答弁本文情報
平成三十年三月六日受領答弁第九九号
内閣衆質一九六第九九号
平成三十年三月六日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員柿沢未途君提出いわゆる「送電線空き容量ゼロ」問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員柿沢未途君提出いわゆる「送電線空き容量ゼロ」問題に関する質問に対する答弁書
一の1から3までについて
御指摘の「想定潮流の合理化」においては、電源の種類にかかわらず、電力系統への接続に関する契約(以下「接続契約」という。)を締結した電源については、これが送電線を利用することを前提として、電力系統への接続を可能とする容量が計算される。この取扱いは、接続契約を締結した発電事業者の予見可能性を確保するためのものであり、後から接続契約の申込み(以下「接続申込」という。)をした発電事業者を優先的に接続することは適切でないと考えている。
なお、事業者間の個々の接続契約の内容については、電源の種類にかかわらず、一般送配電事業者は公表していないものと認識しており、お答えすることは差し控えたい。
御指摘の「実潮流ベースでの系統運用」の意味するところが必ずしも明らかでないため、お答えすることは困難である。
なお、既存の電力系統を最大限活用するため、電力系統に接続された電源の発電電力量が当該系統の容量を上回ることが見込まれる場合には電源の出力を制御する等の一定の条件を付した上で、電力系統への接続を認める等の運用の仕組みの検討を行っているところである。
全国の送電線においては三回線以上のものが存在しており、三回線以上の送電線等については、「「五十%」という利用率が、平常時に電気を流すことができる最大の容量」とはならない。
お尋ねの割合等については、把握していない。
御指摘の「厳密な潮流計算」の意味するところが必ずしも明らかでないが、主要な送電線への接続を可能とする容量については、各一般送配電事業者において公表しているものと承知している。
送電線の増強に係る工事に必要な費用について、全ての特定負担を一般負担に切り替えた場合における電気料金等への影響について、政府がシミュレーションを行ったことはない。
電力の需要家が発電設備から得る受益は、当該発電設備の設備利用率に応じるため、設備利用率に応じて一般負担の上限を定めることは適切と考えている。また、電力系統へ接続するための費用の一部を発電事業者が負担することは、欧州の多くの国においても採用されている考え方であると承知している。御指摘の「コネクト&マネージ」は、電力系統への接続を可能とする容量の計算方法を合理的なものとする等、既存の電力系統を最大限活用する考え方であり、電力系統の増強に係る工事に必要な費用の負担に関する考え方である一般負担の上限額とは性質が異なるものと認識している。
御指摘の「送電系統への連系量の管理」、「既設電源」及び「新規電源」の意味するところが必ずしも明らかではないが、接続契約を締結した電源を既設電源と、接続契約が締結されていない電源を新規電源とするならば、電力系統への接続を可能とする容量の計算における既設電源と新規電源の取扱いについては、電力広域的運営推進機関において適切に行われていると考えている。
なお、政府としては、送電線の効率的な利用、電源間の負担の公平性、発電事業者の予見可能性の確保等を考慮し、既設電源を含め、電力系統への接続を可能とする容量の計算の前提とする系統に流れる電気の量の想定を、過去の実績等を評価し合理的なものとするなど、現在の運用の改善に向けた検討を行っているところである。
事業者間の個々の既設電源に関する接続契約の内容については、電源の種類にかかわらず、一般送配電事業者は公表していないものと認識しており、お答えすることは差し控えたい。
優先接続については、先に接続申込をした発電事業者の予見可能性を確保するため、後に接続申込をした再生可能エネルギー発電設備を優先的に接続することは適切でないと考えている。
優先給電については、電気の供給量が需要量を上回ることが見込まれる場合には、一般送配電事業者は、電力広域的運営推進機関が策定した電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二十八条の四十第三号に規定する送配電等業務指針に基づき、再生可能エネルギー発電設備の出力の抑制の要請を行う前に、火力発電設備の出力の抑制の要請や地域間連系線を活用した他地域への電気の供給等の措置を講ずることとしている。
なお、平成二十九年四月に施行された電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第五十九号。以下「再エネ特措法改正法」という。)による改正前の電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号。以下「旧再エネ特措法」という。)第五条は、旧再エネ特措法第六条第一項の規定による経済産業大臣の認定を受けた再生可能エネルギー発電設備について電力系統への接続を求められた場合に、旧再エネ特措法第二条第一項に規定する電気事業者に当該接続を義務付けることを規定したものであり、再生可能エネルギー発電設備を他の電源よりも優先的に接続することを義務付ける規定ではない。その上で、平成二十八年四月に施行された電気事業法等の一部を改正する法律(平成二十六年法律第七十二号)による改正後の電気事業法第十七条第四項において、一般送配電事業者は、電源の種類にかかわらず電力系統への接続を求められた場合は、正当な理由がなければ、当該接続を拒んではならない旨が規定されたため、これを受けて再エネ特措法改正法において旧再エネ特措法第五条が削除されたものであり、再生可能エネルギー発電設備の接続に関する法律上の取扱いに、何ら変更はない。