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平成十四年七月三十一日提出
質問第一九三号

情報公開請求者の「応接記録」に関する質問主意書

提出者  保坂展人




情報公開請求者の「応接記録」に関する質問主意書


 防衛庁で発覚した「情報公開請求者リスト」問題は、どうやら一防衛庁のみに発生した特異な事態ではないことが、衆議院決算行政監視委員会における質疑によって判明してきた。
 情報公開法の目的規定は、「国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有する諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする 」(第一条)というものであり、法律をどのように読んでも「情報公開請求者を何者であるかを国家が逆調査する」ことであってはならないはずである。
 しかし、倒錯した解釈と運用が進んでいた。防衛庁の作成していたリストは、海上自衛隊三佐が突然に発案したものではなく、情報公開法の施行当初から、これらの作業を当然とする空気が関係者に存在したことを裏付ける資料も続々と出てきている。
 率直に言って、総務省は法の施行にあたって、情報公開制度を所管省として正しく解釈し、運用を指導してきたのだろうか。防衛庁の不祥事にともなって、「情報公開制度」に対しての信頼も著しく低下している。すみやかに、かつ正確な回答を求めるものである。

一 本年六月五日、衆議院決算行政監視委員会において、総務省が情報公開法施行前に各省庁に配布したマニュアルやガイドラインの中に、「応接の記録を作った方がいい」ということを周知しているかと質したところ「応接要録までつくれという指示はしているわけではございません」と総務省は否定した。その後、実際には事前配布の『情報公開事務処理の手引き』(総務省行政管理局情報公開法施行準備室)に「応接記録をつくるのは望ましい」との文言があったことが判明し、事実と異なる答弁であったことが判明した。なぜ、このような答弁・説明をしたのか。
二 七月三日、同委員会にて、この矛盾を質したところ「質問の内容が、情報公開法に基づく開示請求者につきまして、開示請求手続きにおける応接記録を作成するべきではないか。そういうことを周知しているのではないか」と解釈して、「そのようなことまでは指示していないと答えた」と総務省は再説明を加えた。この説明に間違いはないか。
三 六月五日の質問の後で、総務省のマニュアルに書かれている「応接記録」の趣旨は、あくまでも「情報公開窓口」において懇切丁寧な対応をめざすために「応接記録を作るのが望ましい」としてきたのであって、防衛庁のように「開示請求者」についての応接記録ではないとの説明を私は総務省の担当官から受けている。この説明は正しいのか、不十分だったのか。
四 総務省が施行後に使用しているマニュアルには、「応接記録作成が望ましい」どころか、省内の『様式二十一』の書式に従って「必ず作成すること」となっている。総務省の運用マニュアルには、正確にどのような「応接記録」についての記載があるのか。なぜ、施行以前のものよりも「応接記録」を重視するような書きぶりになっているのか。その間の経過も含めた説明を求める。
五 総務省は、これまでに何人分の応接記録を作成したか。補正や情報開示の際には、複写が添付されるというが、それら複写された応接記録の枚数は何人分なのか。
六 他省庁で応接記録を作成しているところはどこか。総務省が委員会に提出した資料によると、内閣府、警察庁、防衛庁、総務省、法務省、外務省、厚生労働省、経済産業省、環境省とあるが、漏れはないか。他に公安調査庁等の各省庁の外局についても列挙されたい。また、千八百の窓口のうち、情報公開請求者について、応接記録を作成しているところと、作成していないところはそれぞれ何箇所か。
七 なぜ、これだけ広範に「応接記録」が作成されるようになったのか。情報公開法制定当時の議論を遡ってみたが、情報公開請求者の「応接記録」という発想の痕跡を探すことは出来なかった。施行前に、いつ誰がどのような形で「応接記録」という提案をし総務省のマニュアルに掲載し、さらに細かく記録をとるようになったのか。事の経緯を説明されたい。
八 警視庁の情報公開センターには、室内のカウンターに現れた情報公開請求者を天井部から無断で撮影するカメラが設置されているという。ズーム機能もあり顔写真を撮影することも可能な高機能のカメラで撮影された映像は、「応接記録」なのか。技術的にはスチール写真として出力することも可能であれば、「応接記録」に写真を添付すること等もあるのか。こうしたカメラは情報公開法の理念と目的から、かけ離れたものでありすみやかに撤去すべきではないのか。他の省庁でも情報公開請求者のカメラ撮影をしている役所はあるのか。由々しき事態につき、政府の責任ある答弁を求めたい。

 右質問する。



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