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平成十七年四月二十八日提出
質問第五九号

トヨタ自動車株式会社のフィリピンでの労使紛争に関する質問主意書

提出者  阿部知子




トヨタ自動車株式会社のフィリピンでの労使紛争に関する質問主意書


 近年、企業の社会的責任に関する関心が高まり、多国籍企業の責任ある事業活動の基準を定めた「OECD多国籍企業ガイドライン」も注目されている。そこでは、海外子会社の活動について、親会社の負うべき責任についても定めている。
 二〇〇〇年に始まったトヨタ自動車株式会社の海外子会社であるフィリピントヨタ社労使紛争は、現在も全く解決の糸口が見えない状況である。
 このフィリピントヨタ社労使紛争に関し以下質問する。

一 「OECD多国籍企業ガイドライン」は、「労使の相互の関心事項について、使用者と従業員及び従業員の代表との間の協議及び協力を促進する」(W、雇用及び労使関係の2項C)としているが、トヨタ自動車株式会社の海外子会社のひとつであるフィリピントヨタ社は、フィリピントヨタ労組が二〇〇〇年に選挙で唯一の団体交渉権を獲得したにもかかわらず、団体交渉を拒否した。このフィリピントヨタ社の行動は前記ガイドラインの趣旨に反すると思われるが、政府の考えを示せ。
二 フィリピントヨタ労組とフィリピントヨタ労組を支援する会は、二〇〇四年三月、トヨタ自動車株式会社とフィリピントヨタ社の行動がOECDの「多国籍企業ガイドライン」に違反していることを同ガイドラインの日本における窓口であるナショナルコンタクトポイント(=NCP、外務省、経済産業省、厚生労働省の三省で構成)に正式に問題提起した。しかし、問題提起から一年を経過したにもかかわらず、NCPはいまだ回答を示していない。NCPを構成する三省のこれまでの活動実績について具体的に示せ。
 (1) 外務省は、在外公館を通じて、フィリピンでどのような情報収集を行ったのか。
 (2) 経済産業省は、トヨタ自動車株式会社からいつ、どのような方法で事情聴取をしたのか。
 (3) 厚生労働省はどのような活動を行ったのか。
三 フィリピントヨタ労組のILO結社の自由委員会に対する提訴に対して、ILOは二〇〇三年十一月、労組側の主張を支持する勧告をフィリピン政府に行った。その主旨は、フィリピントヨタ社の責任を問うものであり、つまりは親会社であるトヨタ自動車の責任を問うものと考えるが、政府の見解を示せ。
四 フィリピントヨタ社は、二〇〇一年労働雇用省主催の公聴会に参加したフィリピントヨタ労組員二百二十七名を、無断欠勤を理由に解雇した。しかし、このフィリピントヨタ労組員の行動は、フィリピントヨタ社が団体交渉に応じないまま、団体交渉権の無効を労働雇用省に訴え、労働雇用省がその可否を判定するに当たって重大な影響を及ぼす公聴会への参加であったこと、またこの行動は、フィリピントヨタ労組が会社側に事前通告し、また代替労働の提案をした上でのものであったことを考慮するならば、日本であれば決して直ちに解雇になるような事案ではないと考えられるが、政府の考えを示せ。
五 トヨタ自動車株式会社の海外子会社のひとつであるフィリピントヨタ社のこの解雇通告は、多国籍企業の公害の輸出と同等の不当労働行為のフィリピンへの輸出に当たると思われるが、政府の見解を示せ。
六 また、前記フィリピントヨタ労組の団体交渉権について、フィリピントヨタ社は、その無効を求めてフィリピン高等裁判所に訴え、同時に、フィリピン高等裁判所に団体交渉の仮差し止めを求め、フィリピン高等裁判所はこの仮差し止めを認めた。しかしフィリピン最高裁判所はこの高等裁判所の団体交渉の仮差し止めを無効とする判決を出した。だが、フィリピントヨタ社はこの司法の最高府の決定を無視し、いまだにフィリピントヨタ労組との団体交渉に応じようとはしない。このトヨタ自動車株式会社とその海外子会社であるフィリピントヨタ社の行動は日本の多国籍企業と日本の名誉を著しく傷つけるものであると考えられるが、政府の見解を示せ。
七 また、フィリピン議会下院はフィリピントヨタ社の不当労働行為についての調査を開始し、この調査に協力するようフィリピントヨタ社を「労働と雇用に関する委員会」に招請したがフィリピントヨタ社はこれに応じなかった。このフィリピントヨタ社の行動は日本の多国籍企業と日本の名誉を著しく傷つけるものであると考えられるが、政府の見解を問う。
八 日本企業の海外進出の増大につれ、今後海外での労使紛争が多発すると予想されるが、政府として問題に対処する枠組みを検討する予定はあるか。

 右質問する。



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