答弁本文情報
平成三十年一月三十日受領答弁第八号
内閣衆質一九六第八号
平成三十年一月三十日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員阿部知子君提出東京電力原子力事故後に行われている甲状腺検査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員阿部知子君提出東京電力原子力事故後に行われている甲状腺検査に関する質問に対する答弁書
一について
政府は、福島県に対し、原子力被災者等に対する長期及び短期の健康管理・調査事業を行うための福島県民健康管理基金を造成するための交付金を支出しており、同県は、同基金を用いた県民健康調査(平成二十五年度以前は県民健康管理調査。以下同じ。)の一部として、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故(以下「事故」という。)の発生時に概ね十八歳以下であった住民等に対して、甲状腺検査を実施しているものと承知している。
福島県「県民健康調査」検討委員会(平成二十五年度以前は福島県「県民健康管理調査」検討委員会。以下「委員会」という。)は、県民健康調査に関し、専門的な見地から広く助言を得るために設置されているものと承知している。環境省大臣官房環境保健部長(平成二十九年七月十三日以前は環境省総合環境政策局環境保健部長)は、県民健康調査の実施方法等の検討に関すること、県民健康調査の進捗管理及び評価に関することその他県民健康調査の実施に必要な事項に関することに関し、その知見の範囲内で必要に応じ助言を行うために、平成二十四年九月十一日に開催された第八回の委員会から委員会の委員となっている。
福島県が造成した福島県民健康管理基金に対して、政府から放射線量低減対策特別緊急事業費補助金交付要綱(平成二十三年九月一日付け府政防第八百八十七号)又は原子力被災者健康確保・管理関連交付金交付規則(平成二十三年九月二日付け平成二三・〇八・二六財資第五号)に基づくものとして九百六十一億六千四百四十万千円が交付され、東京電力株式会社(当時)から二百五十億円が拠出されており、また、福島県知事から環境大臣等に提出された原子力被災者健康確保・管理関連交付金に係る基金事業実施状況報告書によれば、同基金から支出された金額のうち、甲状腺検査の実施を含む県民健康調査事業(平成二十五年度以前は県民健康管理事業)に対し支出された金額は、平成二十三年度は二十七億二千五百四十五万六千九十六円、平成二十四年度は三十五億千七百九十四万八千七百八十五円、平成二十五年度は二十八億八千九百九万五千九百五十五円、平成二十六年度は三十二億二千三百二十一万六千三百二十七円、平成二十七年度は三十三億五百三十二万七千五百四十九円、平成二十八年度は三十四億五千三百七十八万六千七百三十八円であると承知しているが、これらのうち、甲状腺検査に対し支出された金額及びお尋ねの「福島県から福島県立医科大学への検査委託の総額」については、承知していない。
「県民健康調査における中間取りまとめを踏まえた県の対応について」(平成二十八年十二月二十七日第二十五回福島県「県民健康調査」検討委員会資料六)によれば、福島県は、「県外への転出等が増加する年代に対する受診案内の確実な送付を徹底すべきである」との委員会の指摘への対応として、「就職・進学などにより親元を離れる高等学校卒業予定者等に対して、検査の目的、意義等について理解してもらうため、啓発活動を行っている。住所変更があった場合は県民健康管理センターにご連絡していただくよう「甲状腺通信」にハガキを同封しているほか、電話またはホームページからの入力により手続が行えるようにしている。検査案内が返戻された場合は、住所移転状況を確認し、対象者へ案内が確実に届くよう努めている」と承知しており、政府としては、引き続き、同県に対し、必要に応じて支援を行っていく。
事故に係る住民の健康調査の実施に係る検討を行うに当たっては、医学等の専門家の意見を十分に尊重することが重要であると考えているところ、福島県においては、委員会の意見を踏まえて県民健康調査が実施されており、政府としては、委員会の議論を注視してまいりたい。