衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十八年六月六日提出
質問第三〇七号

不良債権処理に関する質問主意書

提出者  前田雄吉




不良債権処理に関する質問主意書


 二〇〇五年三月末に、大手金融グループ三社は、不良債権比率を半減し、今年三月期決算では、空前の好決算を発表し、不良債権問題は、ほぼ終わったとしている。
 しかし、不良債権は、銀行が投資ファンドや金融サービサーに売却してオフバランス化したにすぎず、不良債権そのものが、消滅したわけではない。
 債務者からみれば、債権取立が銀行から整理回収機構やその他の金融サービサーに移行したことで、さらなる横暴な取立で債務者の生活が破綻され、あるいは債務者企業の再生が阻害されるケースが続出している。これ以上、債権回収の「無法状態」を放置することは許されないと考える。そこで、この点についての政府、金融庁の見解について、質問する。

一 金融サービサー等が、債務者等の犠牲のもとに、不当な利得を得させないために
 @ 金融機関は、債務者から、金融サービサーに売却した価格についての情報の開示を求められた場合は、債務者にはこれを開示しなければならないとすべきではないか。理由も付して、回答されたい。
 A 金融サービサーが、債権を額面の一%にもならない価額で買いとっているのにもかかわらず、債務者等に、債権の額面の金額を要求できるとすることは、金融サービサーに不当な利得を与えることになるのではないか。理由も付して、回答されたい。
  買取価格の何倍までというような規制が必要ではないか。理由も付して回答されたい。
 B 整理回収機構は、預金保険機構が全額出資している株式会社であり、利潤追求は目的ではないのだから、まずは、率先して整理回収機構については、前記の規制をもうけるべきではないのか。理由も付して回答されたい。
二 個人情報の保護に関して
 個人情報保護法が施行されて、満三年を迎える。とりわけ、金融機関は、個人の信用状態など、最も重要な個人情報を取り扱うのだから、これら個人情報の取り扱いにあたっては、より慎重な配慮が求められる。
 整理回収機構やその他の金融サービサーも、個人の信用状態などの重要な個人情報を扱う上では、同様の取り扱いが求められているのに、著しく同法を逸脱した業務を行っている例がある。
 @ 整理回収機構が保有する債務者の資料を、債務者と第三者との裁判に供するため、債務者の同意なしに第三者に提供しているケースがあるが、この整理回収機構の行為は、同法に違反しないか。
 A 整理回収機構は、債務者からの返済条件等をめぐる話し合いにおいて、整理回収機構とはもちろん債務者会社との間でも、債権債務の関係が全くないにもかかわらず、債務者会社の代表者と代表者が同一であるとの理由で第三者の決算書、確定申告書などの提出を求めることが多い。債務者らがこれを拒否すると、整理回収機構は、以後の話し合いに応じないとの態度に出るため、事実上の強要である。このような整理回収機構の行為は是認されるのか。
 B 金融機関等が、いわゆる不良債権を投資家や金融サービサー等に売却するにあたり、債権債務の契約書等だけでなく、債務者や連帯保証人の個人情報を債務者や連帯保証人の同意なしに譲渡している例があるが、金融庁はこの点については把握しているか。
 C 前記のケースで、金融庁は、どのような改善措置をとっているか。
三 債権回収の規制について
 整理回収機構はじめ、金融サービサーが行っている債権回収には、一応は、法的手段をとっているが、実態は、債権回収のために、債務者に対する脅しや嫌がらせの手段として使われることが多い。
 @ 債務者の連帯保証人に対する債権取立として、連帯保証人の自宅に仮差し押さえをすることがあるが、中には、自宅は、連帯保証人とその妻との共有であり、しかも、その自宅には、第一順位に住宅ローンが設定されているため、最終的には強制競売を申し立てしても、剰余なしとして、裁判所から競売は取り消しになることが明らかなケースでも、整理回収機構やその他の金融サービサーは、仮差し押さえなどを申立すれば、連帯保証人等に対する脅しになるため、法的には無意味な申立をしているケースがある。法的には無意味な申立を脅しに使う場合は、行きすぎた債権回収として、規制すべきではないか。
 A 破産事件は、年々増大しているといわれるが、九〇%以上は、債務者からの自己破産であり、債権者が債務者の破産の申立をするケースは、きわめてまれであるのに、最近、債権者から破産申立を行うケースが増えているが、整理回収機構が、おこなった破産申立は、過去五年間にどのくらいの件数があるか。また、整理回収機構が破産申立をする場合には、どのような目的と基準で、破産申立を行っているのか。
 B 債務者から、競売手続きによる配当以上の債務弁済の申し出があり、しかも、債務者の自宅に設定されてあった抵当権は完済するまで、そのまま、設定していてよいという条件であったのに、債権者は、これを拒否して、競売手続きを強行するのは、債権者から見て、経済合理性にも反するのではないか。
四 債権回収の手順
 債権回収にあたっては、ベニスの商人ではないが、債権者だからと言って、どのような手段で債権を回収してもよいことにはならない。できるだけ、債務者の犠牲を少なくする方法を選ぶべきである。
 @ 整理回収機構は、その設立の理念において、契約の拘束性とあわせ、債務者の生活や企業の存続を脅かさない回収を掲げているのだから、債権回収にあたっては、債務者の犠牲を最小限にする義務があるのではないか。
 A 整理回収機構が、債務者会社から開発分譲地を売却して返済したいとの申し出があったのに、これをしりぞけ、債務者会社の前代表者の未亡人(八三歳)が居住している自宅の敷地を競売にかけることは、整理回収機構の債権回収の理念に反するのではないか。
 B しかも、この当該不動産には、重要文化財的価値のある書院や茶室が含まれているため、第三者に競落された場合、これを取ったり壊されるおそれがあるにもかかわらず、競売を強行する手法は許されるのか。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.