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平成十七年十月二十八日提出質問第三七号
普天間飛行場の移設先をキャンプ・シュワブ「沿岸案」とする日米両政府の合意等に関する質問主意書
普天間飛行場の移設先をキャンプ・シュワブ「沿岸案」とする日米両政府の合意等に関する質問主意書
日米両政府は、去る十月二十六日、日米審議官級協議等を経て、普天間飛行場の移設先をキャンプ・シュワブ「沿岸案」とすることに合意した、旨発表し、各マスコミも報じている。同案は、キャンプ・シュワブ沿岸に千八百メートル(滑走路千五百メートル)の代替施設をつくることが主な内容となっており、同施設建設にあたっては、大浦湾及び辺野古浅瀬の一部を埋め立てる、とするものである。
これまで、米軍再編協議の交渉過程で、「陸上案」「浅瀬案」「沿岸案」等が様々浮上し、日米両政府間で交渉・協議がなされていたようであるが、いずれの案も沖縄県民が望むものではない。県民の圧倒的多数が強く望んでいるのは、危険な普天間飛行場の即時閉鎖・返還であり、県外・海外への移設である。日米両政府は、「沿岸案」の合意を受け、来る十月二十九日ワシントンで外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開催し、米軍再編の「中間報告」に普天間飛行場の移設を明記する段取りだという。
日米両政府間の「沿岸案」合意に伴って、重大な問題が浮上している。政府は、「沿岸案」合意を受けて、環境評価や埋め立てなどの手続を促進するための特別措置法案を来年の通常国会に提出すべく準備を進めているようである。「海域使用特別措置法」とも称すべき同法案は、現行公有水面埋立法に定める都道府県知事の許認可権を国が代行し、建築確認、道路使用許可等の様々な法的手続きをも特例的に早めることを可能とするものと思われる。政府は、「沿岸案」合意に対する沖縄県や県民世論の強い反対と抵抗を予想し、一九九七年に駐留軍用地特別措置法を改正して、国が暫定的に使用できるようにしたことと同じ手法で、沖縄県知事や関係自治体の「沿岸案」に対する反対を封殺せんとするものである。沖縄では、普天間基地の移設先を県内とすることに強い反対がある。その沖縄の声を、叫びを、要求を無視して、キャンプ・シュワブ「沿岸案」と日米両政府間で合意をしたことに激しい怒りを覚える。加えて、「海域使用特別措置法」の立法準備は、沖縄を差別するものであって、この国が法治国家ではなく、強権国家だと指弾されるべきと考える。これは、まさしく駐留軍用地特別措置法改正に次ぐ、第二の「平成の琉球処分」である。
以下、質問をする。
二 公有水面埋立法第二条によると、「埋立ヲ為サムトスル者ハ都道府県知事ノ免許ヲ受クヘシ」となっている。更に、同法第三条には、埋立免許の出願があった場合の告示手続き、関係書面及び図書の縦覧や地元市町村長の意見聴取手続きが定められている。政府は、公有水面埋立法において、公有水面の埋め立てに際しては都道府県知事の免許を要すると定めている立法理由についていかなる認識を持っているのか、明らかにされたい。
三 政府は、「沿岸案」を早期に実現し、国の責任で普天間飛行場の移設を進めることを目的に、公有水面の埋め立てに関する都道府県知事や地方自治体の許認可権を国が代行できるようにするために、「海域使用特別措置法」を来年の通常国会に向けて立法準備をしているようであるが、それは事実なのか、政府の見解を明らかにされたい。また、政府は、「沿岸案」早期実現のために、現行公有水面埋立法改正、建築確認や道路使用許可手続き等の関係法令の改正を目論むものであるのか、政府の見解を明らかにされたい。
四 政府は、「沿岸案」についての日米両政府の合意は、辺野古海域の環境や生態系に配慮をした良案であると豪語するが、「沿岸案」は大浦湾や辺野古浅瀬の一部を埋め立てるものであり、同海域にはジュゴンの餌となる藻場や希少な珊瑚礁が広がっている。大浦湾には、希少生物のキクメイシモドキの生息が確認をされている。政府が、「沿岸案」を環境に最も配慮した案であるとする根拠について、政府の認識を明らかにされたい。
右質問する。