衆議院法制局採用情報

職員への進路相談

新入職員への相談

平成31年・令和2年入局の職員に、衆議院法制局を志望した理由や、実際に働いてみての印象、採用試験対策等について聞いてみました。

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衆議院法制局を知ったきっかけは?

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私は、国会議員の事務所にインターンシップしたことがきっかけで、議員が国の様々な問題に真剣に向き合ってる姿を目にし、その手助けがしたいという思いが芽生えました。そこで、議員を手助けできる職業として国会で働く職業を探していたところ、議員立法の立案等を行う衆議院法制局に巡り合いました。

衆議院法制局を選んだ決め手は?


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法律の立案の専門家であると同時に、省庁とは異なって異動を通して国政のあらゆる分野に携わることができるという「立法のスペシャリストであると同時に、国政のジェネラリストである」点に魅力を感じ、志望しました。また、業務説明会での職場見学等を通して、自由闊達に議論している雰囲気を拝見し、衆議院法制局の「風通しのよさ」を感じたことも理由の一つです。

社会に生じている問題を一般的抽象的に解決する立法の面白さに興味を持ち、立法活動を法律面から幅広く補佐する議院法制局を志望しました。その中でも、第一院である衆議院では、その時々の重要施策に関して、内閣が提出した法律案についての野党の対案に関わる機会が多いということを業務説明会で知り、衆議院法制局を選びました。

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入局前と入局後での法制局のイメージは?


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入局前は、条文を書くのが主な仕事というイメージがあったのですが、「この目的を達成するためには、どんな政策が考えられるか知恵を貸してほしい」と言われて政策立案の段階から国会議員のお手伝いをしたり、その他にも議員からの法律に関する質問に対して調査・回答したりするなど、「知恵袋」として、法律案の作成だけでなく幅広く議員をサポートしているのだなと実感しました。

自分で書いた条文案や、他の職員の条文案への指摘事項といった日々の業務での成果が、思っていたよりも最終的な法律案に反映されていき、驚きました。具体的な業務内容それ自体は、業務説明会やパンフレットからイメージしていたところとおおむね同じでした。

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法律を作る際のルールなど、覚えることが多そうだが、新入職員のサポート体制は?

入局した直後の4月の第一週に、立法に関係する基礎的な知識(国会の仕組みや法律における文言の使い方等)について、講義形式の研修がありました。半年後の9月にも研修があり、より応用的な立法技術について、事例演習形式で学びました。
 日々の業務においては、分からないことは同じ課の先輩職員に遠慮なく質問していますが、忙しい中でも丁寧に教えてもらえています。他の課でも、先輩職員が後輩職員を丁寧に指導する様子をよく目にするので、職場全体としてOJTの体制が整っていると感じます。

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試験対策としてどのような勉強をした?

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第一次試験と第二次試験は、国家公務員総合職・一般職の試験と内容が重複していたので、独自の試験対策をせずに総合職・一般職の試験対策だけで乗り切りました。第三次試験は、憲法の口述試験があったので、友達の助けを借りて、面接形式で憲法の問題に口頭で答える練習をしました。

今までどのような仕事をした?


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立案としては、入局直後に配属された企画調整課(議運委等担当)では国会改革の一環としてのペーパーレス化に関する衆議院規則の改正に、その後異動した第三部第一課(文科委等担当)ではスポーツくじであるtotoの対象競技にバスケットボールを追加したtoto法(注)の改正等に携わりました。その立案作業の過程では、国会議員への説明に同行したり、条文のたたき台を作成したりと、若手のうちから重要な仕事を任せてもらえ、やりがいを感じています。

(注)正式名称は「スポーツ振興投票の実施等に関する法律」

最初の半年は、国会の動きを含めて法制局の仕事の全体像を把握できるようにという趣旨で、局内の官房に当たる企画調整課(議運委等担当)に配属されました。そこでは、議事日程の情報収集といった日常業務のほか、立案としてはいわゆるオンライン国会の可否についての検討に関わりました。
 入局から半年後に第一部第一課(内閣委等担当)に異動してからは、特定非営利活動促進法(いわゆるNPO法)の改正のほか、社会的に大変話題となった、新型コロナウイルス感染症対策に関する新型インフルエンザ等対策特別措置法等改正についての、与野党協議に基づく政府案の修正に関わりました。新人職員ながら、条文のたたき台の作成や、議員との打合せへの出席等、様々な業務を任せてもらっています。

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採用試験の受験予定者に一言お願いします


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衆議院法制局は、各課5〜6人の少人数で立案業務を行っており、それゆえ若手のうちから重要な仕事を任せてもらえ、活躍できる「一人ひとりに居場所とやりがいのある風通しのよい職場」です。就職先として衆議院法制局を選んでくれたみなさんと、一緒に働ける日を楽しみにしております。

社会のあらゆる分野における問題に対し、それを法律面から解決するために、課員全員で調べ、考え、議論する。「立法府の法律家」としての衆議院法制局での仕事は、毎日が刺激的でやりがいに満ちています。
 みなさんと共に働けることを楽しみにしています。

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若手職員への相談

若手職員に、印象に残っている案件や、仕事のやりがい等について聞いてみました。

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衆議院法制局を志望した理由は?

学生時代に法律を学び、法律の知識を活かせるような仕事がしたいと考えていた際に、衆議院法制局の存在を知りました。国民の代表である国会議員の立法活動をサポートし、社会問題の解決を図るという他ではできない仕事内容に関心を持つとともに、2・3年おきに経験する異動を通じて1府13省庁にまたがる幅広い分野に携わることができる点にも大きな魅力を感じました。

入局前と入局後での法制局のイメージは?

法制局での仕事は、立案や調査といったデスクワークが中心となるというイメージを抱いていましたが、議員の先生方との打合せや国会審議のサポートをはじめとする「外に出る仕事」も多いと感じました。法律案の中身を練り上げていく過程、法律案が実際に国会で審議される過程を自分の目で見ることができ、非常にやりがいを感じています。

これまでに何本の法律の立案に携わってきた?

入局してからの4年間で、提出に至った法律案は7本、修正案は5本あります。7本の法律案は全て成立し、法律に基づき様々な施策が行われているところです。提出に至らなかったものや現在進行中のものを合わせると、携わった法律案等の数は25本程度になります。
 4年間で、①新しい法律の制定、②法律の一部改正、③内閣提出法律案に対する修正案の提出を全て経験することができ、非常に勉強になりました。これまでの経験が今の仕事にも活きていると感じます。

特に印象に残っている案件は?

平成30年のオリパラ特措法の改正(注)に携わったことが強く印象に残っています。この改正は、オリンピックの開閉会式に合わせて「海の日」・「山の日」・「スポーツの日(旧体育の日)」という3つの祝日を移動するという内容でしたが、祝日の移動は本邦初の措置であったため、どのような規定ぶりとするかについては慎重な検討が必要となりました。法改正の内容が実際にカレンダーに反映されたのを見た時に、法律が社会生活に与えるインパクトを改めて実感しました。

(注)正式名称は「平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律案」

若手職員から見た法制局の働きやすさは?

衆議院法制局は、人数が少ない職場である分、職員同士の距離が近く、困ったことや分からないことがあれば部署の垣根を越えて相談できるような環境が整っている、非常に働きやすい職場だと思います。また、国会の開会中は業務が忙しくなることもありますが、閉会中は比較的落ち着いているため、仕事帰りに習い事に通うことができたりと、プライベートと仕事の両立という面からも働きやすさを感じています。

今後の目標は?

今の一番の目標は説明能力の向上です。法制局では、課の全員で議論を重ねながら検討を進めていくため、議論の中では、自分の考えを過不足なく伝える必要がありますし、議員の先生方との打合せにおいては、法律案の内容を分かりやすく説明する必要があります。これらの能力は一朝一夕で身に着くものではありませんので、日々の議論において「どうすれば相手に一番伝わりやすいか」を意識するよう心掛けています。

ロースクール卒職員への相談

最近では、学部卒だけでなく、ロースクール卒の受験者も多くなってきています。そこで、ロースクールを卒業した職員に、入局後にロースクールで学んだことが活かせているか、法曹ではなく衆議院法制局を選んだ理由は何か等について聞いてみました。

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衆議院法制局への就職を視野に入れたのはいつ頃?他にも就職活動はしていた?

衆議院法制局への就職を具体的に視野に入れたのは、ロースクールの最終学年にキャンパス内で衆議院法制局のポスターを見かけ、衆議院法制局を知った時からです。
 衆議院法制局の採用試験と並行して、国家公務員総合職試験などの他の公務員試験と司法試験を受験しました。

採用試験のために特別な勉強は行った?

衆議院法制局の採用試験も含めた公務員試験対策として、私は過去問の演習を行いました。それ以外に公務員試験に向けて特別な勉強は行いませんでしたが、普段のロースクールの勉強で衆議院法制局の採用試験には十分対応することができたと思います。

法曹ではなく、法制局への入局を決めた理由は?

法学部とロースクールの授業で法哲学などを学ぶうちに、議会制民主主義が果たす役割について関心を持ち、いつか議会に関わる仕事ができたらいいなとの思いを漠然と抱くようになりました。最終的には、立法による社会問題の制度的な解決に携わることができるという法制局ならではの魅力に惹かれ、法制局への入局を決めました。

ロースクールで学んだことは仕事に活かせている?

大いに活かせていると日々実感しています。衆議院法制局の仕事は、新たな法制度の創造を法的側面から補佐することです。補佐するに当たっては、現行法や判例などの調査を行い、そこで得た知識を前提として、新たな法制度を創造する上で生じる様々な論点を検討します。法律の調査に当たってはロースクールの授業の予習復習やゼミで行った調査が土台となっていますし、論点の検討に当たってはロースクールで培った法的思考力が活きています。
 一方で、ロースクールでの知識や経験だけでは不十分なところがあり、日々勉強を続けていくことが必要だと実感しています。

出向した職員への相談

衆議院法制局では、衆議院事務局、行政官庁、地方自治体に出向し、法律の運用の現場や多角的な調査業務を経験する機会も用意されています。衆議院事務局、千葉県庁、消費者庁への出向を経験した職員に、出向先での仕事内容等について聞いてみました。

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どこに出向し、出向先ではどのような経験をしている?



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平成30年から、衆議院事務局にある憲法審査会事務局に主査(課長補佐)として出向し、憲法に関する調査をしています。議員の依頼に応じて、例えば憲法9条の学説・政府解釈・関連する最高裁判例、諸外国の憲法における緊急事態条項の内容や新型コロナ対応における利用状況などを調査し、提供しています。憲法を仕事としている点と、諸外国の法令を多く参照する点が、特徴的です。

平成28年から2年間、千葉県庁に出向しました。
 県庁では、総務部政策法務課副参事(課長級)として、主に二つの業務に関わりました。第一に、知事提案の政策条例案について、政策構想の確認、立法事実の調査、政策内容の条文化など、担当課の立案作業を包括的に補佐しました。第二に、各課が抱える法的問題の相談を受け、論点の整理や対応策の検討を行いました。
 いずれも、衆議院法制局での職務経験を生かし、担当課との対話を重ねながら、法制的な観点から、県庁、県民にとって何が最善か、という姿勢で対応しました。

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平成28年から2年間、消費者庁に出向しました。
 消費者庁では消費者制度課の係長級の職員として、主に適格消費者団体の認定・監督業務に従事しました。具体的には、消費者団体からの申請を審査して内閣総理大臣の認定(利益的行政処分)をすべきかの資料を作成し、認定後の団体に対しては行政監督を行っていました。法律が行政によってどのように運用されているかを身をもって経験することができる貴重な機会となりました。

どれくらいの年次で出向を経験した?



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入局15年目に出向しました。なお、私は、入局4年後に1年間国内大学院に留学して刑罰の効果について研究し、9年後に2年間千葉県に出向して条例案の立案に携わり、そして15年後に現職に出向しているので、4〜5年に1回出向等をしていることになります。入局前には民間企業での職務経験もありますので、衆議院法制局以外の環境は4度目です。それぞれの場での様々な経験は、私の視点・視野・視座を広いものにしてくれました。

入局11年目に出向しました。
 出向は初めてでしたが、打診を受ける前にも、過去に出向した先輩職員からその時の経験について色々と話を聴くことがあり、地方自治の現場に身を置くとともに、異なる組織文化に触れることのできる貴重な機会と捉えました。

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私は入局6年目に出向しました。出向までは総務、厚生、農林水産等を担当する課にいたため消費者問題を扱ったことはありませんでしたが、出向先の上司である課長補佐(任期付弁護士)や同僚に丁寧なご指導を頂き、充実した出向期間を過ごすことができました。

出向先で経験したことは仕事に活きている?



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条文を書くには、参考になる類似の法制度の条文やその解釈を調べる必要があり、その経験は今に活きています。ただ、憲法の場合、類似の法制度は国内に現存せず、諸外国の憲法をしばしば参照します。この場合、単に条文を読むだけでは不十分で、法体系の違い(英米法・大陸法)や立法事実(=その国の歴史)なども考慮する必要があり、このような深い調査は、法制局での仕事にも活かせるのではないかと思います。

やや抽象的ですが、法制度設計とは何かについて考え直す契機となりました。また、法制度の現場での運用等、法律が成立した後のことも、今まで以上に意識するようになったと思います。
 また、出向先で温かく受け入れていただいた経験を踏まえ、自治体から派遣されている研修員の方をはじめ、様々なバックグラウンドを持った方々にとって仕事のしやすい職場環境を維持増進するとともに、各自の強みを引き出すよう、日々努力しています。

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出向先では、法律の運用を内容・事務手続の両面において経験できた他、消費者契約法を始めとした所属課の所管法令について知見を広げる機会を得ました。現在消費者問題を担当する課に所属していることもあり、立案や照会対応の際に出向先での経験が活かされていると感じます。
 また、行政処分や行政監督を行う際には、消費者団体の担当者の方に説明をする機会が多数ありました。相手方とコミュニケーションをとって制度を分かりやすく説明するという作業は、当局の業務においても役立つ経験であったと思います。

留学した職員への相談

衆議院法制局では、若手職員に対して国内外の大学院等への留学を通じ、高度で専門的な知識を身に付ける場を提供しています。留学経験のある職員に、留学制度や留学先での経験等について聞いてみました。

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どこに留学し、留学先でどのような経験をした?

私は、イギリスのLSE(London School of Economics)の修士課程で公共政策・行政学を専攻しました。留学中は、授業・セミナーや政府機関で働く実務家からのヒアリングをとおして、公共政策の基礎を学びました。勉強に追われる毎日でしたが、世界中から集まった学生とお互いの国の政策などを話し合う中で、視野が広がったように思います。また、EU離脱に向けた政府と議会の攻防といったニュースが連日のように報道されており、イギリスが歴史的転換点にあるのを身をもって感じました。

希望すれば、誰でも留学に行くことができる?

衆議院法制局では海外の大学院への留学制度が設けられていますが、採用人数が若干名であるにもかかわらず、毎年1名は留学に行っていることを考慮すると、本人が希望すれば留学の機会は大いに開かれているといえます。留学先としては、私のようにイギリスの大学院を選択したり、あるいは、アメリカのロースクールを選択する職員もいます。昨年から、法制局初のフランス留学をしている職員もいます。留学する上で語学の勉強は必須になりますが、留学に興味のある方にはとても魅力的な制度ではないかと思います。

留学までに、語学研修などのサポートはある?

衆議院法制局と同様に留学制度のある衆議院事務局の語学研修に参加できます。留学までの準備期間にもよりますが、基礎レベルの研修から、応用レベルの研修まで、個々人の語学レベルに応じた語学研修を受講することができ、大変役立ちました。また、課長をはじめ同じ課の方々が留学準備を気にかけてくださったり、留学経験のある職員からも貴重なアドバイスをいただき、スムーズに留学準備ができたように思います。

留学したことが、仕事に活きている?(活かしていきたい?)

留学経験は、法制局での仕事に活きてくるのではないかと思います。
 留学中、自分の意見を発言する機会が多々あったのですが、自分では当然のことと思っていることでも、他の学生にとってはそうではないため、思うように説明できないという場面が何度かありました。様々なバックグランドを持つ人に対して、物事を分かりやすく伝えることの難しさを痛感するとともに、論理的で簡潔な説明をすることの重要性を意識するきっかけになったと思います。
 法制局で立案作業をしたり、資料作成を行う際にも、論理性、分かりやすさを追求していきたいです。

子育て中の職員への相談

衆議院法制局では、両立支援制度の活用促進をはじめ、ワーク・ライフ・バランスに配慮した働き方の実現に積極的に取り組んでいます。子育て中の職員に、実際に利用した制度や、仕事と子育ての両立等について聞いてみました。

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子育てと仕事の両立に当たり、どのような制度を利用した?

私には3人の子どもがいますが、その育児のため、男性職員が使える制度はほぼ全て利用しています。
 まず、出産の際には、「配偶者出産休暇」(※1)及び「育児参加のための休暇」(※2)を取得しました。子どもたちの新生児期には、それぞれ2ヶ月程度の「育児休業」を取得しました。育児休業からの復帰後は「育児時間」(※3)を利用して、勤務時間を短縮していました。現在は、「休憩時間の短縮」(※4)を利用しており、勤務時間は他の職員と同じですが、少し早めに帰宅しています。

   (注1)配偶者の出産に伴う入院等の付添い等を行う場合の休暇(2日間)
(注2)配偶者の産前産後期間中に出産に係る子等を養育するための休暇(5日間)
(注3)子を養育するため1日の勤務時間の一部を勤務しないことを認める制度
(注4)休憩時間を1時間から30分に短縮することができる制度

家庭ではどのような家事・育児を担当している?

家事・育児の優先順位についての認識を夫婦で共有した上で、明確な分担は決めずに状況に応じて必要なことをやっています。
 主にやっている家事・育児は、家事だと料理や洗濯、育児だと保育園への送り、食事の補助、お風呂等々でしょうか。寝かしつけもしていますが、たまに子どもに寝かしつけられています。
 妻と同じようにやっているつもりですが、上の子たちが妻の方にべったりな点だけは受け入れがたいです(笑)

子育てと仕事の両立に当たり、心掛けていることは?

長いスパンで仕事や家事・育児を頑張るには、自分自身が元気で前向きな気持ちになれることが大事だと思います。そこで、私は、早起きできた朝には自分が好きなことだけをする時間を設けて、「今日も頑張ろう」と思えるようにリフレッシュしています。

法制局は子育て中の職員に配慮してくれる職場?

衆議院法制局は、職員の数が少なく、「顔の見える職場」ですので、子育て中であることに限らず、それぞれの個別の事情にもきちんと向き合い、配慮してもらえていると感じています。
 職場の上司や同僚に非常に助けられているという実感があるので、私自身も、自分の子育てが一段落したら、同僚が育児休業や勤務時間の短縮等を取得しやすいような環境にしていきたいと思っています!

任期付職員(弁護士)への相談

衆議院法制局では、裁判所や省庁などからの出向者、地方公共団体からの研修員、任期付職員の弁護士など、多彩な人材が働いています。その中から、弁護士の職員に、志望理由や弁護士業務との共通点・相違点等について聞いてみました。

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衆議院法制局で働くことを志望した理由は?

法制局で働くことを志望したのは、法律を用いて社会全体に関わる課題の解決に携わりたいと考えたためです。
 私は、弁護士として6年半ほど法律事務所で執務し、幸いなことに民事・刑事を問わず幅広い分野の事件を経験することができました。ただ、その中で、具体的な紛争処理だけでは、依頼者と同様の悩みを抱えている多くの人を救えていないと痛感する場面があり、より広い観点から社会的な課題の解決に寄与できればという想いが強くなりました。
 また、弁護士として、顧客のニーズに応じた社内規程の整備や契約書の作成等の業務も多く取り扱っていたことから、そのための能力向上の観点からも魅力を感じました。

弁護士と比べて、求められる能力や働き方に共通するものはある?どのような違いがある?

1 共通点について

①依頼者の話をよく聴いてその趣旨をくみ取り、法的な知識や経験に基づいて最善の解決方法を提示するという点、②最終的な判断は依頼者が行うが、その判断に資するように複数の選択肢や必要な情報を提供するという点、③相手に対し、伝えるべきことを過不足なく論理的に伝えるという点において、その基本構造は共通していると思います。
 そのため、求められる能力については、共通するところが多いと感じています。

 (注)なお、働き方については、法律事務所によっても千差万別であるため一概には言えませんが、少数のチームで作業するという点も共通しているのではないかと思います。


2 相違点について

弁護士の場合、生の事実こそが最も重要であるため、まずは事実の調査をした上で、「既存の」法規範にあてはめて解決方法を導くという、いわば演繹的なアプローチをとることが多いと思います。
 一方、法制局では、社会で起こっている事象に共通する要素を抽出して、「まだ存在しない」法規範を創るため、いわば帰納的なアプローチになることが多いように感じます。


ただし、これはあくまで一側面に過ぎず、法制局においても、法が適用される場面での具体的な事例を想定した立案が求められていますし、逆に、弁護士も、個々の事象を抽象化して規範に昇華させる能力も今後一層求められていくと思います。
 このような双方向のアプローチを意識しながら、日々の業務に取り組んでいるところです。

実際に働いてみた感想は?

法制局では、関係者からのヒアリングや統計資料等を通じて社会の課題を把握し、現行法のどの条文のどの文言に問題があるのか、今どのような施策が必要なのかといった政策構想の段階から関与することができ、非常にやりがいを感じています。
 また、条文化のための立案能力の習得だけではなく、条文の解釈や説明等のための資料作成の能力が向上できている実感があるほか、新たな法制度構築の検討を通じて、答えのない未知の問題に対応する力も身に付けることができています。

(注)職員の所属は、執筆当時(令和3年2月)のものです。