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平成十二年十月十九日提出
質問第一六号

松島基地所属の自衛隊機墜落事故等に関する質問主意書

提出者  松本善明




松島基地所属の自衛隊機墜落事故等に関する質問主意書


 航空自衛隊松島基地所属の自衛隊機が、わずか三ヶ月余の間に、二件三機の墜落事故を起こした。事故機が連続して集落や原子力発電所の至近距離に墜落するという事態に住民は、自衛隊機の訓練飛行に不安を募らせている。周辺自治体は、防衛庁に強い姿勢で、事故原因の究明と抜本的再発防止対策を求めている。
 三月起きたT2型機の宮城県女川町への墜落は、三十数戸の集落から約五百メートル、女川原子力発電所から約九キロメートルという地点だった。七月のT4型機ブルーインパルス二機の牡鹿町山中への墜落は、自衛隊が飛行禁止区域としている女川原発の上空半径二海里内を通過し、原発から約四・五キロメートルという距離に墜落した。二件の墜落事故は、パイロット四名の尊い命を失い、一歩間違えば地域住民と原発を巻き込んだ、取り返しのつかない大惨事となるところであった。
 防衛庁は、相次ぐ重大事故にもかかわらず事故原因の徹底究明より、訓練再開を最優先する姿勢をとっている。T2型機墜落の際には、事故からわずか十二日後に訓練を再開した。しかも発表された「T−2型機墜落事故調査結果の概要」(八月一日発表)は、僅か一頁というきわめて簡略なもので、事故原因についての詳細はもとより、再発防止策などほとんどわからないものである。
 T4型機墜落の際は、T2型機の訓練支援を理由に、事故原因の徹底究明をまたずに、なし崩し的に飛行再開を強行しようとしている。
 今、防衛庁がおこなうべきことは、訓練再開を急ぐことではなく、住民の命と安全を最優先した事故原因の徹底究明であり、その結果にもとづく再発防止対策の確立である。
 したがって、次の事項について質問する。

一 T4型ブルーインパルス墜落について

 1 松島基地が関係自治体に示した「第4航空団所属T−4型機の飛行再開等について」(十月二日付)は、フライト・データ・レコーダの解析および事故機の残骸分析等からは航空機に異常がないことが確認されたとしているが、フライト・データ・レコーダの解析結果および残骸分析結果を明らかにされたい。
 2 事故機の高度、機首方位等に関するデータを明示した事故の経過を明らかにされたい。
 3 事故機の全飛行経路を明らかにされたい。
 4 事故の経過を正確に再現するために、交信時刻(時分秒)付の生の全交信記録を明らかにされたい。
 5 事故当時の気象状況の詳細について明らかにされたい。
 6 事故調査結果を発表する際には、「概要」ではなく全文を発表されたい。

二 T2型機墜落について

 1 八月発表した「事故調査結果の概要」は、A4紙一枚と「別紙」の「事故の経過」一枚という簡略のものであり、事故調査報告書全文を公表されたい。
 2 事故機の高度、機首方位等に関するデータを明示した経過を明らかにされたい。
 3 事故機の全飛行経路を明らかにされたい。
 4 事故の経過を正確に再現する交信時刻(時分秒)付の生の全交信記録を明らかにされたい。
 5 事故当時の気象状況の詳細について明らかにされたい。
 6 事故機の「尾翼が太平洋上で発見された」(「河北新報」三月二十三日付)との報道があるが、事故機の尾翼が発見された位置を明らかにされたい。また発見された尾翼全体の状況を明らかにされたい。
 7 「現場付近で墜落の様子を目撃した建設会社作業員は『低空飛行の飛行機が空中で爆発した』と話している」(前出紙)との目撃証言をはじめ機体が異常と見られる証言が各紙で報道されている。これらの証言について、事故の原因との関係でどのように検討し、どのように判断したのか明らかにされたい。

三 女川原子力発電所上空の飛行について

 1 防衛庁は、T4型事故機が飛行禁止区域の「女川原発から半径二海里内の上空」を飛行したことを認めているが、事故機が禁止区域内を飛行した経過(航跡、高度、時刻等)を明らかにされたい。また事故機の位置を把握すべき基地管制は、なぜ事故機に飛行禁止区域内を通過させたのか。
 2 松島基地では、女川原発から半径二海里範囲の上空を原則として飛行しないことを、飛行前のブリーフィング等で徹底しているというが、同基地の「規則」や「進出帰投要領」には明記されていない。女川原発上空の飛行禁止方針を徹底するのなら、関連諸規則に明記すべきではないか。
 3 航空法第八〇条は、「航空機は、運輸省令で定める航空機の飛行に関し危険を生ずるおそれがある区域の上空を飛行してはならない」と規定している。この規定にもとづき原子力発電所の上空を飛行禁止区域にすべきではないか。
 4 原発立地十四道県で組織する原子力発電関係団体協議会は、「原子力発電所等周辺上空をすべての航空機の飛行禁止区域とするよう、航空法等関係法令の改正を図られたい」と政府に要望しているが、こうした措置をとるべきではないか。

四 曲技飛行訓練空域の見直し等について

 1 松島基地が関係自治体に示した「第4航空団所属T−4型機の飛行再開等について」(十月二日付)によれば、「ブルーインパルスが使用する金華山東側空域の使用要領等について検討を行う」としているが、その内容を明らかにされたい。
 2 T2型機とT4型機の墜落事故は、牡鹿半島特有の濃い海霧が発生した気象条件のもとで起きており、防衛庁も気象環境を事故の遠因にあげている。二件の墜落事故は、この地域の気象環境が訓練空域としての不適格性を証明しているが、防衛庁はこの点についてどのように検討したか。
 3 ブルーインパルスの危険な曲技飛行訓練をおこなう「金華山沖空域」は、女川原発から五キロメートル、住民が生活する海岸線から一キロメートルしか離れていない。もう一つの「松島基地周辺空域」は、住民が日常生活を送っている上空にある。これら訓練空域は、住民、原発を巻き込んだ重大事故を招く恐れがつよいので、廃止を含めた見直しをおこなうべきと思うがどうか。
 4 危険な曲技飛行訓練、気象環境による訓練空域の不適格性、騒音対策上などから、松島基地からブルーインパルスを撤去すべきと思うがどうか。
 5 危険な曲技展示飛行は、外国でも多くの事故が発生し、中止や減少している。一九八八年、ドイツ国内の米軍基地で、観客を巻き込む死者七十人の大事故がおきた。それ以降、ドイツ国内では、曲技展示飛行がおこなわれていない。また、イギリスでは財政事情から展示飛行回数が減っているという。ブルーインパルスの曲技展示飛行は、自衛隊の宣伝目的だけにおこなわれるものである以上、危険な曲技飛行は、その必要性も認められないので中止すべきと思うがどうか。

五 騒音対策等について

 1 松島基地周辺住民は、事故の危険と騒音被害の中で暮らしている。安全対策とともに騒音対策も緊要の課題である。
 早朝、夜間および昼休みは、市民のやすらぎや憩いの時間であり、少なくとも、この時間帯の飛行訓練は避けるべきと思うがどうか。
 2 住宅防音告示区域外でも告示区域との境界周辺は、区域内と同等の騒音被害を受けているが、告示区域外のため住宅防音工事対象外となっている。告示区域の早急な見直し拡大を図るべきと思うがどうか。
 3 狭い地域の土地利用という事情があり、区域指定の告示後に新築または増築した住宅にたいしても補助対象とすべきである。とくに告示前に住宅を建設する目的で土地を取得した者にたいしては、告示前住宅と見なし住宅防音補助対象とすべきであると思うがどうか。
 4 現在の日本放送協会放送受信料基準は、一九七〇年に改正されたものであり、その後、配備機種の変更、機数の増加等によって、騒音量の増大、フラッター現象や音声が聞こえなくなる現象が増加しており、受信料半額免除対象地域を拡大すべきと思うがどうか。
 5 二〇〇三年から松島基地に配備されるとしているF2支援戦闘機は、高出力エンジンを搭載し、騒音の増大および被害地域の拡大につながるので配備を中止すべきと思うがどうか。
 6 防衛庁が発表した「第4航空団(松島基地)における飛行安全確保のための態勢について」によれば、基地への進出帰投経路に陸上上空を飛行する「RIKUZENルート」を設けた。しかし、このルート下で生活する住民は、墜落事故の危険や騒音被害が増すばかりであり、再発防止対策にはならないのでルートを変更すべきと思うがどうか。

 右質問する。



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