答弁本文情報
平成三十年三月三十日受領答弁第一七七号
内閣衆質一九六第一七七号
平成三十年三月三十日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員岡本あき子君提出改正労働契約法施行による本年四月からの影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員岡本あき子君提出改正労働契約法施行による本年四月からの影響に関する質問に対する答弁書
一及び二について
御指摘の「クーリング期間を前提とした非正規雇用の継続運用」については、平成二十九年十一月三十日の参議院予算委員会において、加藤厚生労働大臣が「無期転換ルールの適用をむしろ意図的に避ける目的を持って雇い止めを行うことは望ましくない。例えば、クーリング期間を設定した上で、更にその先まで雇いますよと、例えばそういう予約というんでしょうか、そういうことをしたような場合にはこれは望ましくないんではないかというふうに私どもは認識をしております」と答弁しているところであり、また、御指摘の「注意喚起」を含む、労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十八条第一項の規定により有期労働契約を期間の定めのない労働契約へ転換すること(以下「無期転換」という。)への対応については、同日の同委員会において、同大臣が「無期転換ルールへの対応が円滑に行われるよう引き続き周知啓発に努め、また、そうした事案を把握した場合には都道府県労働局においてしっかりと必要な啓発の指導を行っていきたい」と答弁しているところである。
なお、お尋ねの「実際再雇用を予定している実態」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省が大手自動車メーカー十社に対して無期転換への対応に関する聞き取りを行い、平成二十九年十二月二十七日にその結果を公表した「いわゆる『期間従業員』の無期転換に関する調査」によると、当該調査における聞き取りの対象となった大手自動車メーカー十社におけるいわゆる「期間従業員」の有期労働契約の契約期間の満了後の再雇用について「無契約期間を運用上設けている七社のうち、有期労働契約が終了し、六ヶ月を経過した後、再雇用を約束している企業は、七社中零社」との結果であった。
労働契約法の一部を改正する法律(平成二十四年法律第五十六号)附則第三項において、同法附則第一項ただし書に規定する規定の施行後八年を経過した場合における、同法第二条の規定による改正後の労働契約法第十八条の規定についての検討規定が設けられていることも踏まえ、今後、労働者からの無期転換の申込みが本格的に始まる平成三十年四月一日以降における無期転換の状況等の把握も含めた必要な検討を進めることとしている。
労働契約法は労働契約に関する民事的ルールを明らかにするものであることから、具体的な事例が同法に違反しているか否かについては、司法において判断されるものであり、政府がお答えする立場にはないため、「法の趣旨に反する内容」ではないかとのお尋ねについてはお答えを差し控えたい。なお、無期転換への対応については、一及び二についてで述べたとおりである。
御指摘の「非正規労働者を雇止めにして存在しなくするという意味」及び「総理の発言の意図も含め改正労働契約法の趣旨に反するような労働契約の運用がなされる恐れ」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、安倍内閣総理大臣は平成二十八年九月二十六日の所信表明演説において「非正規という言葉を、皆さん、この国から一掃しようではありませんか」と発言しており、同月二十八日の衆議院本会議において「非正規という言葉を日本国内から一掃すると私が言っているのは、どの働き方を選択してもしっかりした処遇を受けられるようにし、人々が自分のライフスタイルに合わせて多様な働き方を自由に選択できるようにするということであります。多様な働き方の選択肢を、処遇の差を気にすることなく選べる社会を実現したいと考えています」と答弁しているところである。