設置の経緯及び概要

1.衆議院憲法調査会の設置の経緯

  平成11年の第145回国会において、国会法が改正され、「日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行うため」、各議院に憲法調査会が設置されることとなり、第147回国会の召集日(平成12年1月20日)から同調査会が発足しました。これは、国権の最高機関である国会において、施行から50有余年が経過した日本国憲法を論議の俎上に載せる初めての試みであると言えます。

【略年表】

昭和30年代 内閣に憲法調査会が設置され、7年間にわたる日本国憲法についての検討及び関係諸問題の調査審議の末、昭和39年7月に内閣及び国会に対し、本文及び別冊の12の附属文書からなる最終報告書が提出された。
平成9年〜平成11年2月 国会に憲法論議の場を設けようとする動きが、日本国憲法施行50周年(平成9年)を機として超党派(共産・社民を除く。)の議員により結成された憲法調査委員会設置推進議員連盟(会長中山太郎衆議院議員)における議論から本格化した。
同議連では、当初、常任委員会としての設置を目指していたが、憲法改正に直結するという危惧感からこれに反対する意見も強かった。このため、平成11年2月、自民・民主・公明・自由・改革クラブの5党間で、(1)議案提出権を持たない調査会を設置する、(2)議院運営委員会及び議会制度協議会で協議する旨合意するに至った。
平成11年3月 上記合意を受けて5党の幹事長が衆議院議院運営委員会委員長に対し申入れを行い、衆議院議長の私的諮問機関である議会制度協議会において、協議が開始されることとなった。
平成11年6月 議会制度協議会の協議結果報告を受け、衆議院議院運営委員会の国会法改正等に関する小委員会における議論が開始された。
平成11年7月 7月6日、国会法の一部を改正する法律案及び衆議院憲法調査会規程案を衆議院議院運営委員会提出案とすることに決し、同日、衆議院本会議で可決。
参議院においては参議院にも憲法調査会を設置する旨の修正を加えた後可決、そして、同月29日の衆議院本会議で回付案が同意され、成立した(8月4日に公布)。
なお、各議院の議院運営委員会理事会において、(1)憲法調査会は、議案提出権がないことを確認する、(2)調査期間は、概ね5年程度を目途とする、(3)会長が会長代理を指名し、野党第一党の幹事の中から選定する旨の申合せがされている。
平成12年1月20日(第147回国会召集日) 各議院に憲法調査会が設置される。
  

2.衆議院憲法調査会の概要

(1)設置の趣旨(国会法102条の6、衆議院憲法調査会規程1条)

衆議院憲法調査会は、日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行うため、衆議院に置かれた機関です。

(2)報告書(同規程2条)

衆議院憲法調査会は、調査を終えたときは、調査の経過及び結果を記載した報告書を作成し、会長からこれを議長に提出することになっています。
また、調査期間中においても、それまでの調査の経過を記載した中間報告書を作成し、提出することができることとなっています。

(3)調査会の委員(同規程3条、4条)

衆議院憲法調査会は、50人の委員で組織されます。委員は、各会派の所属議員数の比率により、これを各会派に割り当てる形で議長が選任します。

(4)調査会の会長及び幹事(同規程5条〜7条)

衆議院憲法調査会の会長(1人)及び幹事(9人)は、委員の互選により選任されます。会長は、調査会の議事を整理し、秩序を保持し、調査会を代表します。会長に事故があるときは、会長代理その他の幹事が会長の職務を行います。
衆議院憲法調査会の運営は、会長が主宰する幹事会で協議決定されます。会長は、幹事会において、会長代理その他の幹事及び幹事を出していない会派の委員(オブザーバー)の意向をよく聴いて、公平円満な調査会運営をするよう心がけています。

(5)小委員会(同規程8条)

憲法調査会は、小委員会を設けることができます。

(6)調査会の開会(同規程9条)

衆議院憲法調査会は、国会の会期中であると閉会中であるとを問わず、いつでも開会することができます。具体的な調査会の開会の日時は、幹事会で協議決定されます。

(7)委員派遣(同規程14条)

衆議院憲法調査会は、議長の承認を得て、調査のため委員を派遣することができます。このようにして派遣された委員が、派遣先で国民から意見を聴くことを、一般に「地方公聴会」と呼んでいます。

(8)会議の公開(同規程22条)

衆議院憲法調査会の会議は、原則として公開とされています。