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平成十二年十二月一日提出
質問第七三号

広島大学歯学部第一口腔外科教授選および資質に関する質問主意書

提出者  保坂展人




広島大学歯学部第一口腔外科教授選および資質に関する質問主意書


 今年六月二日森喜朗内閣総理大臣より、「一九九六年五月二十三日、広島大学歯学部口腔外科第一講座教授に選出された人物の資質について疑問がある。地元医療関係者の指摘では教授就任後、地域住民や開業医の期待している悪性腫瘍を含む難手術をほとんど執刀できず、臨床講座の主任教授としての責めを果たしていないのが現状である」と指摘した広島大学歯学部第一口腔外科教授選および関連諸問題に関する質問に対する答弁書を受領した。答弁書には調査中の案件または事実に相違している部分が多数あり、「虚偽の報告」をする大学側の姿勢が随所に見受けられる。
 大学の医・歯学部には「臨床(治療)」「教育」「研究」があると思うが、中でも臨床系の教授が、治療行為が可能な資質を備えていなければ、その地域に住む患者にとっては不安ではないだろうか。特に中国地方にはがんセンターもなく、この地方の最高の医療機関としての期待は大きいと思われる。患者が安心して手術を受けられるよう改革と改善を求めて第一口腔外科教授の選考経過と資質の適否について、以下質問する。

一 教授選考について

 広島大学教員選考基準は、先の質問主意書でふれたとおり「学位」「研究実績」「学問上の業績」を定めている。その点をふまえて確認したい。
 (1) 教授は教育研究実績として学生教育の講義を年間何時間行ったのか。また実績論文数は何編あったのか。
 (2) 臨床実績としての臨床従事年数は何年間どこで、どのような内容で行われたのか。また、手術執刀に必要な全身麻酔の研修は受けているのか。
 (3) 医者を選ぶ業者にとって判断材料として重大な経験であり条件である執刀医を務めた症例は過去五年間で何例になるのか。さらに過去二年間には症例がないというのは事実なのか。明らかにされたい。
 (4) 手術症例が一〇〇例以上必要とされる口腔外科認定医の資格はあるのか。さらに認定医を指導する指導医の資格はどうか。
 (5) 新教授選考資料の中に他人の論文や学位論文のデータ流用があると「安心して広島大学歯学部第一口腔外科で手術を受けることを希望する一万人委員会」は次のように報告している。
 一九九六年三月二十二日(平成八年)に提出した。Androgen− Dependent Expression of Fibroblast; Growth Factor−1 in Submaxillary Gland of Mouse. Okamoto,Tet,al Biochemicak and Biophyscal Research Communications 221(1996)796−802には Fig.1からFig.4とTable の5つのデータがあるが、すべて次の論文のデータをそのまま使用している。その論文とは、マウス顎下腺に存在する線維芽細胞増殖因子 −1の精製、遺伝子クローニングならびに機能解析 藤田善教、他、日本口腔外科学会雑誌 第四〇巻 第七号 七〇七−七一六 一九九四(平成六年)。同教授の論文は学内公募の締め切り後に提出されていて、上記二つの論文のabstract(英文)の内容はほぼ同じ。
 普通論文に他人の図表を引用したら Reference に記載するし、図表の下に注釈としてその論文の筆頭者、論文名、年数等を記載するが、同教授の論文にはこれらの記載はない。
 Growth and differentiation of human periodontal ligament derived cells in serum− freedefined culture.Okamoto,T.,et,al,In Vitro Cell.Dev.Biol 32:(in press),1996 はヒト歯周靱帯由来細胞の増殖と分化に関する細胞内分泌学的研究、八塚信博 thesis(学位論文)一九九六と写真、図式が全く同一である。
 前回の答弁書には調査中とあるが、その後広島大学からどのような報告を受けているのか明らかにされたい。これらの事例は教授選考資料であり、単に研究者のモラル欠落として片付けられるのか問いたい。
 (6) 新教授は平成四年六月二七日から八月七日まで四十一日滞在してドイツ連邦共和国ハノーバー医科大学顎外科で研修し、「口腔の癌、顎変型症、口唇、口蓋裂などの顎顔面外科手術の研修によって外科手術の技術を培った」と報告している。しかも、一万人委員会が入手した資料によると、ハノーバー医科大学教授 J.E.Hausamen氏の手紙では、『新教授は七月二日、三日、六日、九日の四日間手術の研修をした』と述べられている。これは、虚偽の報告ではないのか。事実はどうなのか明らかにされたい。

二 地域住民に対する医療供給体制

 (1) 一九九六年五月に第一口腔外科の新教授となった後の第一口腔外科の患者数は九六年度が前年比六・一%減、入院では十七%減った。患者の不安が広がったからではないかと思うがどうか。
 (2) 医療事故を起こして以来、手術はほとんど執刀していない状況で、医員の指導や学生教育に支障をきたしているが、その職務を全うしていると言えるのか。また職務とは何なのか明らかにされたい。

三 博士号(乙種)授与

 (1) 「広島大学学位規程歯学部研究科内規第九条の研究歴期間に対する申し合わせ」によると
 @ 週五日以上の勤務をフルタイム勤務とみなす
 A 教務員および医員等のフルタイム勤務者の研究歴はその期間を全部研究歴と認める。医学研修生等の研究歴は実情に応じて期間を求める
 B 他の病院への出張期間については最高一年まで研究歴期間として認める
 C 二講座以上にまたがる研究歴など特殊事例については実情に照らして研究科委員会で判断する
となっている。しかし、基礎系講座は五年以上、臨床系講座は六年以上の研究歴が必要であるが、五年に満たない事例が増加している。内規に反して学位を授与するような事例はないとする根拠を明らかにされたい。
 (2) 博士号取得にともなう謝礼の授受については九八年九月『サンデー毎日』紙面で「謝礼もすべての教授が受け取っているわけではありませんし、それによって学位の判定は左右されません」と長坂信夫学部長が発言している。しかし、学位の謝礼は当事者が一般的に研究費用として研究途上でまとまった金額を寄付するか、学位を授与されて礼金として一般常識以上の金品を出す。すなわち謝礼が職務に関してなされていると思われるが見解を問いたい。
 (3) 乙種学位申請論文の論文受理発刊証明書添付について、広島大学名誉教授高田和彰氏は「平成八年まで(自分が退官する)は必要だった」と証言している。事実関係を明らかにされたい。もし必要ないとするなら、学位の甲種と乙種がまったく同じ形で申請できることになる。国内にこのような安直な学位に関する内規をもつ大学、学部の例があるのか。

 右質問する。



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