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平成十六年八月五日提出
質問第四九号

桜木町駅前会員制競輪場外車券発売施設の設置計画に関する質問主意書

提出者  佐藤謙一郎




桜木町駅前会員制競輪場外車券発売施設の設置計画に関する質問主意書


 本件は、株式会社サテライト横浜(以下、本件事業者という)が、桜木町ぴおシティ(横浜市中区桜木町一−一)の九階及び一〇階部分を借り受け、会員制の競輪場外車券発売施設の設置計画を進めているものである。
 この設置計画に対しては、同ビル近隣・周辺地域には多くの学校・教育機関や医療機関などが存在するため、PTAをはじめとした近隣・周辺地域住民より、子どもたちや住民の安全など生活環境への影響等に強い懸念と危惧の声が挙がっているところである。また、近隣・周辺住民への設置計画の説明や周知も十分とはいえず、住民が野毛地区で行ったアンケート調査では設置計画反対が四七%(賛成一四%、その他三九%)と住民同意が得られているとはとても考えにくい状況となっている。
 しかるに本件事業者より本年六月一一日、所管省庁である経済産業省に設置許可申請を行い、経済産業省は七月一二日に本件事業者に対し設置許可を下した。この措置により本件事業者は本年一〇月二八日を営業開始目標とし設置計画を進めるとしている。これに対し近隣・周辺住民は、「競輪施設設置反対 横浜市民の会」を結成し、反対署名活動や各級行政機関等への陳情活動に取り組んでいるところである。
 以下、本件設置計画及び経済産業省による設置申請許可につき質問を行う。

一 「自転車競技法施行規則」第一五条第一項等の問題について
 1 賭博や賭博場開張等が刑法で厳しく禁止されている理由を明らかにされたい。
 2 場外車券発売施設の設置等の許可の基準として、「自転車競技法施行規則」は第一五条第一項に「学校その他の文教施設及び病院その他の医療施設から相当の距離を有し、文教上又は保健衛生上著しい支障を来すおそれがないこと」を挙げている。さまざまな社会生活施設の内、特に文教施設及び医療施設を明記しこの規定が設けられている理由を明らかにされたい。また、文教上又は保健衛生上の支障とはどのような具体的内容を想定しているか明らかにされたい。
 3 この規定は場外車券発売施設と文教施設及び医療施設との間の距離に着目しているが、それは「近接すれば支障を来すおそれがある」と解されるが如何。
 4 第一五条第一項が設けられている趣旨からすれば、本件においては、設置場所である桜木町ぴおシティビルの近隣・周辺地域には多くの学校・教育機関があり、その通学路に隣接することに加え、当該ビル横がそれ以外の学校のスクールバスの発着場として利用されていること、また桜木町駅を利用する多数の児童・生徒が存在することも十分に勘案しなければならないと考えるが、政府のご認識を問う。
 5 同様に、当該ビルの近隣・周辺地域には横浜市健康福祉センターや診療所、歯科診療所も多数あることに加え、当該ビルが場外車券発売施設専用ビルではなく雑居ビルであり、既に診療所や薬局等が入居・営業していることを十分に勘案しなければならないと考えるが、政府のご認識を問う。また第一五条第一項は、場外車券発売施設と医療施設との間の距離に着目するのであるが、同一の建物内に場外車券発売施設と医療施設がともにあるということをそもそも想定しているとお考えか。
 6 「相当」及び「著しい」の判断基準を明確に示されたい。もしその判断基準が行政裁量にのみ委ねられ客観的明証性に欠けるのであれば、設置許可基準として第一五条第一項を特に設けている意義自体にかかわると考えるが、政府のご見解を問う。
 7 経済産業省は本件設置許可申請を許可した判断理由として、本件事業計画が@「会員制」であることから施設定員が限定され不特定多数者の利用とはならない、A共用スペースでの誘導員による誘導や施設専用エレベーター設置による施設利用者の入場動線管理が可能である、という点をあげている。この@利用者の量的問題やAビル内での動線管理は、趣旨を勘案すれば第一五条第一項を満たす十分条件足り得ないと考えるが、改めて政府のご見解を明示されたい。
 8 経済産業省は「会員制」でなければ本件申請許可は難しいと説明したが、場外車券発売施設の設置等の許可申請の記載内容を規定する「自転車競技法施行規則」第一四条に、「会員制」という施設運営条件や利用者の動線管理などという項目は無く、これらはあくまで申請上は単なる付随的な特記事項に過ぎない。であるならば、「会員制」での運営等はそもそも法令上は本件事業者が遵守する義務は無く、事業者による誓約書等もないならば開設・営業後の運営につきなんら担保は無いのではないか、政府のご認識を伺いたい。
 9 本件設置場所である桜木町ぴおシティビルについては、築後三六年という老朽化したビルの最上階での設置計画として防災設備・構造上も不安視されていると聞く。経済産業省は、平成一三年に四四名もの犠牲者を出した新宿歌舞伎町雑居ビル火災の教訓も踏まえ防災設備・構造上も万全と判断し申請を許可したのか。また、担当官による現場ビルの現況調査等を行った上で申請を許可したのか。
二 近隣・周辺住民の同意・合意に係る問題等について
 1 賭博自体は反社会的行為でありなんらの公益性も無い。公営ギャンブルはその収益還元事業により「公益性」が仮構されているのみである。そしてその収益還元事業は近隣・周辺地域のみに還元されるわけではなく、風紀問題等、賭博自体が本来有する反社会性に起因する諸問題は主に近隣・周辺地域のみが負う結果となる。そのためこれらギャンブル関連施設等の立地に関しては近隣・周辺住民が不安を抱き慎重にならざるを得ないことは当然のことと考えるが、政府のご認識を問う。
 2 そうであるにもかかわらず、近隣・周辺住民の同意なり合意がギャンブル関連施設等の設置許可の「要件」ではない理由を明らかにされたい。
 3 近隣・周辺住民の同意・合意に係る問題については、「場外車券発売施設の設置に関する指導要領について」の第四項に「設置するに当たっては、当該場外車券発売施設の設置場所を管轄する警察署、消防署等とあらかじめ密接な連絡を行うとともに、地域社会との調整を十分行うよう指導すること。」という文言があるに過ぎない。
 問題の重要性を勘案すれば、勧奨的運用事項ではなく設置許可の要件とすることとあわせ、通知行政で済ませることなく法令に明記すべきと考えるが、政府のご認識を伺いたい。
 4 法令やそれに基づく最低基準としての申請手続きの問題とは別に、事業者はその事業計画を円滑に進めるため近隣・周辺住民への事業内容の告知・説明等を積極的に行うべきであると考えるが、政府のご見解を問う。
 5 「自転車競技法施行規則」は第一五条第一項で、文教・医療施設が特に記されている以上、近隣・周辺住民の同意・合意に係る問題については、地元住民なり地域社会なりに文教・医療施設の関係者が特に含まれるべきであると考えるが、政府のご認識を伺いたい。
 6 場外車券発売施設専用ビルではなく雑居ビルであり、同一ビル内の他テナントへの影響も考えると、他テナントへの事業計画内容の告知・説明等は積極的に行われてしかるべきと考えるが、政府のご認識を伺いたい。
 7 昨今、街中で子どもがまきこまれる事件が多発し、特に子どもを持つ親たちは街の安全対策に不安を抱いている。本件事業計画で経済産業省が許可に際し重視した@「会員制」で施設定員が限定され不特定多数者の利用とはならない、A共用スペースでの誘導員による誘導や施設専用エレベーター設置による施設利用者の入場動線管理が可能である、といった点や本件事業者が示す警備員配置、地元協議等の安全対策は、子どもの安全にとっての十分条件であり子どもを持つ親たちは安心出来ると政府は判断し申請を許可したのか、ご認識を伺いたい。
 8 本件事業者は、「場外車券発売施設の設置に関する指導要領」に基づく指導に従い地域社会との調整を十分行い、事業者による説明義務・責任を果たしていると政府は判断し申請を許可したのか、ご認識を伺いたい。
 9 本件事業者からの設置許可申請には、近隣・周辺住民の同意・合意に係る参考資料として町内会長名・商店会長名の合意書が添付されていたと聞くが相違ないか。またその合意書と先にふれた住民によるアンケート結果との矛盾を政府はどの様に認識するか伺いたい。
 10 本件に限らず近隣・周辺住民の同意・合意が問題となる開発・建設・設置行為に際しては、町内会、自治会、商店会等の団体、特に代表者名の同意・合意が近隣・周辺住民全体同意・合意の隠れ蓑として利用される例も多い。事業者よりの金銭提供等極めて不明瞭な関係が取り沙汰されることも少なくはない。事業者による説明義務・責任に要する手間隙を惜しんでのこのような慣例が、逆に後に火種となり問題をより混乱させる事例も散見される。このような事態を政府はどの様に認識するか伺いたい。
 11 本件申請に対する許可の決定は、慎重に行われるべき近隣・周辺住民の同意・合意については申請要件では無いために町内会長名・商店会長名の合意書で良とする極めて形骸化した取扱いを行い、一方では、同じく申請要件でない「会員制」という運営形態をもって申請許可の理由とするなど極めて恣意的・不透明であり、求められている行政の透明性・アカウンタビリティーには程遠いものと考えざるを得ない。この点につき政府はどの様に認識するか見解を問う。
 12 本件に限らず公営ギャンブルの場外券売所の設置に関する近隣・周辺住民との紛争は全国で枚挙に暇が無い。この原因を政府はどの様に判断するか見解を問う。
 13 問題は、先にふれた通りギャンブル関連施設等の立地に関しては近隣・周辺住民が不安を抱き慎重にならざるを得ないにもかかわらず、住民同意なり合意が設置許可の要件ですらない点に象徴される法運用者側の姿勢にあると考える。戦後初期の極めて厳しい財政状況下で公営ギャンブルの収益事業が高い「公益性」を持ったとしても、それはあくまで「必要悪」であり、賭博や賭博場開張等を刑法で厳しく取り締まるその違法性・反社会性を阻却するものではありえない。ましてや豊かな生活、安心・安全な生活を求める現代に、かつての錦の御旗であった「公益性」はなんら説得性を持たない。にもかかわらず公営ギャンブル各法をあたかも奨励・推進法的な誤った認識で事業者・所管省庁が運用するところに最大の問題があると考えるが、政府のご認識を伺いたい。
 14 政府はこの認識を改め、地域の責任主体である住民・自治体あっての事業であると再認識し、インフォームド・コンセント足り得る情報公開と合意形成のための適正な手続きを法令上に明確に構築すべきであると考えるが、政府のご認識を伺いたい。

 右質問する。



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