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平成十八年十月十七日受領
答弁第五一号

  内閣衆質一六五第五一号
  平成十八年十月十七日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員山口俊一君提出障害者自立支援法の運用と障害者施策の充実に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山口俊一君提出障害者自立支援法の運用と障害者施策の充実に関する質問に対する答弁書



一について

 障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号。以下「法」という。)に基づく利用者の所得区分及び当該区分に係る負担上限額については、介護保険制度等他の社会保障制度における利用者の所得区分及び当該区分に係る負担上限額との均衡を図る観点から設定しているものであり、これらを見直すことは、社会保障制度全般にかかわる問題であることから、慎重に検討する必要があると考えている。

二について

 食費、光熱水費等の実費については、障害の有無又は在宅若しくは施設入所の別にかかわらず、等しく必要となる費用であることから、原則、障害福祉サービス(法第五条第一項に規定する障害福祉サービスをいう。以下同じ。)を利用する障害者(法第四条第一項に規定する障害者をいう。以下七についてまで同じ。)又は障害児(同条第二項に規定する障害児をいう。以下同じ。)の保護者(同条第三項に規定する保護者をいう。以下同じ。)が負担すべきものであると考えている。ただし、障害者又は障害児の保護者の所得の状況その他の事情をしん酌して、食事の提供に要した費用及び居住に要した費用について、特定障害者特別給付費(法第三十四条に規定する特定障害者特別給付費をいう。)を支給する等負担の軽減を図る仕組みを講じているところであり、食費及び光熱水費に係る負担については十分配慮している。

三について

 法に基づく利用者負担の上限額については、障害福祉サービスを利用する障害者と同一の世帯に属する者の所得に基づいて設定することとしているが、これは、一般に世帯が社会生活上の単位として住居及び生計を共にする者の集まりであることから、利用者における負担能力に応じた負担の軽減を図るに当たり、同一世帯の他の構成員の所得の状況が考慮されるべき重要な要素であると考えられることによるものである。
 なお、障害者が、当該障害者と同一の世帯に属する者(当該障害者の配偶者を除く。)の扶養親族(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第二十三条第一項第八号に規定する扶養親族をいう。)及び被扶養者(健康保険法(大正十一年法律第七十号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。他の法律において準用する場合を含む。)又は地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)の規定による被扶養者をいう。)に該当しないときは、障害者及び当該障害者と同一の世帯に属するその配偶者のみの所得に基づいて負担の上限額を設定することができることとしており、世帯における生計の実態に即した取扱いを認めているところである。

四について

 法においては、障害福祉サービスに要する費用の一割を利用者が負担することを原則としているが、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)に基づく障害基礎年金のみで生活している者等資産が少ない者に配慮して、障害者自立支援法施行令(平成十八年政令第十号)附則第十一条の規定に基づき負担の上限額を減額する措置(以下「個別減免」という。)を講じている。このため、個別減免の適用に際して、障害者の預貯金等の状況を確認することとしているものであるが、飽くまでも、個別減免の適用を受けようとする者自らの申請に基づき実施しているものであり、プライバシーを侵害するものではないと考えている。
 また、個別減免を適用するに当たっての預貯金等の額の基準については、そもそも個別減免が負担能力が低い者の負担をより軽減するために設けられている仕組みであることを踏まえ、同様に低所得者に対して配慮を行っている租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第三条の四により読み替えられた所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第十条に基づく障害者等の少額貯蓄非課税制度における非課税限度額等を参考として設定したものであり、妥当な水準と考えている。

五について

 障害福祉サービスについては、そのサービスに要する費用の一割を利用者が負担することを原則としつつも、障害者の家計に与える影響等の事情をしん酌して負担の上限額を設定するなど、国民年金法に基づく障害基礎年金のみで生活している者であっても、利用者負担がその範囲内に収まるよう、負担の軽減措置を講じている。
 また、法附則第三条第三項において「政府は、障害者等の福祉に関する施策の実施の状況、障害者等の経済的な状況等を踏まえ、就労の支援を含めた障害者等の所得の確保に係る施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされており、就労の支援を含めた障害者等(法第二条第一項第一号に規定する障害者等をいう。以下同じ。)の所得の確保に係る施策の在り方について今後更に検討を進めてまいりたい。

六について

 障害福祉サービスを提供する事業者に対する報酬の支払方式は、法の施行に伴い、日々の利用実績は問わずに毎月一定額を支払う月払方式から、日々の利用実績に応じた日払方式へと改めたところである。これは、法による障害福祉サービスの利用実績に応じた利用者負担の導入に対応したものであり、また、複数の障害福祉サービスを組み合わせて利用するなど、利用者のニーズに応じた障害福祉サービスの選択が可能となることからも、日払方式とすることが適当であると考えている。
 なお、日払方式の導入に当たっては、利用者の利用状況等を勘案した上で施設の運営に必要な報酬額を設定する等の配慮に加え、一定の条件の下で定員を超えた利用者の受入れを認めること等積極的な規制緩和を進めることにより、柔軟かつ円滑な事業運営が可能な制度としている。

七について

 法第四条第四項に規定する障害程度区分については、介護保険における要介護認定(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第十九条第一項に規定する要介護認定をいう。)を行う際の七十九の調査項目に、障害者の特性をより反映させるため新たに設定した二十七項目を追加した合計百六の項目について調査を行い、さらに、法第十五条に規定する市町村審査会において医師の意見等を踏まえて総合的に検討した上で、認定を行う仕組みとしたところである。
 また、認定調査員に対する研修を制度化し、認定調査員の質の向上を図っているほか、障害程度区分の認定の参考となるよう障害程度区分の判定事例等を自治体に情報提供したところであり、こうした取組により、個々の障害者の特性を踏まえた適切な認定が行われるものと考えている。
 なお、法附則第三条第一項において、法の施行後三年を目途として法の規定について検討することとされており、障害程度区分の認定方法等についても施行状況を注視した上で、必要に応じ検討してまいりたい。

八について

 法附則第六十二条の規定による社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)の一部の改正により、社会福祉法人でなくとも、特定非営利活動法人、医療法人等の法人格を有する者であって、かつ、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準(平成十八年厚生労働省令第百七十四号)等の一定の基準を満たしているものについては、いわゆる小規模作業所も含め、障害福祉サービス又は地域活動支援センター(法第五条第二十一項に規定する地域活動支援センターをいう。以下同じ。)の実施主体への移行が可能となっている。
 いわゆる小規模作業所がこれらの法定の事業へ移行する場合には、地域活動支援センターとなることが多いものと見込まれるが、地域活動支援センターについては、いわゆる小規模作業所の実態も勘案しつつ、創作的活動、生産活動その他地域の実情に応じた柔軟な事業展開が可能としたこと、及び十人以上の人員を利用させることができる規模を有し、かつ、職員は二名以上であれば運営を可能としたことから、いわゆる小規模作業所からの円滑な移行が可能であると考えている。

九について

 法第八十八条に規定する市町村障害福祉計画(以下「障害福祉計画」という。)の作成に際しては、同条第五項において住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとされており、さらに、同条第六項において障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)第二十六条第四項に規定する地方障害者施策推進協議会を設置する市町村においては、同協議会の意見を聴かなければならないこととされている。
 また、障害福祉サービス及び相談支援並びに市町村及び都道府県の地域生活支援事業の提供体制の整備並びに自立支援給付及び地域生活支援事業の円滑な実施を確保するための基本的な指針(平成十八年厚生労働省告示第三百九十五号)においては、障害福祉計画の作成に当たって留意すべき基本的事項として、障害者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずることとしたほか、障害福祉計画を地域の実情に即した実効性のある内容のものとするために、障害福祉サービスを利用する障害者等や障害福祉サービスを提供する事業者等の関係者の意見を反映するために、必要な措置について具体例を示したところである。

十について

 平成十六年の障害者基本法の改正において、同法第三条第三項に「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。」こと等が規定されたところであり、政府としては、啓発・広報活動の一層の推進により、国民生活における障害を理由とする差別禁止理念等の徹底を図ってまいりたい。
 新たな法制の検討については、障害者を取り巻く社会経済情勢の動向等を踏まえつつ、必要に応じ今後検討してまいりたい。



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