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平成十八年六月十五日提出
質問第三六九号

電気用品安全法と経済産業省の対応に関する質問主意書

提出者  川内博史




電気用品安全法と経済産業省の対応に関する質問主意書


一 電気用品安全法本格施行直前の混乱と経済産業省の対応について
 (1) 電気用品安全法(昭和三十六年法律第二百三十四号。平成十一年法律第百二十一号により改正。以下、改正後の法律を「本法」という。)における経過措置の一部が本年三月三十一日を以て終了するにあたり、主として本法の対象とされる中古電気用品を商材とする古物商と一般消費者の間で、本法において定める「PSEマーク」が付されていない中古電気用品の販売が不可能となり、違反者に対して刑事罰が科されることもあって大きな社会的混乱が生じた。この混乱の原因と責任はどこにあると考えているのか。政府の答弁を求める。
 (2) 本年四月二十五日の衆議院決算行政監視委員会における国会答弁で、経済産業省は、本法の対象に中古品も含まれるということを明文で公表したのは、本年二月十日の経済産業省のホームページ上が初めてであることを認めた。この本年二月十日のホームページが初めてであるということについての、政府の事実確認の答弁を求める。また、中古品も含まれるということの公表が本法の成立から六年半も経って、本格施行の四十九日前まで大幅に遅れた理由は何か。その理由と責任の所在について、政府の明確な答弁を求める。
 (3) 本年二月十五日に、経済産業省は警察庁に対してその所管する古物商・質屋の業界団体等に対して本法の周知を依頼している。何故、経済産業省は本法制定の議論が開始された平成十年頃から本年に至るまでの間、警察庁に対して、古物商・質屋の業界団体からの意見聴取や周知についての相談を行わなかったのか。その理由について、政府の明確な答弁を求める。
 (4) 昨年十月から十一月にかけて、経済産業省は大手中古電気用品販売事業者から、本法の対象に中古品も含まれるのかとの問い合わせを受けて、内閣法制局と相談中である旨を伝え回答を本年一月まで留保した。この経緯について、事実であることの確認を求める。
 (5) 内閣法制局の見解では、本法の改正が含まれた通商産業省関係の基準・認証制度等の整理及び合理化に関する法律(平成十一年法律第百二十一号)附則第五十条により、経過措置としての猶予期間を五年からさらに一年ないし二年程度延長することは困難であったとされる。その理由について、詳細な説明を求める。
 (6) さらに、内閣法制局の見解では、中古品のみを附則第五十条により猶予期間を延長することも不可能であるとされるが、その理由について詳細な説明を求める。
 (7) 本年二月十四日に経済産業省のホームページ上で掲載された「経過措置期間の終了に伴う電気用品の取扱いに関して」等で、古物商等が本法における「製造事業者」の届出を行い、技術基準適合を確認のうえ、三つの自主検査を行ってPSEマークを付して中古電気用品を販売することができると説明されている。この点について、中古電気用品に何らの手を加えず、仕入れたものをそのままの状態で再度販売する行為しか行わない中古販売事業者が、何故に「製造事業者」の届出を行わなければならないのか。政府の答弁を求める。
 (8) そもそも、本法における「製造」とは何か。その定義について、政府の明確な答弁を求める。
 (9) 「部品の交換」「修理」「製造」等において、本法における「製造」に該当する行為の定義について、政府の明確な答弁を求める。
 (10) 「製造事業者」の届出を行った中古販売事業者であっても、製造行為を行わない電気用品については、本法第八条第一項の義務は負わないとの理解でよいか。答弁を求める。
 (11) 最近経済産業省が行った、絶縁耐力検査実施状況調査の結果について、その内容の説明報告を求める。この結果を見ても、中古電気用品販売事業者が仕入れ、その店頭に並ぶほとんど全ての中古電気用品は、PSEマークが付されているか否かにかかわらず、メーカーによる製造段階で一度は絶縁耐力検査を受けているという事実を認めるのか。答弁を求める。
 (12) 大量生産を行う製造メーカーは、絶縁耐力の全数検査を、千二百ボルト一秒以上の基準で行っている。その結果、既に一度は行われている絶縁耐力検査を、あらためて千ボルト一分の検査を事実上強制されて、行っているのはほとんど中古電気用品販売事業者に限定された状態となっている。このような状態は、中古販売事業者に不当かつ過剰な負担を強いていると評せざるを得ないものと考えるが、政府の見解を求める。
 (13) 本法においては、中古電気用品に何らの製造行為を行わない中古電気用品販売者も「製造事業者」ないし「輸入事業者」の届出をしなければ、PSEマークを付して販売することができない。このような状態は明らかに法のスキームの不備ではないかと思うが、政府の見解を求める。
二 電気用品安全法の制定過程について
 (1) そもそも、電気用品安全法制定のために、平成十年六月から開催された産業構造審議会基準認証部会・消費経済審議会製品安全部会製品安全合同小委員会等の審議において、中古電気用品販売事業者の参加も求めず、意見聴取も行わなかった理由は何か。答弁を求める。
 (2) 平成十一年の本法制定時に、経済産業省は本法における中古品の取り扱い、あるいは位置付けについて内閣法制局に説明した事実はあるか。答弁を求める。
  内閣法制局は、これらの説明を受けた事実はあるか。答弁を求める。
 (3) 平成十一年の本法制定時に経済産業省は、中古電気用品販売事業者の数、業界の規模、業界で働いている人の数、市場の動向など、立法事実となるべき事実を承知していたのか。答弁を求める。
 (4) 平成十一年に行われた本法に関するパブリックコメントにおいて、明らかに「利害関係人」である中古電気用品販売事業者に対して周知を行った事実はあるか。答弁を求める。行っていなかったとすれば、それは平成十一年三月二十三日の閣議決定文書の中にある「利害関係人には、必要に応じ、適宜周知に努める」という文言の趣旨に反するのではないか。政府の見解を求める。
 (5) 経済産業省は、国会の委員会で、電気用品安全法の旧法との変更点は、絶縁耐力試験などの一品ごとの全数検査を義務づけたことである、とくり返し答弁しているが、この答弁の確認を求める。
 (6) その場合、法改正による旧法との最大の変更点が、省令によって行われることは問題ではないか。政府の見解を求める。また、旧法との最大の変更点が、省令の中の全数検査の義務づけである事実を、これまで経済産業省は明文で公表したことがあるか。答弁を求める。またこの変更点を利害関係人や関係者にどのようにして知らせたのか。答弁を求める。
 (7) また、平成十三年四月の省令制定時に、ほとんどの製造メーカーの製造ラインにおいては、すでに絶縁耐力の全数検査が行われていたという事実を経済産業省は知っていたのか。答弁を求める。
三 電気用品安全法に関する今後の課題について
 (1) 経済産業省自身も認めているように、現在においてもなお経済産業省は、中古電気用品の販売事業者数、市場規模、働いている人の数、消費者・利用者の数などの実態を把握していない。来るべき制度改正のためにも、可及的すみやかに、本格的な実態調査を行うべきであると思うが、政府の見解を求める。
 (2) 中古リサイクル業者のみなさんの組織化がすすめられていると聞いているが、この取り組みに対する関係省庁の方針をそれぞれ明らかにされたい。
 (3) 「部品の交換」や「修理」のための部品保有期間は業界での基準では七年間となっていると聞いている。この部品保有期間をたとえば十年間に延長して、リユースがより推進されるようにすることが、品質の高い電気用品を生産することにつながり、「ものづくり大国」を実現することに寄与すると思うが、政府の見解を求める。
 (4) 本法の不備による現状の混乱を放置することは許されない。まず、今秋の臨時国会で中古電気用品を本法の適用対象から除外する法改正を行い、その上で、PSEマークの有無にかかわらず、中古電気用品の安全性の確保とリユースの推進の立場から、中古電気用品販売事業者のみなさんの協力を得て、電気用品安全法のみならず、新たな製品安全法制の体系を整備するための法の抜本改正が今後の課題として必要だと思うが、政府の見解を求める。

 右質問する。



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