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平成二十八年十月二十五日受領
答弁第六八号

  内閣衆質一九二第六八号
  平成二十八年十月二十五日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員仲里利信君提出米国海兵隊のハリアー戦闘攻撃機墜落事故の原因究明と飛行再開に対する日米両政府の対応等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員仲里利信君提出米国海兵隊のハリアー戦闘攻撃機墜落事故の原因究明と飛行再開に対する日米両政府の対応等に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)第六条の規定に基づき我が国に駐留する米国軍隊(以下「在日米軍」という。)による事故は本来起きてはならず、今回のAV八ハリアー(以下「AV八」という。)の墜落事故(以下「本件事故」という。)の発生は遺憾である。本件事故の発生を受けて、政府として、米側に対して、様々な機会を通じ、遺憾の意を伝えるとともに、原因の究明及び再発防止の徹底について厳しく申入れを行ったところであり、引き続き、米側に対して更なる情報提供及び万全の安全対策を求めるとともに、情報が得られ次第、関係地方公共団体に対して速やかに連絡を行ってまいりたい。

三及び四について

 沖縄の日本復帰以降の沖縄県内における米軍機の墜落事故の件数については、政府として確認できる範囲では、二十九件である。その内訳としては、軍種別に、陸軍が零件、海軍が一件、空軍が七件、海兵隊が二十件及び不明が一件であり、機種別に、CH四六が八件、CH五三が六件、F四が三件、AV八が二件、UH一が二件、F一五が一件、A四が一件、OV一〇が一件、T四一が一件、HH三が一件、HH六〇が一件、SH二が一件及び不明(無人機)が一件である。
 お尋ねの「墜落事故の原因」、「事故原因が究明・公表されない前に飛行や訓練を再開した件数」及び「原因の究明が行われ、再発防止に繋がった事例」について網羅的にお答えすることは困難であるが、政府として確認できる範囲では、例えば、平成十六年八月のCH五三の墜落事故(以下「CH五三の墜落事故」という。)、平成二十年十月のT四一の墜落事故(以下「T四一の墜落事故」という。)及び平成二十五年八月のHH六〇の墜落事故(以下「HH六〇の墜落事故」という。)について、それぞれの@原因及びA再発防止策をお示しすると、次のとおりである。
 CH五三の墜落事故
  @コッター・ピンがテール・ローター・サーボの接続ボルトに正しく装着されていなかったこと A事故の原因となった部分の点検について、パイロットの飛行前点検のチェックリストに追加すること等
 T四一の墜落事故
  @嘉手納飛行クラブ所属の米空軍の事故機のパイロットが不適切な燃料計画で飛行したこと A嘉手納飛行場を出発する同クラブの全ての飛行について、燃料補給なしでの飛行を三時間以内又は搭載可能燃料の六十パーセントで行える距離の飛行に制限すること等
 HH六〇の墜落事故
  @事故機のパイロットが編隊飛行していた後続機との空中衝突の危険性があると誤認し、過度な急降下を行ったこと A編隊飛行において方向転換する際の他機への連絡を徹底すること
 また、T四一の墜落事故の事故機と同型機の飛行再開は、当該墜落事故の原因を公表した後に行われたが、CH五三の墜落事故及びHH六〇の墜落事故の事故機と同型機の飛行再開は、当該墜落事故の原因を公表する前に行われたと承知している。
 墜落事故の発生については、一般的に、様々な要因によるものと考えられるので、お尋ねの「なぜ米軍機の墜落事故が後を絶たないのかという理由」について一概にお答えすることは困難であるが、米軍機の墜落事故は遺憾であり、本来起きてはならないものであり、政府としては、引き続き、米側に対し、米軍機の飛行に際しての安全確保を求めていく考えである。

五及び七について

 在日米軍は、本件事故を受けて、安全を最大限に確保するため、航空機部隊の隊員及び整備員に対する徹底的な安全確認、航空機の安全・技術等に関する手順の検証、日本国内に駐留する全てのAV八の徹底的な調査等のできる限りの措置を講じた結果、安全に飛行を行う態勢が整ったと判断し、飛行再開したものと承知している。
 政府としては、在日米軍が実施した全ての安全確認の措置について、その目的や実施方法を確認するとともに、防衛省・自衛隊における専門的知見を活用して評価を行った結果、一定の妥当性を確認したものである。
 政府としては、米側に対し、引き続き、事故原因の究明と万全の安全対策を求めるとともに、更なる情報が得られ次第、関係地方公共団体に対し速やかに連絡を行っていくこととしている。

六について

 過去のAV八の墜落事故について、政府として必ずしも詳細を承知しているわけではなく、お答えすることは困難である。

八について

 政府としては、本件事故発生以来、様々なレベルで米側に対し、より詳細な情報の提供及び安全確認のため実施してきた措置の内容の説明を求めてきた。在日米軍から、AV八の安全性を確認できたことから平成二十八年十月五日に記者会見を行い、その会見において、同月七日以降に飛行再開する旨発表するとの連絡を同月四日に受け、同日、これを沖縄防衛局から沖縄県に伝えたところである。
 その後、政府としては、同月六日までに、在日米軍が実施した全ての安全確認の措置について、その目的や実施方法を確認するとともに、防衛省・自衛隊における専門的知見を活用して評価を行った結果、一定の妥当性を確認したところであり、「政府関係者がひたすら事実を隠そうとしている」との御指摘は当たらない。

九及び十について

 御指摘の「政府が言うように「評価できる」もの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、在日米軍は、本件事故を受けて、安全を最大限に確保するため、航空機部隊の隊員及び整備員に対する徹底的な安全確認、航空機の安全・技術等に関する手順の検証、日本国内に駐留する全てのAV八の徹底的な調査等のできる限りの措置を講じた結果、安全に飛行を行う態勢が整ったと判断し、飛行再開したものと承知しており、また、米側として関係地方公共団体に対して透明性を高め、説明責任を果たすという観点から、平成二十八年十月五日に記者会見で説明を行ったものと承知している。政府としては、米側に対し、引き続き、更なる情報提供及び万全の安全対策を求めるとともに、情報が得られ次第、関係地方公共団体に対して速やかに連絡を行っていくこととしている。また、在日米軍が使用を許されている水域及び空域の在り方については、関係地方公共団体、住民等からの返還、使用方法等に関する要望及び在日米軍の必要性を勘案しつつ、随時、米国と協議してきている。今後とも、個々の水域及び空域の実情を踏まえながら適切に対応していく考えである。

十一について

 御指摘の「嘉手納ラブコン管制空域」は、那覇進入管制区を指すものと思われるが、同区の管制業務は、平成二十二年三月に米国から我が国に移管されている。また、同区においては、複数の飛行場が近接して設置されていることから、安全上の観点より、那覇空港を離着陸する民間航空機及び自衛隊機並びに嘉手納飛行場及び普天間飛行場を離着陸する米軍機に対して、それぞれ飛行高度を指定しているところである。
 在日米軍が使用を許されている水域及び空域については、関係地方公共団体、住民等からの返還、使用方法等に関する要望及び在日米軍の必要性を勘案しつつ、随時、米国と協議してきている。今後とも、個々の水域及び空域の実情を踏まえながら適切に対応していく考えである。

十二について

 沖縄は、米国本土、ハワイ等と比較して、東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離をおいている等の利点を有している。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、こうした地理上の利点を有する沖縄に、高い機動性や即応性等により在日米軍の重要な一翼を担う米海兵隊や米空軍等の部隊が駐留することは、我が国の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与していると認識しており、沖縄に駐留する在日米軍の撤退を求めることは考えていない。



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