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平成十八年五月八日提出
質問第二四九号

原子力空母の横須賀基地への配備に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢




原子力空母の横須賀基地への配備に関する質問主意書


 米海軍は昨年十月二十八日、二〇〇八年に初めてニミッツ級原子力空母を横須賀基地に配備すると発表し、同日、政府は受け入れを表明した。
 横須賀市民はじめ東京都民、日本国民にとって、原子力空母の配備という重要な問題について、政府は、国権の最高機関である国会にも諮らず、しかも国民に対してなんらの説明もしないまま、容認したことは極めて重大である。
 国民からは、人口密集地の首都圏での原子力空母の原子炉の事故による放射能漏れ、一次冷却水の大量放出等の「核事故」への不安と懸念の声が広がっている。
 政府は、なんらの根拠も示さずに「米国の声明により安全は保障されている」、「従来からこの問題について安全は確保されているものと一貫して判断している」旨述べているが、安全性が確保されるという保障はない。
 米空母キティホークをはじめ第七艦隊機動部隊の旗艦など主要な戦力が横須賀基地を母港にしている。
 第七艦隊は、アフガン、イラク戦争で、インド洋、ペルシャ湾などに出動している。
 横須賀基地は、米本土以外に世界で唯一、空母が母港とする極東最大の海軍基地として、世界で生起する地域紛争への介入・干渉の前進拠点基地としての機能を果たしている。
 米軍再編の下で、第七艦隊の補給・修理・出撃基地としての機能を一段と強化する原子力空母の配備は、国民の安全という観点からも断じて容認できない。
 政府は、原子力空母の配備の白紙撤回を米国政府に対して強く求めるべきである。
 従って、以下の事項について質問する。

一 原子力空母の横須賀基地への配備受け入れについて
 1 米海軍は、昨年十月二十八日、横須賀への原子力空母を二〇〇八年に配備することを発表した。政府は、同日即時受け入れを表明しているが、これまで日米間で、公式、非公式の協議がなされてきたのではないのか。
 2 原子力空母の配備については、日米間でどのような協議がなされてきたのか、公式、非公式の協議、日米双方の協議機関・メンバーについて、政府が受け入れを表明するに到るまでの経緯を含めてその概要を明らかにされたい。
 3 原子力空母の配備について、政府はどのような検討を行って受け入れるとの結論に達したのか。また、配備についての政府の評価と判断を問う。
 4 政府は、原子力空母の配備が「日本の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与する」旨を述べている。
 空母キティホークをはじめ第七艦隊が配備されている横須賀基地は、米本土以外に世界で唯一、空母が母港とする極東最大の海軍基地である。しかも第七艦隊は、大義なきイラク戦争でインド洋、ペルシャ湾に出動し戦闘作戦行動を展開したのは周知のことである。
 政府は、原子力空母のプレゼンスは、「日本の安全及び極東における国際の平和と安全の維持に寄与する」というが、現実には、横須賀基地は、中東など世界で生起する地域紛争に介入・干渉するための、米国の軍事戦略上の前進拠点基地としての役割を担っているということではないのか。政府の見解を問う。
 5 政府は、原子力空母の配備という重要な問題について、国会に諮らず、しかも国民への説明責任を果たさないまま受け入れを表明したことは重大である。この政府の責任について見解を問う。
二 原子力空母の安全性と原子力艦の事故について
 1 政府は「原子力空母は安全である」旨のことを述べているが、何を根拠に「安全」というのか、その根拠と理由を詳細かつ具体的に説明されたい。
 2 一九六四年の米国政府の書簡「エードメモワール」及び同年の米国声明、一九六七年のエードメモワール、そして二〇〇六年四月の「合衆国原子力軍艦の安全性に関するファクト・シート」が、何故、原子力空母の安全性を裏付け、担保するものになるのか、具体的に説明されたい。
 3 麻生外務大臣は、本年二月十日の衆議院予算委員会で「エードメモワール等々の内容を厳格に実行する旨を改めて外務省といたしましても文書の形で求めておりまして、これを向こうから確約しているところであります」という趣旨の答弁をしている。
 外務省が米国政府に文書の形で求めたものとは、どのような内容の文書なのか。また、米側が何を確約したのか。
 4 それは、新たなエードメモワールを日米間で文書によって取り交わすということなのか、明確に答えられたい。
 5 米国政府からは、原子力空母の艦の設計、原子炉に係る技術、運行に係る技術情報等の提供はなされず、また事故防止のための艦内への日本側の立ち入り調査は、軍事機密等のために一切できないのではないのか。
 6 政府は、「両国の信頼関係」、「米国政府の説明」と「合衆国原子力軍艦の安全性に関するファクト・シート」等で、「安全性は確保される」と判断しているが、より詳細なデータを米側に求めて、技術的、科学的かつ厳格な検討をすべきではないのか。
 7 原子力空母の安全性が、「両国の信頼関係」によって確保できるとでも考えているのか。
 8 横須賀基地で、原子力空母が原子炉の事故を起こすと、南風の条件では死の灰が横浜、東京など首都圏一帯に降下し、十万人以上が死亡し放射線被害者等多数の被害が発生するとの指摘もある。政府は、このようなことについて日米間で検討・協議したことがあるのか。
 9 原子力艦は、原子炉を衝撃にさらされやすい狭い艦内に搭載しており、危険な要因を多数抱えていると言われている。これまでも米国の市民団体などの調査により、原子力艦の放射能漏れ、乗組員の被曝事故、原子炉の事故等が明らかにされている。
 一九九九年十一月、原子力空母ステニスがサンディエゴ湾内で座礁事故のために冷却水循環ポンプが故障し原子炉が緊急停止するという事故寸前の事態を起こしている。
 一九九四年には、原子力空母エンタープライズが、ドライドックで修理中に原子炉室で火災が発生し、放射能物質漏れが発生している。また、横須賀において過去数回、原潜の入航中に異常放射能が観測されており、一九六三年には、米国内で原潜スレッシャー号が沈没事故を起こしている。政府はこれらの事実について把握しているのか。
 10 この際、原潜をはじめとする原子力艦の国内での事故等について、その概要を時系列に沿って明らかにされたい。
 11 米海軍の原子力空母をはじめとする原子力艦の海外(米本土を含めて)における事故等の概要を明らかにされたい。
三 原子力空母の横須賀基地での原子炉等の補修・修理について
 1 原子力空母の原子炉以外の補修・修理は行うのか、また原子炉及び関連設備の補修・修理はどうか。
 2 横須賀基地は、原子炉管理施設、原子炉冷却用ポンプを動かす質の高い電気供給、ドライドックの改良等の施設整備を行っていることは承知しているが、工事はすべて完了したのか、あるいは継続中なのか。
 3 横須賀基地に係る施設整備の詳細と工事の進捗状況を明らかにされたい。
 4 こうした施設整備によって、原子力空母の原子炉の補修・修理は可能となるのではないのか。
 5 政府は「横須賀での原子炉の修理はしない」という趣旨のことを述べているが、その理由は何か。
 6 原子炉の補修・修理は、米本国で行うということなのか、それは日米間で了解、もしくは合意されていることなのか。
 7 米海軍の「原子力空母規格」によれば、日常的なメンテナンス作業として一次冷却水、フィルター、原子炉の部品などの放射能汚染物質の交換・修理の作業が行われ、そのための放射能管理施設が必ず必要とされている。
 横須賀基地に原子炉管理施設が整備された場合には、原子炉等のメンテナンス作業は行われることになるのではないのか。
 8 当該施設で、原子炉のメンテナンス、すなわち維持・管理の一環として、原子炉の補修・修理を行うことにならないのか、明確に答えられたい。
四 原子力空母の原子炉等の事故が発生した場合の対処について
 1 政府は、原子力空母の原子炉等の事故が発生した場合の対処についてはどのように考えているのか、また発生した場合の対処はどのように行われるのか、具体的かつ詳細に答えられたい。
 2 米海軍だけでは対処できない場合も想定されるが、その場合には、日本が把握している空母の構造等の限られた情報で、有効な対処ができると考えているのか。
 3 原子力空母の原子炉等の事故が発生した場合の対処について、日米間でなんらかの取決めを行うつもりか。
 4 政府は、横須賀市をはじめ周辺地域の地方自治体との間でどのような事故等の対策、対応策を考えているのか、具体的に答えられたい。
五 原子力空母の配備は、横須賀基地の機能を一層強化するものであり、国民の安全にとって重大な問題である。
 政府は、原子力空母の配備の白紙撤回を米国政府に強く申し入れるべきである。これについての政府の見解を問う。

 右質問する。



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