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平成十六年十一月三十日提出質問第六一号
国際自然保護連合(IUCN)総会における勧告に関する質問主意書
提出者 照屋寛徳
国際自然保護連合(IUCN)総会における勧告に関する質問主意書
タイのバンコクで開催された国際自然保護連合(IUCN)の総会、第三回世界自然保護会議においては二〇〇四年十一月二十五日、「日本のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全」勧告が、賛成多数で採択された。
わが国は国家会員として、環境省は政府機関会員として国際自然保護連合に加盟しているが、前記勧告案は、国際自然保護連合の加盟団体であるWWFジャパン等日本の環境団体が提出したものである。
国際自然保護連合(IUCN)は、日本を含む七十九ヵ国、政府機関百十三団体、七百を超す非政府組織が加盟する世界最大の自然保護団体である。
従って、国際自然保護連合の勧告は法的拘束力はないものの、国際条約と同等の重みを持っている。沖縄と国際自然保護連合勧告との関わりでは、過去に新石垣空港建設問題で白保さんご礁の保全勧告決議がなされ、建設場所の変更につながる世論喚起になった経緯がある。
また、国際自然保護連合は二〇〇〇年ヨルダンのアンマンにおける総会で、沖縄本島海岸沿岸域に生息するジュゴンとやんばるの森に住むノグチゲラ・ヤンバルクイナの調査及びその保全計画の作成を求める勧告をおこなった事がある。
今回の国際自然保護連合総会における勧告は、ジュゴンの保護が国際社会の責務であり、沖縄の環境問題が国際社会の関心事になった事を物語っている。
政府は、今回の勧告を真摯に受け止め、現在進めているボーリング調査を直ちに中止し、ジュゴン保護の具体的な方策を講ずるべきである。
以下、質問する。
二 採択された「日本のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全」勧告については、勧告案提出者の環境保護団体と環境省、外務省並びにコンタクト・グループとの間で調整交渉がなされたものと思われるが、文案調整の結果合意できた事項、また合意に至らなかった事項についてその理由、勧告で日米両政府に対し求められた具体的な要請事項を明確に把握した上で、同勧告に対する日本政府の見解と勧告を受けていかなる対策を講ずるのか見解を明らかにされたい。
三 政府は、今回の勧告を尊重し、現在辺野古で進められている普天間飛行場代替施設のボーリング調査を直ちに中止し、ボーリング調査とゼロ・オプション(事業の中止の選択)の検討を環境アセスメントに含めるべきと考えるが政府の見解を示されたい。
四 政府は、ジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保護区設定と保護計画について具体的な対策を早急に講ずるべきと考えるが、見解を示されたい。
右質問する。