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平成十四年十月二十四日提出
質問第四号

情報公開法の現状に関する質問主意書

提出者  金田誠一




情報公開法の現状に関する質問主意書


 情報公開法が施行されて一年以上を過ぎたところであるので、その現状に関して政府の見解を以下ただしたい。

一 文書の保存期間について
 情報公開法の目的である「国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利」(同法第一条)は、行政機関が文書を適切な期間保存することではじめて保障される。
 しかるに報道によれば一部の行政機関において以下のような文書の取扱いが行われているという。
 「『大臣の過去の予定は法施行前に廃棄した。その後の予定は毎日破棄している』。ある省の情報開示担当者は、事もなげにそう言い放った。『大臣本人が終わるとやぶり捨てている』という省もあった」(「情報公開法一年半──知る権利阻む官僚の『不開示三原則』」二〇〇二年八月十一日付『日本経済新聞』第十五面)。
 文書の作成後即座に廃棄されるのであれば、情報公開法は実質的に機能しなくなる。そこで以下の点に関して政府の見解を明らかにされたい。
 1 右記事が報じるように作成後に保存期間をおかずに文書が廃棄されている実態があるのであれば、各行政機関ごとに廃棄されている文書及びその理由を明らかにされたい。
 2 行政機関の文書処理規則において文書の保存期間が一年未満という定めのあるものが見受けられる。しかしながら一年未満という保存期間は、一年以上の保存が許されないと理解されるものであり、最低限保存されるべき期間が不明である。
 そこで行政機関の文書処理規則において保存期間が一年未満という定めがある場合、その最低限の保存期間について明らかにされたい。
 3 保存期間が一年に満たない文書は、情報公開法に基づく行政文書開示請求が実質的に困難である。言い換えれば行政文書開示請求を実質的に担保するためには、文書の保存期間は最低一年間は必要と考えるが政府の見解はどうか。
 4 行政文書ファイル管理簿への掲載を経ることなく廃棄されている文書は存在するのか。存在するのであれば、それら文書と行政文書ファイル管理簿への掲載がされることなく廃棄される理由について明らかにされたい。
二 諮問の遅れについて
 政府の推進している司法改革の一つは裁判の迅速化であり、このため「裁判所で二年以内に判決が得られるように裁判の充実・迅速化を図ります」(「国民一人ひとりが輝く透明で開かれた社会を目指して」(平成十四年七月五日 第五回司法制度改革推進本部顧問会議))との目標を掲げている。
 情報公開法において行政機関の長が行う不服申立に対する裁決・決定は、これより更に迅速に行われることが望ましいのは言うまでもない。
 そこで以下の点に関して政府の見解を明らかにされたい。
 1 司法制度改革において裁判の判決までの期間を二年と目標を置いている現状に鑑み、情報公開法における不服申立に対する裁決又は決定は、不服申立から情報公開審査会における答申を経たとしても二年以内で完了されるべきであると考えるが政府の見解はどうか。
 2 不服申立に対する答申の遅れの主な原因として、各行政機関の諮問の遅さを指摘したい。内閣衆質一五四第一二四号答弁(平成十四年八月二日)によると、不服申立に対して情報公開審査会に諮問を行うに当たって平均百日以上かかっている行政機関が大半である。
 諮問にかかる事務的な手続だけで百日以上を経過することは理解に苦しむ。
 そこで諮問に関して事務的な作業に百日以上を要する理由を明らかにされたい。また事務的な作業以外にその理由があるのであれば、それについて明らかにされたい。
三 秘密区分等に関して
 情報公開法における不開示情報と行政機関における秘密指定は密接な関連があるところだが、この秘密指定が行政機関ごとに異なる現状は、不開示情報を客観的に判断するに当たって混乱を引き起こすものであり、以下の点に関して政府の見解を明らかにされたい。
 1 過去において行政機関における秘密文書等の取扱いに関して統一的な基準を設けたものとして「秘密文書等の取扱いについて」(昭和四十年四月十五日 事務次官等会議申合せ)(以下「申合せ」という。)及び「秘密文書等の取扱いについて」(昭和四十七年五月二十六日 首席内閣参事官通知)(以下「通知」という。)が存在する。そこで以下の点を明らかにされたい。
 @ 申合せでは、当申合せで定めた秘密文書の取扱いを「当該省庁の文書取扱の規程にもり込むこと」を定めている。そこで申合せに従って各省庁が取った具体的措置について明らかにされたい。また同様に通知についても明らかにされたい。
 A これら申合せ及び通知は今日においても効力を有するのか、効力を有していないのであれば失効した時期を明らかにされたい。
 2 申合せに関して以下の点を明らかにされたい。
 @ 申合せは、秘密文書の作成に当たって「当該文書に作成部課名を表示すること」と定めているが、作成部課名が表示されないまま当該文書を秘密に指定している行政機関があれば、その理由を明らかにされたい。
 A 申合せは「秘密文書には、秘密にしておく期間を明記し、その期間が経過したときは、秘密の取扱いは、解除されたものとする」と定めている。この定めに従えば、秘密に指定する期間を「無期限」と定めたり、あるいは具体的な期間を明記せずに秘密に指定することは許されないと考えられるが、この点に関して政府の見解を明らかにされたい。
 またこの定めに従わず秘密に指定する期間を「無期限」と定めたり、あるいは具体的な期間を明記せずに秘密に指定している行政機関が存在するのであれば、それを行っている理由を明らかにされたい。
 3 通知に関して以下の点を明らかにされたい。
 @ 通知は「実質上秘密文書として取扱うことが適当な内容のものについては、今後『部外秘』又は『取扱注意』という区分を廃し、申合せ第二項による『秘』によることとすること」と定めている。
そこで、同通知にもかかわらず現在も「部外秘」又は「取扱注意」という区分を有している行政機関があれば、その機関とそうした区分を有している理由を明らかにされたい。
 A 通知は「申合せ第三項にいう課長に『準ずる者』は、課長相当職以上のものに限定すること」と定めている。
 そこで同通知にもかかわらず現在も「準ずる者」に課長相当職よりも下の者が含まれている行政機関があれば、その機関と課長相当職よりも下の者が含まれている理由を明らかにされたい。
 4 秘密に指定された文書であっても、その指定期間が過ぎれば秘匿の必要性はなくなる。このことは申合せが「その期間が経過したときは、秘密の取扱いは、解除されたものとする」としていることから政府も認めるところであると考える。
 すなわち秘密に指定された文書であっても、その指定期間が終了すれば全文開示が可能となるのである。
 しかるに秘密の指定期間が終了後、即座に廃棄されるのであれば、これら秘密指定文書の全文開示は不可能となってしまう。
 そこで情報公開法による行政文書開示請求に資するため、秘密に指定された文書はその指定期間終了後の一定期間保存することないし、指定期間終了を迎える秘密指定文書の一覧の公開を政府に求めたいが、この点に関して政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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