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平成十八年六月十四日提出
質問第三四六号

照射食品に関する質問主意書

提出者  保坂展人




照射食品に関する質問主意書


 二〇〇五年一〇月、内閣府原子力委員会は原子力政策大綱で食品照射を推進する方針を決めた。同年一二月、食品照射専門部会を設置し、「基本的な考え方」として、食品照射への理解不足が問題として、現在までに七回の部会と数回の意見の聞き取りを終え、まとめの段階に入っている。
 しかし、食品への放射線照射は四十年以上にわたる安全問題があり、消費者にも、食品業界にも影響が大きい処理技術である。かつ、食品照射専門部会で論議されている論点については不明な点が少なくない。よって、本問題について内閣としての答弁を求める。

一 原子力委員会食品照射専門部会(第七回)の「食品照射についていただいているご意見への対応(案)」の対応として書かれている内容について、その説明に使われている引用資料、内容について誤りはないか。また、この対応を書いた責任部局、責任者名を明らかにされたい。
二 一九七七年のFAO(国連食糧農業機関)・IAEA(国際原子力機関)・WHO(世界保健機関)の食品照射合同専門家委員会の報告書(テクニカルレポート六〇四)のFuture Researchに記された五項目とはどのようなものか。また、一九八〇年の報告書(六五九)に書かれたFuture Researchを具体的に示されたい。一九七七年の五項目の課題は一九八〇年のFAO・IAEA・WHOの合同専門家委員会で一〇kGyまでの照射は安全とした報告(テクニカルレポート六五九)のどこに具体的な結果が報告されているか記されたい。その後、Future Researchに関する研究結果が記載されたテクニカルレポートがあれば具体的にページとその部分を示されたい。
三 一九八〇年の一〇kGyまで安全としたテクニカルレポート六五九以後に照射によってできる特異的な生成物はいくつ見つかっているか。2−アルキルシクロブタノン類が見つかったのはいつのことか。ドイツのカールスルーエ連邦栄養研究所で行われた実験で、2−アルキルシクロブタノン類を投与したラットの腸細胞のDNAにダメージを与えるという報告は持っているか。2−アルキルシクロブタノン類はエームス試験で変異原性なしというが、エームス試験に使われた2−アルキルシクロブタノン類は胃液・腸液など生物学的代謝過程を経た後の毒性についてもチェックされたか。2−アルキルシクロブタノン類には発ガン促進作用があると言われているが事実か。2−アルキルシクロブタノン類が微量なら発ガン促進をしないという実験報告はあるか。
四 ドイツのカールスルーエ連邦栄養研究所とカールスルーエ市にある国立原子力研究所とカールスルーエ市に事務所のある国際食品照射プロジェクト(IFIP)の関係について、どのような事実を把握しているか。
五 一九七七年、FAO・IAEA・WHOの合同専門家委員会に出席した専門家は誰か。このとき日本から提出した報告の作成責任者は誰か。日本政府として「FAO・IAEA・WHOの合同専門家委員会」に派遣する専門家にどのような権限を与えているのか。この報告書二九ページに書かれているタマネギの結果と照射食品研究成果報告書に書かれている内容で矛盾する点はないか。一九七七年のテクニカルレポート(六〇四)には日本のタマネギ実験で卵巣と睾丸の重量に統計的有意差が出た。病理組織学的変化がなかったとされているが、組織が同じなら卵細胞数が減少していなければ説明がつかないことになる。この問題について具体的に確認をとっているか。また、奇形の出た実験をコントロール群の動物数が少ないため、また、使ったマウスの系統のためとしているが、統計的な有意差があるのだから、動物数は関係ない。また、系が違うというような初歩的ミスを犯した実験をする機関に実験を依頼したことについてどのように考えるか。
 また、一九八〇年のFAO・IAEA・WHOの合同専門家委員会の一〇kGyまでの照射は安全であるとした報告書は日本国政府を拘束するものか。
六 消費者が照射食品を必要としている具体的な調査をしているか。また、照射食品の消費者へのメリットを具体的に挙げられたい。
七 香辛料とはどのようなものをさすのか、その定義を示されたい。スパイスに照射を認めたとされる国で照射されているスパイス名と量をすべて挙げられたい。
八 原子力委員会は「消費者の理解不足」が照射食品の広がらない理由としているが、消費者の理解不足であるとした根拠を示されたい。
九 愛知県の中神食品工業がベビーフード原料への放射線照射事件を起こし、食品衛生法違反事件として裁かれたが、この判決はどのようなものであったか。このような違反事件を防ぐ手立ては具体的にあるか。
一〇 原子力委員会は「食品照射研究開発基本計画」を策定し数十億円の予算をつぎ込んでいるが、国内で現在まで照射食品に使った予算の総額はいくらか。こうした予算で行われた研究が正当にされたかどうかのチェックはしているか。
一一 日本の照射食品関係の施設で起きた事故、事件は何件あるか。また、照射施設内で使われた水や機材、排出したごみ、埃などの処理はどのように行われているか。
一二 放射線照射施設が国家管理であるため、照射の毒性実験などをしたい研究者へのサンプル提供などがされない問題があるが、こうした国家管理であるため推進に積極的である研究者だけが集まる弊害に対し何らかの手立てを行ってきたか。
一三 ヒヤリングで元国立衛生試験所毒性部長は実験動物の解剖が数人の人間がやったため卵巣の重量に異常が出たと説明しているが、解剖を担当した技官の技術によって個人的バラツキがあっても、その誤差の幅が一定内に抑えられているはずである。しかも照射したエサ群の方が卵巣の重量が減っているのであるから重要な危険を提示していると評価するのが妥当だと考えるが原子力委員会ではどのように評価しているか。
一四 原子力委員会食品照射専門部会の「報告書のうち、食品照射の論点とその現状認識についての骨子(案)」に「一部の食品成分は放射線の影響を受けやすく、ある種での食品での食味の低下や加工適性の低下、特定の栄養素の損失といったことが起こる。ただし、このような影響は、食品の毒性や付着した微生物など食品の安全に係わるものへの影響でなく、また、加熱調理の際などにも生じるものである。」としているが、食味の低下を起こすことがわかっている食品を全て挙げられたい。加工適性の低下を起こす食品を全て挙げられたい。加熱処理で生じるとしているが、2−アルキルシクロブタノン類も加熱で生成するのか。
一五 同報告書では、「今後の取組を考える際には、国内外の様々な課題を踏まえた、我が国における食品照射の意義の評価が重要となる」としているが、現在照射についての意義をどのように考えているか。日本国内でスパイスのように多品種の食品に使われるものに照射した場合起きると想定できる問題について検討しているか。また、国外から照射された食品が輸入された場合に検知できるか。照射食品に照射された線量が特定できる検知法はあるか。二回、三回と重複照射された場合検知できる方法はあるか。
一六 照射食品を販売している国の販売量はどのくらいあるか。(推定量でない実際の販売量を一〇年前までさかのぼって記されたい。)
一七 照射で食中毒が減るとしているが、実用化した国で食中毒はどのくらい起きているか。照射開始前と開始後のデータをもって示されたい。
一八 食品照射専門部会の「報告書のうち、食品照射の論点とその現状認識についての骨子(案)」に、2−ドデシルシクロブタノンについて「消費者に健康の危険をもたらすものではないとされている」と伝聞の記述になっているが、この物質について、安全性試験を行う予定があるか。
一九 食品照射専門部会の「報告書のうち、食品照射の論点とその現状認識についての骨子(案)」に、我が国での研究で卵巣や体重に異常が出たことについて「サンプル数が少なかったことによる振れ幅と考えられている」という記述があるが、サンプル数が少なくても、統計的有意差が出ている結果を否定してよいとする理由はなにか。逆にサンプル数が少ない実験を安全の根拠にできる理由は何か。これまでの研究も統計的有意差があってもこのような評価法をしてきたのか。
二〇 食物の安全性確認は毒性学的、微生物学的、栄養学的な三項目で足りると考えているか。動物に食物を与えた場合、どこまで餌の中にまぜて食べさせることができるかという実験は可能であるが、それが、食物の安全性の証明になる理由を説明されたい。
二一 全日本スパイス協会からスパイスへの照射推進の依頼、請願等を受けたことがないか。
二二 各国で照射に反対する消費者運動があるのか。その反対の理由を把握しているか。
二三 アフラトキシンは「適正な条件で貯蔵した照射食品では増大しない」と記載されているが適正な条件とはどのような条件であるか。適正でない場合にアフラトキシンが増えることがあるということか。
二四 食品製造業者から照射食品の相談を受けたことがあるか。あるなら、どのような食品業者か。
二五 家畜用飼料に放射線照射がされているが年間の照射飼料はどのくらい生産されているのか。家畜用飼料がペット用エサとして使われている可能性はないか。家畜用飼料を人間が食べてはいけないという法律はあるか。
二六 士幌農協で照射されたジャガイモの量を照射開始以来、年度別の量を示されたい。士幌農協で照射されたジャガイモが実際に市場で販売された量を開始以来、年度別に示されたい。
二七 照射施設がテロの対象となる危険があるが具体的にどのような予防措置がとられているか。また、照射施設が不要になり解体される場合、残ったコバルトなど放射性廃棄物は誰の責任によって、どのように処理をするのか。

 右質問する。



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