衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十五年六月十日提出
質問第九八号

「国立の大学及び研究機関等における非常勤職員の雇い止め問題」に関する質問主意書

提出者  山内惠子




「国立の大学及び研究機関等における非常勤職員の雇い止め問題」に関する質問主意書


一 文部科学省管轄の幾つかの国立大学及び研究機関等において、二〇〇三(平成一五)年三月三一日での非常勤職員の雇い止め(実質解雇)問題が起きている。文部科学省として、雇い止めの指導をしているのか、また、現在任用している非常勤職員の総数・雇用形態の種類・形態別の人数、二〇〇二(平成一四)年度末をもって雇い止めした非常勤職員の総数・雇用形態別の人数を明らかにされたい。
二 国立大学及び研究機関等において非常勤職員が担当している職務は、必ずしも臨時的・一時的なものとは限られず、恒常的な業務を担当し、実際には任用を繰り返し長期に働いている場合が多いと考えるが、実態はどのようになっているか明らかにしていただきたい。
 また、恒常的な業務を担当する非常勤職員については、年度をもって画一的に雇い止めしたり人を入れ替えたりすることなく、経験を積んだ非常勤職員に継続して職務を遂行してもらうことも有益であると考えるが、これらについて見解を求める。
三 国立情報学研究所においては、時間雇用非常勤職員として長期に渡って任用されていた多くの非常勤職員を、突然、二〇〇三(平成一五)年三月三一日をもって、話し合いも理由の説明もなく雇い止めにしている。その中には、一九八九(平成元)年に初めて任用された際、「定年はないし、ずっと勤められる」と説明を受け、一四年間の長期に渡って問題なく任用され続けていた非常勤職員もあった。また、雇い止めされた非常勤職員が担当していた仕事は、その後も継続して存在しており、新規に非常勤職員を採用、または、業務委託および派遣社員等が導入される等している。
 (一) 時間雇用非常勤職員については「任期満了後任用更新することは、さしつかえないものとする」取り扱いがされているはずで、「実質的に期限がない」とされ、実体的にもそのように扱われてきている。あえて人の入れ替えを行わなくとも、職務経験を積んだ従前からの非常勤職員を再任用することが、可能だったと考えられるが、これについて説明を求める。
 (二) 職務を円滑かつ効率的に遂行する上でも、従前からの非常勤職員の任用を継続するのが妥当と考えるが、当局は、あえて雇い止めし人を入れ替えることをどのように考えているのか、説明を求める。
 (三) 雇い止めにより長期に任用されてきた非常勤職員の生活が脅かされることになった。雇い止めされる非常勤職員の生活について、当局は、どのような考慮や配慮を行ったのか、説明を求める。
 (四) 雇い止めした職員の後任に派遣を導入、及び業務委託をしたことにより人件費コストも上昇していることを国立情報学研究所も認めている。非常勤職員を派遣ないし業務委託に切り替えた部分について、人件費等の二〇〇二(平成一四)年度実績および二〇〇三(平成一五)年度予算、各明細を明らかにされたい。
 (五) 国立情報学研究所は、「三年前に、期間を定めていなかった(繰り返し任用し実態上期間の定めがなかった)時間雇用非常勤職員の雇用期間を三年にする旨を決定し通告した」と言っているが、それ以前から任用され続けてきた時間雇用非常勤職員の側は、決定を通告された事実はないと主張し係争となっている。かような重大な決定であれば、当然に文書で通告し該当する非常勤職員の了解・承諾を文書でとっておくべきではなかったか。人事労務手続として問題ではないか。監督省庁としての文部科学省の見解を伺いたい。
 (六) 国立情報学研究所において、任用打ち切り争議中の部署に派遣を受け入れているが、派遣法改正の附帯決議には解雇後の派遣受け入れについて「労働者の理解を得られるよう、努めなければならない」となっている。この附帯決議の趣旨に反するのではないか。
四 二〇〇二(平成一四)〜二〇〇三(平成一五)年度、国立情報学研究所、また、その他の幾つかの国立大学および研究機関等においては、同じ時間雇用非常勤職員でも、人によっては任用更新され、人によっては更新されていないなど、差別的で、恣意的な解雇者の選別が行われている。
 二〇〇二(平成一四)年度、国立情報学研究所では、当初、非常勤職員三七名を再任用しないとしていたが、その内一部の人は二〇〇三(平成一五)年度も任用している。当事者への説明もなしに、任用する人と雇い止めする人を一方的にふるい分けて、国家公務員法第二七条平等取り扱いの原則に反し、差別選別的な雇い止めを強行する行為は、公務員職場の公平・公正等のモラルにも相容れないものと考える。これらについて見解を求める。
五 二〇〇二(平成一四)年一〇月一〇日当時、国立大学等の法人化が国会審議にかけられていなかったにもかかわらず、国立情報学研究所においては書面にて「法人化に向けて業務見直しの必要性がある」として、非常勤職員に不利益な扱いを行っていた。監督省庁としてそのような指導を行ったのか、説明を求める。
 また、仮に法人化するならば、労働関係が全面的に変更されるのにもかかわらず、健全な労使関係が全く成り立っておらず、国立情報学研究所には正常な労務管理を行える見通しがない。今後、同様な事件が全国の国立大学及び研究機関等で発生することを鑑みると、莫大な労務管理コストの上昇に跳ね返ると考えられるが、これらについて、監督省庁としての説明を求める。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.