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平成十五年二月二十四日提出
質問第二六号

米国によるイラクへの武力行使に関する質問主意書

提出者  江田憲司




米国によるイラクへの武力行使に関する質問主意書


 米国によるイラクへの武力行使が想定される中、この問題の処理を誤れば、我が国の国際社会における地位、のみならず今後の世界秩序の形成に取り返しのつかない悪影響を及ぼすとの危機意識から、「査察継続支持。武力行使は万策尽きた後の最後の手段」という立場で、政府の外交・安全保障政策、イラク問題への対処方針について、以下質問する。

一 「日米同盟」について問う。
 1 政府の公式文書で、「日米同盟」という場合の「同盟」の定義如何。日米安全保障条約のように「軍事的に片務」の場合も、国際通念(法)上、「同盟」と称するのか。
 2 湾岸戦争当時を含め、軍事同盟の色彩の濃い「同盟」という表現は、政府の公式文書(総理の施政方針演説等)では慎重に避けていたはずであるが、最近頻繁に使用されるのは、日米間の安全保障関係に、実質的な変更があったという認識に基づくものか。そうなら、いかなる情勢変化、内実の変更等があったのか。
 3 小泉首相が国会で答弁された「同盟国として責任ある対応をしていかなければならない」とは、どういう意味か。
二 戦後日本外交の基本とされてきた「日米基軸」と「国連中心主義」について問う。
 1 現在でも、この二つが日本外交の基本と理解してよいか。
 2 この二つが利益相反する場合、すなわち、米国の利害が国連と対立した場合、我が国は、どちらの側を優先すべきと考えるか。
三 日米安全保障条約に基づき、米軍が日本に基地を置き、駐留していることの意義について問う。
 1 日本への米軍駐留は、我が国のみならず、米国の国益にも合致すると政府は考えているか。左記の観点毎に見解を述べられたい。
 イ 極東(朝鮮半島を含む)の平和と安全
 ロ 湾岸戦争、アフガン攻撃、イラク攻撃準備等のための艦船、兵力の寄港、派遣
 ハ 米国が二一世紀最大の脅威としている中国への戦略的要衝の地の確保
 2 「米国に日本を守ってもらっている以上、安全保障に係わる問題については、米国の考えに同調(追随)すべき」という考えがあるが、政府の見解如何。過去の、「普天間基地返還」、「沖縄の海兵隊削減」、「普天間代替施設の十五年期限」問題等に照らし、回答されたい。
四 テロ対策特別措置法の正当性について問う。
 1 同時多発テロ直後の国連決議一三六八は、当時あの中国でさえ賛成したように、またアナン国連事務総長も認めたように(二〇〇一年十月二日)、テロ撲滅のための国際社会の断固とした取組を求める「一般的決議」でしかなく、アフガニスタンへの武力行使までも正当化するものではなかったのではないか。
 2 米国のアフガン攻撃の国際法上の位置付けは、米国自身も認めているように「自衛のための戦争」である。同盟国の自衛戦争に対する軍事的な協力は「集団的自衛権」の行使そのものではないのか。
 3 小泉首相が当時、「憲法の前文と憲法九条の間のすき間」と衆院予算委(二〇〇一年十月五日)で答弁したのは、いみじくも、こういう問題点を指摘したのではないのか。
五 以上を前提として、今次イラク問題について左記の点について政府の見解を明らかにされたい。
 1 武力行使は「自衛のための戦争」か「国連安保理決議で認められた場合」に限られるという国際法秩序は、今後とも厳守すべきと考えているか。
 2 「武力行使は万策尽きた場合の最後の手段」という考えに同意するか。
 3 一九九八年当時、米英によるイラク攻撃があったが、どの国連決議に基づき正当化されたのか。また、日本政府の「支持」表明の理由如何。
 4 今回、米英が新たな国連決議なしでイラク攻撃に踏み切る場合、その正当化根拠をどこに求めるのか。川口外相は予算委で「国連決議一四四一自体は武力行使を容認していない」が、「ロジックとしては国連決議六八七、六七八に基づき武力行使が許される場合がある」旨の答弁をしているが、そう理解してよいか。
 5 その場合、九八年の例と平仄を合わせるなら、日本は「支持」の選択肢しかないのではないか。対応が異なるなら、それはどういう事情によるものか。
 6 「イラクがクウェートに侵攻する以前への原状回復と、従わない場合の必要なあらゆる手段」を認めた国連決議六七八を、事情が異なる別のケースに適用するのは、国際法上許されないのではないか。
 7 報道によれば、「北朝鮮問題で米国に協力を求めざるを得ない以上、イラク問題では米国を支持するしかない」との政府部内の議論が紹介されているが、その真偽及び議論の是非如何。
 8 原口国連大使の国連演説(二月十八日)では、「査察継続の有効性を疑問視」しているが、ブリクス委員長報告では「問題はあるが査察は改善しており、イラクの武装解除にはもっと査察に時間が必要」とされている。査察について独自情報を持たない日本が、査察団報告を信用しない理由は何か。
 9 査察が有効に継続している限り、少なくともサダムフセインの暴発、大量破壊兵器等の使用を封じ込めることができるのではないか。そういう意味で、当面査察を継続することにどんな問題があるのか。
 10 アラブ諸国の大勢が反対という現状で、あえてイラク攻撃に踏み切った場合のイスラム対キリスト「宗教戦争」、「宗教対立」の危険性をどう認識しているか。
 11 シリア外相の、イラクを問題にするなら「イスラエルは累次の国連決議に違反し、大量破壊兵器を持ちながら査察も拒否し、パレスチナの独立も認めていない」という趣旨の発言に対し、どう政府は反論するのか。
 12 イラク攻撃を日本が支持した場合の、我が国に対するテロ等の危険性の増大をどう認識しているか。

 右質問する。



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