答弁本文情報
平成三十年七月二十七日受領答弁第四五八号
内閣衆質一九六第四五八号
平成三十年七月二十七日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員山崎誠君提出放射能被害による損害賠償の考え方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山崎誠君提出放射能被害による損害賠償の考え方に関する質問に対する答弁書
一について
「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(平成二十三年八月五日原子力損害賠償紛争審査会決定。以下「中間指針」という。)において、「避難により証拠の収集が困難である場合など必要かつ合理的な範囲で証明の程度を緩和して賠償する」ことが示されており、これを踏まえ、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)において適切な対応をとることが重要であると考えている。
また、東京電力においては、中間指針等を踏まえて、東京電力の福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故と相当因果関係が認められる損害の賠償(以下「原子力損害の賠償」という。)を進めていると承知しているところ、東京電力からの説明によると、平成三十年七月十三日現在で、原子力損害の賠償について、東京電力に対し直接請求がされた約二百八十六万件のうち、約二百六十七万件について、既に原子力損害の賠償が行われているとのことであること等によれば、中間指針等はその役割を果たしているものと考えている。
さらに、原子力損害賠償紛争審査会においては、審査会の開催や現地視察を通じて、中間指針等に基づく原子力損害の賠償の実施状況をフォローアップしており、現時点では直ちに中間指針等の見直しや新たな指針の策定が必要な状況にはないことが確認されている。
東京電力からの説明によると、平成三十年七月十三日現在で、原子力損害の賠償について、東京電力に対し直接請求がされた件数は、個人からのものが約二百三十八万件、法人からのものが約四十八万件とのことである。
また、原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介手続(原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第十八条第二項第一号に規定する和解の仲介の手続をいう。以下同じ。)について、平成二十三年九月から平成二十九年十二月三十一日までに申立てがされた件数は、個人からのものが約一万八千件、法人からのものが約五千件であり、これらの合計約二万三千件のうち、和解仲介手続が終了した件数は約二万千件、和解仲介手続が終了していない件数は約二千件であり、和解仲介手続が終了したもののうち、和解が成立した件数は約一万八千件、取下げがされた件数は約二千件である。
お尋ねの統計のうち、前述したもの以外については、政府として把握していないため、お答えすることは困難である。
いずれにせよ、政府としては、東京電力に対し、原子力損害の賠償について、被害者の個別の事情をきめ細かく丁寧に伺いながら、被害者に寄り添った迅速、公平かつ適切な賠償を行うよう、引き続き指導していく。
東京電力は、原子力損害の賠償について、被害者の負担に配慮し、相談窓口での対応に加え、戸別訪問の体制の強化により、請求書の作成や証ひょう類の提出を積極的に支援するなど、個別の相談に対し丁寧な対応に努めているものと承知している。
お尋ねの「件数」については、統計を取っていないため、また、「原子力損害賠償紛争解決センターが有する紛争の内容」については、その意味するところが明らかではないため、これらに関するお尋ねにお答えすることは困難であるが、経済産業省において、東京電力に対し、随時、口頭により、原子力損害の賠償について、被害者の個別の事情をきめ細かく丁寧に伺いながら、被害者に寄り添った迅速、公平かつ適切な賠償を行うよう指導するとともに、対応状況等について東京電力から聴取しており、その内容は必要な範囲で共有している。
お尋ねの「具体的な判断基準」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、東京電力に対し、原子力損害の賠償について、被害者の個別の事情をきめ細かく丁寧に伺いながら、被害者に寄り添った迅速、公平かつ適切な賠償を行うよう指導している。
東京電力は、「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針第四次追補(避難指示の長期化等に係る損害について)」(平成二十五年十二月二十六日原子力損害賠償紛争審査会決定)等を踏まえて、必要に応じて柔軟な対応を行っているものと承知しており、それまでに行われた原子力損害の賠償との間に不当な格差が生じているとは考えていない。