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平成十八年四月十三日提出
質問第二二七号

政府系金融機関の再編に関する質問主意書

提出者  平岡秀夫




政府系金融機関の再編に関する質問主意書


 政府提出の「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案」の第二章第一節において、政策金融改革が取り上げられている。政策金融機関は、戦後の復興期や高度成長期、あるいは近年のデフレ不況からの脱却において、民間金融機関を補完する役割があったといわれる。一方、諸外国と比較して規模が大きく、直接金融に偏っていることなどが問題とされている。確かに、政策金融のあり方については一定の改革が必要であるが、これらの改革により本来、国民生活に必要とされる中小・零細企業に対する融資機能や第一次産業への融資など、民間金融を補完する機能まで無くしてはならないものである。「簡素で効率的な政府を作る」といった名目での拙速な改革は行ってはならず、政策金融改革は慎重を期する必要があるものと考えられる。
 従って、次の事項について質問する。

1 全体
 (1) 現在は金融緩和期でゼロ金利に近い状況であることから、地銀も地域に目が向いており大手銀行も業績好調と、政府系金融機関の縮小を議論するには好環境の中にある。しかし、将来この法案に書かれているように政府系金融機関が廃止・縮小・民営化される頃に与信規模が適正に保たれるかは保障の限りではない(数年前の金融収縮の時期にこの法案が提出されていれば大反対にあったであろう)。将来、先年あったような信用収縮が起こった状況で政府系金融機関が縮小していれば、どのようにそうした事態に対応するのか。
 (2) 景気悪化時に、民間金融機関が貸し渋りや貸し剥がしなどの行動を取った時など、政策金融機関の果たしてきた役割で必要な部分もあったのではないか。どの部分を評価し、どの部分が悪かったと反省するのか。
 (3) 政府系金融機関の果たしてきた役割を考えると、財政資金の中で、年間千三百億円という金額(全廃しても支出削減効果は一般会計の〇.一五%)は、効果に比して大きな金額とはいえないのではないか。
 (4) 財政投融資資金の出口改革といっても、郵貯・簡保三百五十兆円のうち、政府系金融機関はわずか三十二兆円である。中小企業などに果たしてきた役割を考えるとこれをなくすことがいいのか。
 (5) 法案四条二号の基本方針は、政策金融の規模を縮小させようというものであると思うが、実質的な縮小規模は大きくはないのではないか。
 (6) 「行政改革の重要方針」(二〇〇五年十二月二十四日閣議決定)で、「新たな財政負担を行わない」としているが、法案四条三号との関係いかん。
 (7) 新政策金融機関において次の貸付を実施するために必要な財政負担はどうするのか。
  @ 国の中小企業政策の中に明確に位置づけられ、政策誘導を目的とする範囲に限定された特別貸付
  A 民間中小金融機関でも採算上困難な零細・中小企業への事業資金貸付(経営改善貸付、生活衛生資金貸付を含む)
  B 資本市場が代替できない範囲に限っての農業・林業・水産業向けの超長期低利融資
 (8) 「重要方針」で、「再編後も継続的な縮小努力を行う」としているが、法案五条六号との関係いかん。
 (9) 既存の政府系金融機関の不良債権の現状はどうなっているか。
 (10) 検査方法は普通銀行の例によるのか。
 (11) 過去の融資の失敗について(宮崎フェニックスリゾート、大阪りんくうゲート等)の評価はどうか。
 (12) 八つの機関を一つにして総務部門を一体化するというだけでは、本当の改革の効果は出ない。どのような施策を考えているか。
 (13) 政府系金融八機関の職員約一万五千人の先行きについてはどのように考えているか。
 (14) 国民生活金融公庫(五期連続債務超過)や中小企業金融公庫(二〇〇四年度最終赤字)は財務内容が悪いが、どのように改善していくのか。
2 新政策金融機関
 (1) 五条三号で使われている「経営責任者」の範囲はどこまでか。
 (2) 「特定の公務の経歴を有する者が固定的に選任されることがないよう」とは、具体的には、どういう意味か。
3 国際協力銀行
 (1) 円借款と融資は一体化した機関で行ったほうが、国益確保に有効との指摘があるが、どう考えるか。
 (2) 円借款と融資は、同じ貸付方式であり、一体の機関で行う方が効率的ではないか。特に、日本輸出入銀行と海外経済協力基金の別立て時代には、どちらが貸付を行うのかの争い(デマケーション)で、非効率な業務運営になっていたのではないか。
 (3) 「重要方針」でも、「『中小零細、個人等の国内金融』と『国際金融』はおのずとその性格が違う」としており、国際協力銀行の業務を新政策金融機関に取り込むのは非効率ではないか。
 (4) 国際協力銀行の海外支店は、どのようになるのか。
 (5) 「重要方針」で示された「戦略的な援助政策を企画立案、実行するための政府内体制の在り方」は、どうなったのか。
4 日本政策投資銀行・商工組合中央金庫
 (1) 「完全民営化」とは、どういう意味か。銀行法に基づく銀行か。
 (2) 「経営の自主性を確保する措置」とは、どんな措置か。
 (3) 「政府の出資」について「その縮減を図り」としているが、どのようにして「縮減」をするのか。
 (4) 「円滑な運営に必要な財政基盤を確保するための措置」とは、どんな措置か。
 (5) 「投融資機能の根幹が維持されることとなるよう、必要な措置を講ずる」としているが、どんな措置か。また、それは、「完全民営化」と矛盾しないか。
 (6) 民営化後の資金調達手段はどのように考えているか。
 (7) その際、社債・金融債に政府保証をつけるような形になるのか。
 (8) (政府保証が外れ)調達金利が上がれば、これまでのような目的の業務はできなくなるのではないか。
 (9) 日本政策投資銀行の地域再生、産業育成の機能をどう評価しているのか。
 (10) 日本政策投資銀行における中小企業向け融資(貸付残高の五四%)をどう評価しているのか。
5 公営企業金融公庫
 (1) 政府のいう、新たな「仕組み」は、どんな仕組みか。個々の地方公共団体のリスクが反映される仕組みなのか。
 (2) 新たな「仕組み」のために必要な財政基盤を確保するための措置とは、どんな措置か。新たな財政措置が必要となる措置も含まれるのか。
6 その他
 (1) 法案四条四号に規定されている危機対応体制は、どのような体制を考えているのか。政府、日本銀行、預金保険機構などとの関係はどのようになるのか。
 (2) 「重要方針」では「組織の再編等に当たっては、不要なものは売却又は国庫返納する」としているが、法案十三条一号との関係いかん。「政府の出資に係るもの」とそうでないものとの区分はどのように行われるのか。
 (3) 国民生活金融公庫の教育資金貸付と独立行政法人日本学生支援機構の奨学金制度とは、どちらが優先するのか。財政負担は、どちらが大きいのか。
 (4) 民営化される郵貯・簡保と政府系金融機関の改革とはどのように関係するのか、しないのか。

 右質問する。



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