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平成十七年十一月一日受領
答弁第二四号

  内閣衆質一六三第二四号
  平成十七年十一月一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出在日米軍基地の駐留軍労働者のアスベスト(石綿)による健康被害実態調査等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君提出在日米軍基地の駐留軍労働者のアスベスト(石綿)による健康被害実態調査等に関する質問に対する答弁書



一の1、6及び7について

 防衛施設庁において、駐留軍等労働者に対して毎年実施している労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)等に基づく健康診断及び駐留軍等労働者、過去に駐留軍等労働者であった者(以下「退職者」という。)等を対象とした石綿による健康被害等の相談に応じるために防衛施設庁等に開設した健康相談窓口(以下「健康相談窓口」という。)を通じて把握した限りでは、平成十七年十月二十一日現在、石綿による健康被害を確認することができた者はいない。
 他方、防衛施設庁としては、石綿による退職者の健康被害に関し、いわゆる「米海軍横須賀基地石綿じん肺損害賠償請求事件」において健康被害があったとされた者、石綿による健康被害を受けたとして裁判外で損害賠償請求があり日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「地位協定」という。)第十八条5の規定による手続がとられた者及び横須賀防衛施設事務所において雇用の手続がとられた駐留軍等労働者で石綿による健康被害があったとして平成十六年度以前に労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)に基づき保険給付の支給の決定(以下「労災認定」という。)をされたもの(厚生労働省が平成十七年七月二十九日及び同年八月二十六日に公表した労災認定の件数に係るもの)がいることを把握している。
 いわゆる「米海軍横須賀基地石綿じん肺損害賠償請求事件」については、第一次訴訟から第三次訴訟まで、合計三件提起されている。
 第一次訴訟は、平成十一年七月に提起され、平成十四年十月に、駐留軍等労働者の雇用主である国の安全配慮義務違反を理由として原告らの請求を基本的に認容する第一審判決が言い渡され、国は、同判決において国による消滅時効の援用が権利の濫用に当たるとされた一部の原告らの請求に係る部分については控訴したが、それ以外の部分については、同判決に従って同年十一月に総額約一億九千五百万円を支払った。控訴審においては、平成十五年五月、国が控訴した部分につき第一審判決を取り消して原告らの請求を棄却する旨の判決が言い渡され、平成十六年四月、同判決が確定した。
 第二次訴訟は、平成十四年五月に提起され、平成十六年十一月に訴訟上の和解が成立し、国は、これに従って同年十二月に総額三億五百万円を支払った。
 第三次訴訟は、平成十五年七月に提起され、平成十七年五月に訴訟上の和解が成立し、国は、これに従って同年七月に総額約二億千六百万円を支払った。
 また、石綿による健康被害を受けたとして平成四年から平成十一年までの間に損害賠償請求があり、地位協定第十八条5の規定による手続がとられた者に対し、国は、平成十七年八月までに総額約九千二百万円を支払った。
 これらの支払については、国が一括して支払った後、同条5の規定に基づきアメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)に請求すべき部分については、その負担を求め、償還を受けているところである。
 社団法人神奈川労災職業病センターの調査結果として、横須賀海軍施設における石綿による健康被害が明らかになった旨の報道があったことは承知しており、その内容について同センターに問い合わせたが、詳細については確認することができなかった。

一の2及び3について

 石綿に係る健康診断については、労働安全衛生法及びじん肺法(昭和三十五年法律第三十号)に規定された検査等を実施しており、また、この検査等の結果、他覚症状が認められる者、自覚症状を訴える者その他異常の疑いがある者で、医師が必要と認めるものについては、更に詳細な検査等を実施することとしている。

一の4及び5について

 防衛施設庁においては、石綿による退職者の健康被害等に対応するため、労働安全衛生法に基づく健康管理手帳の制度、労働者災害補償保険法に基づく補償の制度等について退職者に対し周知するとともに、健康相談窓口での相談を通じて石綿による退職者の健康被害の有無等について把握することとしている。
 これまでに健康相談窓口に相談があった者のうち、医師による診断書等により石綿による健康被害を確認するに至ったものはいない。

一の8について

 防衛施設庁としては、沖縄県に駐留する合衆国軍隊が使用する施設及び区域内に勤務し、その後亡くなった退職者の遺族から、当該退職者につき石綿による健康被害があったとして、平成十七年十月十三日、那覇労働基準監督署に労災認定のための申請手続がとられたと承知している。
 これについては、現在、同署において調査が行われているところであり、防衛施設庁としては、同署から調査への協力の要請があれば、積極的に協力してまいりたい。

二の1及び2について

 政府としては、合衆国政府に適切な情報の提供を求めるなど、合衆国軍隊が使用する施設及び区域の周辺の住民への石綿の粉じんのばく露防止のため適切に対処してまいりたいと考えている。
 また、防衛施設庁においては、合衆国軍隊に対し、石綿による健康被害の防止に係る協力を必要に応じて要請することとしているが、この要請には石綿の使用状況に係るものも含まれる。

二の3について

 地位協定第二十五条1の規定に基づいて設置された合同委員会の下にある環境分科委員会(以下「環境分科委員会」という。)の議事録は、両国政府の合意なしには公表しないこととされており、環境分科委員会においてどのような事項が議題とされたかについては、これを公にすることにより合衆国政府との信頼関係が損なわれる等のおそれがあることから、答弁を差し控えたい。

二の4について

 お尋ねの「日本環境管理基準」においては、石綿に関することとして、石綿の管理計画を策定し及び実施することとされており、当該管理計画の中で石綿含有物質の定期的な観察、新たな建設における石綿含有物質の使用防止のための手順等が定められていると承知している。また、施設の取壊し又は改築に際しては、事前に当該作業が石綿含有物質を除去し又はかく乱するものか否か判断すること、石綿含有物質を飛散させるおそれのある場合は当該石綿含有物質を除去しなければならないこと、石綿廃棄物については合衆国の国防再利用販売事務所を通じて処分されるか、それ以外の部局を通じて我が国の法令に従って処分されること等が定められていると承知している。



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