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平成十六年六月四日提出質問第一三七号
フィリピンのミンダナオ石炭火力発電事業と『環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン』の適用に関する質問主意書
提出者 前田雄吉
フィリピンのミンダナオ石炭火力発電事業と『環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン』の適用に関する質問主意書
フィリピンのミンダナオ島におけるミンダナオ石炭火力発電事業(以下「本件事業」という。)に対しては、昨年十二月一日、国際協力銀行(以下「JBIC」という。)がフィリピン法人ステート・パワー・ディベロップメント・コーポレーションとの間で、総額一億百万米ドルの融資契約に調印した。
現在、本件事業は、二一〇メガワットの発電容量をもつ発電施設や石炭積み下ろし用埠頭の建設、四・五キロメートルの送電線設置、川からの五キロメートルの水供給パイプライン設置を含む工事の開始に向けて準備が進められており、事業地へのアクセス・ロードの敷設がすでに始まっている。
一方、本件事業により有毒物質(二酸化硫黄、二酸化窒素などのガス類や水銀、鉛、六価クロムなどの重金属類)が排出されるため、人体への健康被害や農業、漁業への影響などを懸念する声が、JBICの融資決定以前からフィリピン内であげられている。また、事業者による住民へのコンサルテーション(協議)は発電所の煙突から半径二キロメートルの地域に限定されており、影響を受ける多くの農民、漁民らがコンサルテーション(協議)を受けていないことから、本件事業に対する社会的合意は融資決定後の現在も依然として得られていない。
本件事業が重大な環境及び社会影響を及ぼす懸念がある以上、日本政府としては本件事業がフィリピン内の地元の環境社会に配慮されたものであるかを十分確認する責任があるとの認識に立って、以下質問する。
二 本件事業においては融資契約の調印後、まだ実際の融資拠出には至っていないものと理解している。本件事業についてフィリピン内であげられている懸念や問題点が依然として解決しておらず、社会的合意も得られているとは言い難いことから、新ガイドラインに沿った形で本件事業の環境及び社会面での十二分な配慮を行なった上で融資拠出に踏み切るべきではないか。
右質問する。