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平成十七年十月二十一日提出
質問第二四号

在日米軍基地の駐留軍労働者のアスベスト(石綿)による健康被害実態調査等に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢




在日米軍基地の駐留軍労働者のアスベスト(石綿)による健康被害実態調査等に関する質問主意書


 アスベストが原因で発症する可能性のある肺がんや中皮腫などで死亡した企業の従業員や周辺住民の健康被害が次々と明るみに出されて被害実態が拡大されている。
 被害は、アスベスト製品製造メーカーに止まらず、建設、造船業界などアスベスト製品を使用していた企業においても被害が生じている。
 政府は、こうした事態を受け、業界団体、地方自治体等の協力のもとに、アスベスト健康被害状況の実態把握と当面の対応について検討を始めたところである。
 欧米諸国が、一九八〇年代から、アスベストに関する法規制を行ってきたのに対して、日本政府は、法規制を含めた適切な対応を怠ってきたところに、このような事態を招いた原因があると指摘せざるを得ない。政府の責任は重大である。
 在日米軍基地で働いている駐留軍労働者のアスベストによる健康被害も明るみに出されつつある。
 十月十三日、那覇労働基準監督署に、在沖米軍基地キャンプ・キンザー(以下「キャンプ・キンザー」という。)で働いていた元駐留軍労働者(肺がんで死亡)の遺族は、死亡原因がアスベストにあるとして労災認定の申請を行った。
 社団法人神奈川労災職業病センター(横浜市鶴見区豊岡町)は、米海軍横須賀基地で働いていた駐留軍労働者のアスベストによる健康被害は、一九九九年以降、九八人、このうち一一人が肺がん、中皮腫で二人が亡くなっていることを公表している。
 在日米軍基地で働いている駐留軍労働者はもとより退職された労働者の中には、アスベストが原因で発症する肺がん、中皮腫などの健康被害者が、表面化していないものの、多く存在するのではないかと思われる。
 在日米軍基地における駐留軍労働者のアスベストによる健康被害の実態調査と曝露防止・安全対策は緊急を要すると考える。
 従って、以下の事項について質問する。

一 在日米軍基地の駐留軍労働者のアスベスト健康被害の実態の調査について
 1 防衛施設庁は、駐留軍労働者に対しては、毎年、労働安全衛生法等による健康診断を実施し、八月五日には、防衛施設庁、防衛施設局、防衛施設事務所に「健康相談窓口」を開設したが、現在のところ、アスベストによる健康被害を確認できないとしている。
 そこで十月現在の時点で、確認されたケースがあれば、その件数と概要を明らかにされたい。
 また、防衛施設庁のみならず、他の行政機関、地方公共団体、民間の機関等が把握している駐留軍労働者の健康被害について掌握していたら、それを明らかにされたい。
 2 毎年、どのような健康診断を行っているのか、その内容を伺いたい。
 3 アスベストを原因とする疾患かどうかは、健康診断によるX線撮影だけでは難しいとされており、CTスキャン等による判断を求められるとされている。それによったとしても、この疾患は、医学的専門的な知見を持った医師の判断が必要だとも言われている。
 防衛施設庁が実施している健康診断で、一定の所見、すなわち石綿による不整形陰影、胸膜肥厚斑等やアスベストによる疾患の発症について、適確な判断をすることが可能なのかどうか伺いたい。
 4 「健康相談窓口」に、相談にこられた駐留軍労働者六二件のうち、「石綿による健康被害への不安に関する」相談者について、アスベストによる健康被害でないと判断した根拠と理由について明らかにされたい。
 5 退職された駐留軍労働者の中には、すでに亡くなられた方がおられると思うので、「健康相談窓口」によるだけでなく、防衛施設庁としても、駐留軍労働者の退職者名簿等に基づき追跡調査をするなど、健康被害の実態調査のために積極的な対策を講ずるべきと考えるがどうか。
 6 防衛施設庁は、現在のところ、駐留軍労働者の「石綿による健康被害を確認していない」としている。しかし、本年七月には、社団法人神奈川労災職業病センターは、米海軍横須賀基地で働く駐留軍労働者のアスベストによる健康被害を明らかにしているが、承知しているのか。
 同センターによれば、アスベストによる被害は、一九九〇年以降、九八人に上り、肺がん二三人、中皮腫二人、石綿肺(最重症)七人、石綿肺と合併した続発性気管支炎六六人、このうち一四人が肺がん、二名が中皮腫で亡くなっているとのことである。
 このことについて、防衛施設庁は、アスベストによる駐留軍労働者の健康被害と見なしているのか、当然のこととして確認されているものと考えるがどうか。
 7 防衛庁は、七月二十六日に米海軍横須賀基地で働いていた駐留軍労働者四六人に対して、アスベストが原因による疾患であることを認めて補償並びに補償的措置を講じたと聞いている。
 これらの労働者は横須賀基地で、艦船の修理等の際、断熱材に含まれた石綿を吸い込み、じん肺になったとして訴訟を起こしたとのことである。訴訟経過と結果及び補償措置について伺いたい。
 また、この補償については、米側の責任において支払いがなされたのかどうか、それとも日本側の責任でなされたのか。その支払いの法的根拠と理由を明確にされたい。
 この件は、駐留軍労働者のアスベストによる健康被害には該当しないのか。
 8 那覇労働基準監督署に、キャンプ・キンザーで働いていた元駐留軍労働者(肺がんで死亡)の遺族が、アスベストによる原因で亡くなったとして、労災認定の申請を行った。
 この方は、一九五〇年代から那覇基地などで勤務し、一九八二年から一九九八年の退職までキャンプ・キンザーで、ボイラー補修などで石綿の取扱作業に従事したという。
 医師は、CT画像を分析し「石綿を吸い込んだことを示す胸膜肥厚斑あり」、「アスベストが原因による可能性の強い」との見方を示しているが、防衛施設庁の認識を伺いたい。
二 在日米軍基地における施設等のアスベストの使用状況の把握について
 1 在日米軍基地施設等のアスベストの使用状況について、駐留軍労働者はもとより基地周辺の住民への曝露防止・安全対策のために、政府として把握すべきと考えるがどうか。
 2 防衛施設庁が、「石綿による健康被害の防止に係る協力を必要に応じて(米側に)要請する」としているのは問題である。
 政府は、在日米軍施設のどこにアスベストが使用されているのかを把握する必要はないという判断なのか、その理由と根拠を伺いたい。
 3 日米合同委員会の下にある環境分科委員会においては、駐留軍労働者の健康被害実態の調査及び基地施設のアスベスト使用状況の把握について議題とされたことはあるのか。
 4 在日米軍基地における環境保全等は、米国防総省の「日本環境管理基準」に基づくとされている。アスベストを使用している施設の管理、新たな施設のアスベストの使用の禁止、施設の改築・解体、施設の除去又は撹乱、アスベストの廃棄物の廃棄処分は、どのような基準と手順によって行われることになっているか、その概要を明らかにされたい。

 右質問する。



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