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衆議院法制局
法制企画調整部総務課

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【鼎談】衆議院法制局の仕事とは

(司会)法制企画調整部調査課長 法制主幹付  吉澤 紀子(平成6年入局)

第一部第一課(内閣、安全保障等担当)  小林 宏和(平成19年入局)

法制企画調整部企画調整課(議院運営、情報監視等担当)  加苅 立士(平成22年入局)

はじめに

吉澤 本日は、衆議院法制局に関心を持たれた皆さんに向けて、衆議院法制局の仕事や、その求める人物像について語ってもらいたい、ということでお集まりいただきました。まずは、簡単に自己紹介をお願いいたします。

小林 私は、平成19年に入局し、現在は、内閣、安全保障、消費者問題などを担当する部署に所属しています。これまで議院運営、農林水産、労働、経済産業、環境、原子力といった分野を担当したほか、アメリカのアリゾナ大学ロースクールに留学し、TPP等の国際経済法の分野を学んできました。

加苅 平成22年に入局してから、財務金融、国土交通、災害対策などの分野を担当しました。英国への留学を経て、現在は、国会法や衆議院規則などに関する議員からの照会や議院運営に関わる案件を扱う課に所属しています。

法制局の仕事とその魅力

吉澤 お二人とも、これまで様々な分野を担当されていますが、衆議院法制局の仕事の特徴はどのようなところにあると思いますか。

小林 私たちの職場は、課ごとに担当分野が決まっていますが、2年から3年程度で別の課に異動することが多く、広範な分野を担当することになります。法律も分野ごとに特徴があり、常に新しいものを吸収していかなければならないので努力も必要ですが、一方で常に成長を感じられる職場だと思います。

吉澤 分野を問わない、オールラウンダーであることが求められますね。

加苅 一つの案件について、複数の法律案を扱うこともあります。東日本大震災に係る復興整備事業を加速するため土地取得の円滑化を図る法律の立案については、平成26年3月の同じ日に提出された、内容の異なる東日本大震災復興特区法改正案の与党案と野党案、さらに4月初旬に提出された別の野党案、そして与野党協議が調い、その結果提出された委員会提出法律案と、計4案の立案に携わりました。

吉澤 4本はすごい。ただ、そのように、同じテーマについて、複数の議員・政党から依頼を受け、同時期に内容の異なる複数の法律案を立案することは珍しくないですね。それぞれの議員・政党の立場に立って考えながら立案作業を進めていく必要があります。

小林 そうですね。それぞれの依頼者たる議員の政策意図をしっかりと受け止め、それぞれについて、その政策意図を最大限実現するために具体的にどのような方策が最も有効、適切であるかを考えることになります。そして議員が検討するための素材を提供し、打合せを重ね、法制度の内容を固め、条文化へと進めていく。

加苅 先程の例では、最終的には4月下旬に委員会提出法律案が全会一致で可決され、成立に至りました。短期間にこれだけの立案作業を行うのは大変でしたが、与党・野党それぞれが自らの政策を「法律案」というかたちで世に問い、政治的な協議・合意の上で法律が成立し、社会が一つ前へ進む——「政治の最前線」ともいうべき現場に身を置いて、国政のダイナミックな動きを経験することができました。

小林 民主主義社会において政策決定権を持つのは、あくまで国民代表たる国会議員であり、我々はその議員を補佐する立場にある。この点を自覚した上で、依頼者の立場に立って、徹底した調査を行い、考え抜き、議論を重ねて、議員の「政策」を「法律案」という形にする——これを繰り返すことによって、依頼者たる議員から信頼され、議会制民主主義を支える不可欠の存在であり続けなければならないわけです。衆議院法制局の職員に課される職責は大変重いものですが、それが大きなやりがいにもつながっていると思います。

吉澤 その通りですね。また、そもそも、法律はひとたび成立すれば多方面に影響が及ぶものですから、法制度を設計する際には、いろいろな立場に立って物事を考えてみることが求められます。一人で考えるには限界がありますから、課内での議論を重視して仕事が進められることが多い印象があります。

加苅 各課4、5名と人数が少ないこともあって、新人であっても、課内で議論する際には積極的に発言することが期待されています。新人の意見も熱心に聞いてもらえますし、風通しのよい職場だと思います。

吉澤 少人数の組織ですから、入局当初から、一人ひとりに期待されるところが大きいですね。そのためもあって、職員一人ひとりを大切にする組織でもあると思います。海外の大学院への留学制度や研修制度など自己研鑚の機会も充実しており、非常に恵まれた環境にあると思います。加苅さんは、最近留学をされましたね。

加苅 はい。平成27年の夏から約1年間、英国スコットランドにあるエジンバラ大学に留学し、公共政策プログラムに参加しました。世界各国から集まった留学生との議論や多くのプレゼンテーションを通じて、経験に応じた様々なものの見方や考え方があることを肌で感じることができました。また、エジンバラには、英国議会から一部の立法権限を委譲されたスコットランド議会が置かれているのですが、関係者が「英国議会よりも良い制度を作りたい」という意欲を共有しており、大いに刺激を受けました。議員や議会職員などから話を聞くことを通じて、議会制度に関する理解も深まったと思います。

小林 私も1年間の留学をさせてもらったほか、国内外の出張に行く機会などもたくさんいただいています。机に向かっての作業ばかりでなく、外で様々な経験をさせていただいたことは、その後の仕事に確実にいかされていると思います。

法制局で働くために必要なこと

吉澤 衆議院法制局で仕事をするに当たって必要とされるのは、どのようなことだと思いますか。

加苅 我々は依頼者たる議員の政策意図を実現するために新たな法制度の設計をしていくわけですが、その際、既存の法解釈や法体系全体の整合性を踏まえた上で、新たな法制度の必要性や他の法令との関係を合理的に説明することが求められます。論理的に意見を組み立てる力は、分野を問わず、どの課に配属されても必要となる共通の基盤のようなものだと思います。

小林 議員から、時には、従来の法律の枠組みから外れた構想が提示されることもあります。新しい時代に対応した法制度を設計するためには、柔軟な思考力と法的素養に裏打ちされたバランス感覚も必要だと思います。もちろん、依頼者たる議員の意図や思いをしっかりと受け止め、自分たちの考えをうまく伝える力も重要です。

吉澤 議員とのやりとりや、省庁との交渉など、コミュニケーション能力が求められる場面は多いですね。また、国会議員の先生方が日々の政治活動を通じてすくい上げた様々な問題に適確に対応するためには、日頃から、担当分野に限らず、広く世の中の情勢に目配りをしておくことも大切だと思います。

法制局を志望する皆さんへ

吉澤 最後に、衆議院法制局を志望する皆さんへ、一言ずつメッセージをお願いします。

小林 法制度を設計する、というのは、とてもクリエイティブな仕事です。ポジィティブかつ柔軟な姿勢で、法律を「創る」という仕事をしてみたいとお考えの方、是非おいでください。衆議院法制局の仕事の面白さをきっとご理解いただけると思います。また、国会情勢によってオンとオフがはっきりしており、私は、夏の国会閉会中は、徳島や関東の阿波踊りに参加しています。公私共に充実した生活が送れるのも、この職場の魅力です。

加苅 法制度という側面から国政全般に関わった仕事がしてみたいという方には、是非ともおすすめの職場です。質・量ともに高い水準が求められますが、入局後のスキルアップという点でも恵まれているので、意欲ある方に来てほしいです。

吉澤 議会を支える気概を持った方に来ていただきたいと思います。多忙を極める時期もありますが、振り返れば、法律ができあがったときの充実感や達成感があり、それがまた次の仕事への意欲につながっていきます。皆さんと一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。
本日はどうもありがとうございました。