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平成十八年二月十五日提出
質問第七六号

耐震強度偽装事件に関する質問主意書

提出者  江田憲司




耐震強度偽装事件に関する質問主意書


 耐震強度の偽装事件を受けて、その真相究明や居住者や周辺住民の安全確保等を図ることはもちろん重要であるが、この事件を教訓に、建築行政を今後見直していくことも喫緊の課題である。このような視点から以下質問する。

一 住宅品質確保法(二〇〇〇年四月施行)により、一〇年間の瑕疵担保責任が義務づけられたとはいえ、その売り主等に資力がなければ、今回の事件被害者のように、十分な被害額の賠償が受けられない。この点で、銀行が破たんした場合の預金払い戻し等のための預金保険機構のように、関係業界全体で何らかの形で資金を積み立て、あるいは新たな保険を掛け、今回のような場合に十全の補償ができる枠組みを構築していくべきではないか。既存制度の拡充も含め、政府の方針を問う。
二 今回の事件では「指定確認検査機関」のずさんな検査実態も浮き彫りにされた。国土交通省は、指定した民間検査機関すべてに対し、立ち入り検査を実施とのことだが、現在までの検査結果如何。
三 「指定確認検査機関」については、徹底的にその審査の実態を確かめ、不適格な機関の指定取消等の厳格な措置を講じていただきたいが、一方で、単なる規制の強化や厳罰化にとどまらず、検査機関の健全な育成、すなわち財政基盤や審査能力の向上にも配意すべきだと考える。よって以下質問する。
 1 現在の建築確認の申請手数料の額は適正と考えているか。中堅どころのマンション一件当たり一五万円程度の手数料では、綿密な審査より、数をこなして採算をとろうという検査機関も出てくる。人手も時間もかかる構造計算、設計等の審査のため、必要十分な手数料体系を再構築すべきではないか。
 2 そもそも建物の設計費等のソフトウェアに係るコストが、建設費等のハードウェア面のそれに比し「おまけ同然」(建設費の三〜五%程度)の扱いをされている業界の慣行にも、今回の事件の遠因があると考える。一昔前、コンピューターのソフトウェアにも同様の問題があったが、ハードウェアとソフトウェアの「アンバンドリング(unbandling)」を含め、こうした業界慣行を是正し、設計、特に構造設計に適正な報酬が支払われるよう、行政としても対応していくべきではないか。
 3 指定確認検査機関の建築確認審査に当たっては、問題のある会社や設計士の情報(いわゆるブラックリスト)をはじめとした不審情報等の検査機関間の相互流通、情報の共有化のシステムが必要ではないか。また、NPO法人等が容易に審査書類(特に構造計算関係)を閲覧できる体制づくり等第三者がチェックできる仕組みを導入すべきではないか。
 4 構造計算の大臣認定プログラムが百以上あるというが、多すぎる公認プログラムの存在が、第三者からのチェックを困難化し、容易に偽装や偽造等を可能としている要因となっているのではないか。公認プログラム制度の改善策如何。
四 現在、新耐震基準が導入された昭和五六年以前に建築された「既存不適格住宅」(耐震性が不十分とみられる住宅)は、日本全国で一一五〇万戸存在するという。国土交通省は一月二五日、改正耐震改修促進法の施行に向け、今後一〇年間で、@住宅は一五〇万〜二〇〇万戸を耐震診断し一〇〇万戸を耐震改修する、A学校や病院など多数が利用する建物は五万棟を診断し三万棟改修する等を通じて、二〇一五年までに「震度六強または七の大規模地震でも倒壊しない」とする建築物の耐震化率を、現状の約七五%から九〇%に引き上げる数値目標を盛り込んだ基本方針を決定したが、
 1 目標値を一〇〇%ではなく九〇%とした理由は何か。あとの一〇%の「既存不適格住宅」の耐震改修等はどう進めていくのか。
 2 「改修」だけでなく「建て替え」も含め、具体的に、どういう政策的枠組みの下で、どの程度の国費(税金)を使って、この目標値を達成していくのか。これに呼応した都道府県の施策も含めて、実効性ある政策手段を提示されたい。

 右質問する。



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