を問われることになるが、いかがか。
 5 五年雇止めも、この十年雇止めも、労働契約法の潜脱であり、有期労働契約の労働者の雇用が法改正により不安定になっている。改善に向けた政府としての対応方針をお示しいただきたい。

 右質問する。

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