答弁本文情報
平成十六年十二月七日受領答弁第六一号
内閣衆質一六一第六一号
平成十六年十二月七日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員照屋寛徳君提出国際自然保護連合(IUCN)総会における勧告に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員照屋寛徳君提出国際自然保護連合(IUCN)総会における勧告に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の勧告は、普天間飛行場代替施設(以下「代替施設」という。)の建設及び北部訓練場ヘリコプター着陸帯(以下「ヘリコプター着陸帯」という。)の移設に係る環境影響評価につき、これらの事業の中止を含むいくつかの代替案を検討すること等を我が国政府に求める内容となっている。しかしながら、我が国政府としては、ジュゴン、ノグチゲラ及びヤンバルクイナの保全のため、これまで様々な調査研究や対策を行い、また、これらの事業の実施に当たっては自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うとの方針を決定し、環境影響評価の手続に着手しているところである。このような立場を踏まえ、我が国政府は勧告の内容が受入れ可能なものとなるよう関係者と協議を行ったが調整が整わなかったため、その採択に当たって棄権したものである。
国際自然保護連合総会に出席した我が国政府関係者は、勧告の内容が受入れ可能なものとなるよう勧告案提出者である環境保護団体を含む関係者と協議を行ったが、調整が整わなかった。例えば、勧告の前文において我が国政府の採っている措置等を歓迎する旨言及するとの我が国政府の提案は受け入れられたものの、勧告の本文中には、関係者の理解が得られず、我が国政府の採っている措置や考え方が反映されなかった。
勧告は、我が国政府に対して、代替施設の建設に係る環境影響評価について、事業の中止を含むいくつかの代替案を検討し、また、代替施設に係るボーリング調査(以下「本件ボーリング調査」という。)なども環境影響評価の対象とすること、ヘリコプター着陸帯の移設に係る環境影響評価について、事業の中止を含むいくつかの代替案を検討すること並びに早急にジュゴン、ノグチゲラ及びヤンバルクイナの保護区域を設定するとともに、これらの三種の保護のための行動計画を策定することを求めている。また、勧告は、アメリカ合衆国政府に対して、沖縄において絶滅危惧種の生息地に施設を建設する際には、環境保護と種の保存のために我が国政府と協議すること及び要請があれば、我が国政府の行う環境影響評価に協力することを求めている。
我が国政府としては、これらの三種の保全のため、これまで様々な調査研究や対策を行い、また、代替施設の建設及びヘリコプター着陸帯の移設の事業の実施に当たっては、自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うとの方針を決定し、環境影響評価の手続に着手しているところである。勧告の本文中に、我が国政府の採っている措置や考え方が反映されなかったのは残念であったと考えているが、今後とも、これらの事業の実施に当たっては、自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行う所存である。
本件ボーリング調査は、普天間飛行場の移設・返還に向けて建設される代替施設の護岸の形状等を検討するために必要不可欠な調査である。
本件ボーリング調査については、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)第二条第二項及び第三項に規定する第一種事業及び第二種事業のいずれにも該当せず、同法の規定に基づく環境影響評価を行う必要はないと考えているが、引き続き、自然環境に十分に配慮しながら実施することとしている。
また、代替施設の建設に際しては、同法の規定に基づき実施している環境影響評価を踏まえ、自然環境への影響を最小限にとどめるため必要かつ適切な対策を講じてまいりたい。
ジュゴンについては、環境省において平成十三年度から生息状況等に係る調査を実施しているところであり、その結果を踏まえ、地元の理解を得ながら、必要な保護対策の検討を進めることとしている。
また、ノグチゲラ及びヤンバルクイナについては、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)第四十五条の規定に基づく保護増殖事業計画を定めており、当該計画に沿って種の保存に必要な保護対策を進めることとしている。