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答弁本文情報

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平成三十年五月十一日受領
答弁第二四七号

  内閣衆質一九六第二四七号
  平成三十年五月十一日
内閣総理大臣 安倍晋三

       衆議院議長 大島理森 殿

衆議院議員森山浩行君提出豚肉の差額関税制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員森山浩行君提出豚肉の差額関税制度に関する質問に対する答弁書



一の(一)について

 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Aの農業に関する協定(以下単に「協定」という。)では、お尋ねの「通常の関税」、「可変輸入課徴金」及び「最低輸入価格」について特段の定義規定は設けられていないが、一般的には、「通常の関税」とは、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定に附属する各国の譲許表の税率欄に関税率が記載されている一般の関税、「可変輸入課徴金」とは、輸入貨物に課せられる一種の課徴金であって、その金額が個別の法令上又は行政上の措置を要しない仕組みにより自動的に絶えず変化し、かつ、不透明で予測不可能なもの、「最低輸入価格」とは、輸入貨物の価格としきい値価格との差額に基づいて決定される関税を課することによって、当該輸入貨物が当該しきい値価格を下回って国内市場に入ることのないようにする措置と考えられている。

一の(二)について

 お尋ねについては、御指摘の「パネル及び上級委員会報告」が示しているとおりである。

一の(三)について

 御指摘の「従価税」、「従量税」、「混合税」、「差額関税」、「スライド関税」、「季節関税」及び「関税割当制度」は、協定第四条2に規定する「通常の関税」(以下「通常の関税」という。)である。御指摘の「特殊関税」については、協定ではなく、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書一Aの千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定等に基づくものである。

一の(四)について

 関税において、従価税とは、一般に、輸入貨物の価格を課税標準として税額が決定されるものをいい、その課税標準に乗ずる一定の割合を従価税率という。また、従量税とは、一般に、輸入貨物の数量を課税標準として税額が決定されるものをいい、その課税標準に乗ずる一定の数量単位当たりの金額を従量税率という。

二の(一)について

 御指摘の「現在の関税暫定措置法によって定められている豚肉の差額関税制度」(以下「本制度」という。)は、一定の基準輸入価格を基に定められる分岐点価格を境に、分岐点価格を超える豚肉にあっては従価税を課し、分岐点価格以下の豚肉にあっては従量税を課すとともに、分岐点価格の前後で課税後の価格が逆転しないよう関税の率を定めているものである。

二の(二)について

 お尋ねの「四十八・九円/キロ」を超え、「三百九十三円/キロ」以下の「価格帯」についても、従量税である。

二の(三)について

 お尋ねのとおりである。

二の(四)について

 本制度においては、分岐点価格以下の豚肉にあっては従量税を課すとともに、分岐点価格の前後で課税後の価格が逆転しないよう関税の率を定めている。御指摘の資料では、これを「差額関税」と表示しているものであり、お尋ねのように、「差額関税を従量税とは異なる国境措置として捉えている」ということではない。

二の(五)について

 お尋ねの「枝肉ベースで四十八・九円/キロ以下、部分肉ベースで六十四・五三円/キロ以下の輸入価格帯」で「輸入された実績」については、本制度が導入された平成七年度以降で、平成十三年度に約九・三トン、平成十六年度に約十・六トンとなっている。

三の(一)について

 お尋ねの「機能」については、高価格の部位の豚肉と低価格の部位の豚肉とを組み合わせて輸入することにより課税価格が分岐点価格となるときに、課される関税額が最も低くなる仕組みとすることで、国内産の豚肉にとって価格競争力が低い低価格の部位のみが大量に輸入されることを防ぎつつ、高価格の部位を低税率で輸入できるようにする機能であると考えている。

三の(二)について

 お尋ねの「基本的な制度」については、豚肉の差額関税制度そのものを指している。

四の(一)について

 お尋ねのとおりであると考えている。

四の(二)について

 通常の関税以外の国境措置であって、ガット・ウルグァイ・ラウンド交渉の結果関税化することとされた非関税措置と同様の輸入制限効果を有するものが、御指摘の答弁における「不透明で輸入制限的な措置」であると考えている。

五の(一)について

 お尋ねのとおりである。

五の(二)について

 小麦、大麦、乳製品の一部、でん粉、雑豆、落花生、こんにゃくいも、繭・生糸及び豚肉は、ガット・ウルグァイ・ラウンド交渉の結果を踏まえ、従来採られていた輸入制限措置等を通常の関税に転換したものである。
 また、御指摘の「WTO農業協定発効以前の旧差額関税」は、当時の畜産物の価格安定等に関する法律(昭和三十六年法律第百八十三号)第三条第一項の規定に基づき毎会計年度定められる安定基準価格及び安定上位価格を基に定められる基準輸入価格を用いて、関税の率が定められるものであったため、当該関税の率は年度ごとに変わり得るものであり、協定第四条2の注に規定する「その他これらに類する通常の関税以外の国境措置」に当たると考えられたものである。

五の(三)について

 お尋ねの「国内法」は、関税暫定措置法(昭和三十五年法律第三十六号)である。

五の(四)について

 御指摘の「従量税と従価税の間にある差額関税部分」の意味するところが必ずしも明らかではないが、二の(一)についてで述べたとおり、本制度は、一定の基準輸入価格を基に定められる分岐点価格を境に、分岐点価格を超える豚肉にあっては従価税を課し、分岐点価格以下の豚肉にあっては従量税を課すとともに、分岐点価格の前後で課税後の価格が逆転しないよう関税の率を定めているものである。
 また、本制度においては、高価格の部位の豚肉と低価格の部位の豚肉とを組み合わせ、これらの豚肉を一括して一キログラム当たりの課税価格を算出して輸入することにより、基準輸入価格未満の価格の豚肉を輸入することも可能であることから、協定第四条2の注に規定する「最低輸入価格」には当たらないと考えている。

五の(五)について

 政府としては、課税価格を偽り関税を不当に免れたことにより摘発された事案が発生していることは極めて遺憾であると考えており、本制度の適切な運用を図るため、関係省庁が連携して、本制度に関する関係法令の遵守の指導、厳正な取締りの実施等今後とも適切に対処していく考えである。



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