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平成十三年五月十六日提出
質問第六七号

「個人情報の保護に関する法律案」に関する質問主意書

提出者  北川れん子




「個人情報の保護に関する法律案」に関する質問主意書


 報道機関等が多大な懸念を表明しているなか、個人情報の保護に関する法律案が国会に提出された。市民個々がもっている、私的生活秘匿の自由を保障するプライバシーの権利は、憲法一三条の幸福追求権に含まれるものと解されており、守られなければならないことは当然であり、そのための法制化も必要な状況にある。だが他方、表現の自由は憲法二一条によって保障されており、報道機関による取材活動に国家が介入することは許されず、その恐れがある法律制定は極力控えられなければならない。そのうえで各報道機関は、市民個々のプライバシーの権利を尊重して取材活動にあたり、その名誉や人権が侵されることのないよう最大限の努力をもって対処すべきで、それらは常日ごろからの地道な自主的な努力を積み重ねることが肝要で、そうすることで報道が世論からも支持されうるものとなると考える。さて本法案についてかんがみると、表現の自由が侵される余地があると指摘する向きもあり、危惧すべき点が多々見受けられる。以下、質問する。

一 「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関」(以下「報道機関」という。)が、新聞、週刊・月刊雑誌、書籍、テレビ・ラジオ、インターネット等に掲載、放送、配信するドラマ、バラエティー番組、アニメーション、小説、評論、コラム、文芸作品、史実に基づいた番組・小説、放送大学等教育・教養番組、マンガ、投書・投稿、映画などを編集・制作、執筆するに当たって、取り扱う個人情報は、第五十五条の「報道の用に供する目的」として第五章「個人情報取扱事業者の義務等」の適用対象から除外されるのか否か。それぞれについてその理由とともに見解を示せ。
二 報道機関が、新聞、週刊・月刊雑誌、書籍、テレビ・ラジオ、インターネット等に掲載、放送、配信する週刊誌の広告や企業の広告の編集・制作に当たって、取り扱う個人情報は、第五十五条の「報道の用に供する目的」として第五章の適用対象から除外されるのか否か。その理由と合わせて見解を示せ。
三 報道機関が、「報道の用に供する目的」として取り扱った個人情報が、報道されなかった場合でもこの個人情報は、第五章の適用対象から将来にわたって除外されるのか、否か。その理由とともに見解を示せ。
四 報道機関が、過去に報道した記事を、データベースとして提供する行為は「報道の用に供する目的」として、第五章の適用対象から除外されるのか否か。その理由と合わせて見解を示せ。また、新聞、雑誌、書籍の発行前にインターネット等を利用して速報した行為は第五章の適用対象から除外されるのか否か。また、発行前にデータベース化されて提供する行為は第五章の適用対象から除外されるのか否か。その理由と合わせて見解を示せ。
五 報道機関が野球やサッカー等のスポーツ競技中継、音楽番組、劇場用映画などの放送、配信等を行うために取り扱われる個人情報は、「報道の用に供する目的」として、第五章の適用対象から除外されるのか否か。野球やサッカー等のスポーツ競技、音楽番組、劇場用映画などのそれぞれについて、その理由とともに見解を示せ。
六 野球やサッカー等のスポーツ競技、音楽番組、劇場用映画などを専門に制作し、放送、配信、公開する者(放送委託事業者、映画製作会社等)は、報道機関に該当するのか否か。それぞれの取り扱う者について、その理由とともに見解を示せ。
 また、これらの者が取り扱う、野球やサッカー等のスポーツ競技、音楽番組、劇場用映画などを放送、配信する目的で取り扱われる個人情報は、「報道の用に供する目的」として第五章の適用対象から除外されるのか否か。それぞれの取り扱う者について、その理由とともに見解を示せ。
七 公衆に事実を伝える手段を有しない個人がフリー・ジャーナリストとして活動を開始しようとする場合、「報道の用に供する目的」として初めて取り扱う個人情報は、報道機関が「報道の用に供する目的」として取り扱う個人情報に該当するのか否か。その理由とともに見解を示せ。
八 第五十五条の「大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者 学術研究の用に供する目的」にある、「機関若しくは団体」に、法人格を持たない組織や任意団体を含むのか、否か。団体に属さない個人研究者は、この項目に該当するのか否か。その理由とともに見解を示せ。
九 第五十五条では宗教団体や政治団体が取り扱う宗教、政治活動に供する目的の個人情報に関しても第五章の適用を除外している。自民党や公明党、共産党そして社民党等政党・政治団体が発行する「自由新報」「公明新聞」「赤旗」そして「社会新報」等に掲載する目的で取り扱う個人情報は、第五章の適用対象から除外されるのか否か。その理由と合わせて見解を示せ。適用が除外される場合、「政治活動(これに付随する活動を含む。)の用に供する目的」として、除外されるのか。「報道の用に供する目的」として除外されるのか。その理由とともに見解を示せ。
 政治活動であれば、その場合の読者リストも政治活動として適用の除外対象となるのか否か、その理由とともに見解を示せ。
 報道であれば、党員リスト、後援会・支援者リストと読者リストが同じ場合は、どのようなケースで政治活動になり、どのようなケースで報道となるのか。第五章の適用対象から除外されるのか否か。具体的事例を挙げて、見解を示せ。
 また、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞、週刊現代、週刊ポスト等新聞、出版社が所有する読者リストは、第五章の適用となるのか、否か。その理由とともに見解を示せ。
一〇 個人情報保護法制化専門委員会(園部逸夫委員長)の「個人情報保護基本法制に関する大綱」では、基本原則について「なお、個人情報の保護に当たって個人情報の有用性に配慮することとしている本基本法制の目的の趣旨に照らし、個々の基本原則は、公益上必要な活動や正当な事業活動等を制限するものではない。基本原則実現のための具体的な方法は、取扱者の自主的な取組によるべきものである。この趣旨は、報道分野における取材活動に伴う個人情報の取扱い等に関しても同様である」としている。政府のIT戦略本部は「大綱を最大限尊重し」としているが、法案では該当する条文はない。法案に盛り込まなかった理由を示せ。
一一 気象業務法や水防法が規定する「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関」の範囲を示せ。個人情報の保護に関する法律案の「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関」の範囲を示せ。その対象は同じなのか否か。異なる場合は、その理由とともにその異なる具体的な範囲を示せ。
一二 第五十五条第一項第三号及び第四号にある「(これに付随する活動を含む。)」の具体的事例を示せ。また、第一号及び第二号に盛り込まなかった理由を示せ。

 右質問する。



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