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答弁本文情報

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昭和四十九年六月七日受領
答弁第三五号
(質問の 三五)

  内閣衆質七二第三五号
    昭和四十九年六月七日
内閣総理大臣 田中(注)榮

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿

衆議院議員渡部一郎君提出AF ― 2等ニトロフラン系食品添加物・飼料添加物等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員渡部一郎君提出AF ― 2等ニトロフラン系食品添加物・飼料添加物等に関する質問に対する答弁書



一について

1 AF2については、現在食品衛生調査会において、その安全性及び取扱いについて検討を進めているところであり、使用を一時中止した上で検討を進めることが適当であるか否かについては、早急に結論を求めることとしている。

2 東京大学講師高橋晄正氏のAF2に関する御意見についても食品衛生調査会で、検討を行つている。

3 昭和四十七年末、栃木県の豆腐製造業者がAF2の使用により神経障害を起こしたとの新聞への投書があつたので調査を行つたが、その因果関係は確認できなかつた。
  しかしながら、豆腐製造業者の一部に手荒れがみられるとの報告もあるので、今後AF2取扱い作業に従事する者についてその実態をは握することとしている。

4 AF2が使用されている食品の種類は次のとおりである。

      種    類           生 産 量(昭和四十七年度)
  食肉ハム・ソーセージ 二三四 千トン
  魚肉ねり製品 九九四  〃
  豆腐 一、七五六  〃
  魚肉ハム・ソーセージ 一六二  〃
    (生産量には、AF2を使用していないものも含む。)
  また、AF2の使用量は不明であるが、生産量からみて年間約三トンと推定される。

5 Zフランの生産量は昭和三十九年において年間約一・二トンであつたと聴いている。
  しかし、Zフランは昭和四十年に食品添加物としての指定が削除されており、それ以後生産は行われていない。AF2の生産量は昭和四十一年以降昭和四十八年に至る間、年間二・四トンから三・一トン(平均年間二・七トン)であつたと聴いている。
  なお、AF2はZフランよりも殺菌効果等が優れ、かつ、安全性が高いと認められたため、昭和四十年にZフランからAF2への切替えが行われたものである。

6 政府は、良質な食品を安定的に国民に供給するという立場から食品の製造指導に当たつており、食品添加物の使用についても従来からJAS規格等の運用に当たつて、品目の特性に応じ品質の確保、保持等のために必要不可欠であるものに限り、かつ、最小限度に限るべきであるとの考え方で指導しており、今後ともこの方向で指導してまいりたい。
  なお、現在AF2は食品添加物としてのみ使用されている実情にあり、通商産業省は、AF2の食品添加物としての使用について規制する立場にはない。

7ア AF2以外にニトロフラン系の食品添加物は指定されていない。

 イ ニトロフラン系薬剤の家畜への応用については、昭和三十五年十一月に日本獣医学会の中に家畜用ニトロフラン研究会が設置され、研究会委員による研究が続けられ、その結果をもとに現在疾病の治療、予防、発育促進の目的で使用されている。本剤については、安全量、中毒量、残留問題の究明がなされ、特に、公衆衛生上問題となる畜産物への残留が起こらないよう薬事法によりその用法用量を規制している。
   なお、昭和四十六年度におけるニトロフラン系飼料添加物の種類は、ナイハイドラゾーン、バナゾン、フラゾリドン及びフラミゾールの四種であり、配合飼料製造業者における使用量は、おおむね四百トン程度である。

二について

1 昭和三十九年十月食品衛生調査会毒性部会において、「AF2の安全許容量(無作用量)を〇・〇一二五%飼料添加とする。」と決めたが、これについては、宮地教授の実験データの資料もそれ以前に提出され、審議された上で安全許容量が設定されたものである。

2 AF2の指定に当たつては、当時の資料によつて十分にその安全性を審議検討した結果使用を認めたものである。注1の毒性その他の疑点は審議の過程における意見であり、最終的には毒性及び添加物部会の一致した結論に基づいて指定したものである。注2の五つの附帯条項については、AF2の安全性の評価の可否を左右するものではなく、更にこのような研究を行うことが、より望ましいという観点から付けられたものである。この五項目については、第三項目を除く四項目は既に試験を完了しており、第三項目の腸内細菌叢については、慢性毒性試験における動物の解剖結果において異常が認められないことから問題はないものと考えている。

3 厚生省としては、上野製薬に対して必要な試験研究を行いその結果を提出するよう要請した。附帯条項については、試験の終了したものから報告が提出されているが、食品衛生調査会に報告はしていない。

4 大阪大学宮地教授の行つた毒性試験においては、実験動物の一部の飼育のみが上野製薬の動物舎において行われ、飼育後の病理解剖、標本作成等は宮地教授が行つたものと聴いている。
  なお、本実験はあくまでも宮地教授の責任のもとに行われたものと解している。

5 大阪大学の宮地教授らが行つた毒性試験結果について、東京大学の高橋講師は統計学的解析を加えて肝重量等に有意な変化があるとしている。これらについては、検算の結果、計算の誤りはないとの結果を得ているが、毒性学的な観点から、現在食品衛生調査会で検討しているところである。

三について

1 我が国においては、食品添加物の指定は、食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の定めた原則に準拠し、食品衛生調査会において急性、慢性毒性試験をはじめ、催奇形性試験、発がん性試験等に関する指定基準を定めており、この基準に従い判断をしている。AF2についても、更に各種の試験を行い、安全性を慎重に検討し、その使用を認めてきたところである。
  新しい観点から、この指定基準に染色体に関する試験もとり入れるべきであるとの意見があるが、その試験方法についてはいまだ世界的に確立された方法がないので、食品衛生調査会に諮り、総合的に検討していくこととしている。

2 FA2に関する再評価については、食品衛生調査会の毒性部会と添加物部会に全面的に依頼してあるので、御指摘の点についても、これら両部会の判断を待つこととしている。

3 食品衛生調査会における審議過程、議決事項等の公表問題を含め、同調査会の運営方法について検討中である。

4 御指摘の研究班は、突然変異性に関する各種研究を実施することにより、突然変異性の問題を学問的に究明していくことを目的とし、突然変異性に関する各分野の研究者により構成されている。
  AF2については、これとは別に、食品衛生調査会の毒性部会と添加物部会に審議を依頼しているが、これらの部会に国立遺伝研究所の賀田、田島両博士の参加をお願いして、審議を進めていくこととしている。

四について

1 田島博士らの突然変異性に関する意見書が提出されたのは昨年三月であるが、その後厚生省では同博士らの御示唆に従い、同年三月及び五月に田島博士の共同研究者である賀田博士をはじめ毒性学、微生物学等の専門家を招集し、今後の研究の進め方について検討した。更に昨年九月に食品衛生調査会の添加物部会及び毒性部会の合同部会において研究班を設けることを決定し、同月末「突然変異性に関する研究班」が設置され、AF2の遺伝学的見地からの研究が進められている。
  なお、昨年九月、厚生省は食品化学課名でAF2の突然変異性に関する見解を各都道府県に送付したが、これはAF2の突然変異性に関する国立遺伝研究所における実験結果、WHO科学グループ及び全米科学アカデミーがまとめた食品添加物の突然変異性に関する見解並びにAF2の毒性、催奇形性試験の結果をもとに、当時における見解を各都道府県の担当官への情報として提供したものである。
  なお、食品衛生調査会での結論が出れば、改めて見解を各都道府県に連絡することとしている。

2 資料については、検察当局より参考意見を聴かれていたため、参考として提出したものである。

五について

1 食品添加物は、国民の食生活の安全確保という観点から十分にその安全性が確保されているものでなければならないと考えており、従来より、疑わしきは使用せずという原則に沿つて対処してきたところである。
  AF2については、当時食品衛生調査会の担当部会において審議が行われ、その安全性を確認した上で指定されたものである。しかしながら、最近AF2の安全性をめぐつて種々の意見が出されているので、食品衛生調査会において再度検討をしており、厚生省としては、同調査会の結論を尊重して対処する方針である。

2 食品添加物については、過去に安全性が確認されたものであつても、学問の進歩によりその安全性をそこなう可能性のある新しい知見が得られた場合には、これを検討し、安全性に疑問を生じた場合には使用を禁止する等の措置を講ずべきものと考えている。
  なお、医薬品の有用性は、その有効性と安全性のバランスにおいて判断すべきものであり、承認後副作用について新しい知見が得られた場合には、中央薬事審議会においてその内容を十分検討し、必要な場合には、使用上の注意の改定、製造販売の中止等の必要な措置を講じている。

3 遺伝的障害の問題は極めて重要であると考えており、現在食品添加物等の化学物質における遺伝的な見地からの安全評価方法について研究を進めているところであるが、学問的にもなお未解決の分野が大きいので、今後は更に総合的な研究を行い、その成果を安全確保の対策に十分反映させていく方針である。

4 死産等に関する統計は次のとおりである。

@ 自然・人工年次別死産数(単位人)

@ 自然・人工年次別死産数(単位人)


A 年次別にみた妊娠月数別出生児数(単位人)

A 年次別にみた妊娠月数別出生児数(単位人)


B 先天異常による死亡率(人口一〇万対)及び死亡数(単位人)

B 先天異常による死亡率(人口一〇万対)及び死亡数(単位人)

 右答弁する。




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