第201回国会
官公庁における障害者の法定雇用率を守ることに関する請願
請願要旨 |
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省庁及び地方自治体の障害者雇用の水増しは、障害者を愚弄するものであり、また、まじめに障害者雇用に取り組み、法定雇用率に満たない場合には納付金を課せられてきた一般企業をも愚弄するものである。一九七六年に障害者雇用促進法を制定していたにもかかわらず、このような不正が続けられてきたことは、到底、許されない。そもそも範たるべき国が、このような水増しをしてきたことは、障害者、国民、企業にとっても許しがたいことである。また、障害者かどうかが本人の申告のみに任され、手帳の有無や診断書を確認しなかったことは、あまりにも不適切であったと言わざるを得ない。 ついては、次記事項を措置されたい。 一 手帳取得を希望する障害者には、取得の支援を行うこと。また、手帳取得を望まない障害者については、診断書などで確認の上、障害者として雇用を促進すること。 二 その上で順次障害者雇用をふやし、法定雇用率の水準、あるいはそれ以上の障害者を雇用すること。また、公正な採用試験を実施した上で、障害者権利条約に明記されている合理的配慮に基づき、採用、雇用、研修を行うこと。 |
処理経過(所管省庁における処理要領) 【主な所管省庁:厚生労働省】 |
一 現在、手帳取得を希望する障害者には、申請者の居住地を管轄する市町村の窓口等において、丁寧に対応していただいているところであり、引き続き、手帳取得を希望する障害者に対して、取得の支援を行っていく。 障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号。以下「障害者雇用促進法」という。)における「障害者」は、「心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」とされており、障害者手帳所持者に限らず、職業相談や職業紹介等の支援の対象となるものである。これらの支援を通じて障害者の雇用を促進しているところであり、引き続き着実に進めてまいりたい。 なお、障害者雇用促進法に基づく障害者雇用率制度では、法的公平性と安定性を確保するため、対象を明確かつ容易に判定できるよう、対象障害者の条件を、原則として障害者手帳等を所持していることとしている。 二 国の行政機関における障害者雇用の推進については、「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」(平成三十年十月二十三日公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議決定)に基づき各府省庁において策定された障害者採用計画(以下「採用計画」という。)に基づき、積極的に取り組んできたところである。 国の行政機関を対象として行った「採用・定着状況等特別調査」の結果によると、平成三十年六月一日時点で、国等の法定雇用率(二・五%)を達成していた六府省庁を除く、採用計画を作成した国の行政機関二十九府省庁全体における平成三十年十月二十三日から採用計画の終期である令和元年十二月三十一日までの間の法定雇用率上の障害者の採用者数は五千百九十七・〇人であり、 その結果、採用計画を作成した国の行政機関二十九府省庁全体の実雇用率は二・八四%となるとともに、全ての行政機関で法定雇用率を達成したところである。 また、令和元年六月に改正された障害者雇用促進法において、各府省庁に対して障害者活躍推進計画(以下「活躍推進計画」という。)の作成・公表を義務付け、令和二年四月一日に施行されたところである。各府省庁において作成する活躍推進計画には、障害特性に配慮した採用や定着支援、キャリア形成の取組を進めること等を盛り込むこととされており、活躍推進計画に基づき、障害者雇用に係る取組を進めているところである。 今後とも、各府省庁における採用・定着が着実に進むよう、障害者雇用を推進してまいりたい。 また、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)に規定する採用試験については、同法第二十七条に規定する平等取扱いの原則等の下、受験資格を有する者であれば、障害の有無に関わらず受験することが可能である。 募集及び採用時並びに採用後の合理的配慮の提供については、「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針」(平成三十年十二月二十七日付け職職―二六八・人企―一四四〇人事院職員福祉局長・人材局長通知)(以下「合理的配慮指針」という。)の策定や、各府省庁において提供された合理的配慮の事例の共有により、各府省庁において適切に提供されるよう努めている。 また、合理的配慮指針を踏まえ、障害のある職員が意欲と能力を発揮し、生き生きと活躍できる環境整備を進めていくため、障害者雇用に関する基礎知識や制度等の解説・活用方法等を盛り込んだマニュアルの作成のほか、 主に各府省庁の人事担当者を対象に障害についての基礎知識等について説明する講習会や、各府省庁からの依頼に応じて、障害のある方を一定期間継続して派遣する職場実習等の取組を行っており、各府省庁における障害者雇用の推進に努めている。 |
本請願の受理件数、付託委員会、紹介議員等は、請願情報をご覧ください。
第201回国会 498 官公庁における障害者の法定雇用率を守ることに関する請願(別ウインドウで表示)