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平成十八年十二月七日提出
質問第二二一号

国公立の精神科施設における治療実態に関する質問主意書

提出者  高井美穂




国公立の精神科施設における治療実態に関する質問主意書


 東京地裁は本年十一月八日、国と国立精神・神経センター国府台病院(千葉県市川市)の精神科医に対し、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」の女性患者を殴り、けがをさせたとして原告の女性患者に対し計約百五十万円を支払うよう命じる判決を下した。医師や国側は「殴ったのは治療行為の一環」と主張していたが、裁判長はこの主張を退け、「女性は正当な理由もなく暴行を受け、精神的な衝撃は非常に大きかったと推認される」と判断した、と報道されている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 前述の判決内容及び報道されている内容は事実か。また、国・医師側は控訴せず、判決は確定していると理解しているが間違いないか。控訴しなかった理由は何か。判決内容を認めたのか。
二 精神病患者などの人権擁護活動に取り組んでいる「市民の人権擁護の会」の調査によると、裁判記録の中で被告国は「原告が本件暴行があったとして問題にしている局面において、被告金医師が原告に施した治療手段は、原告の現病名に対する正当な治療目的であり、原告の意思を尊重しつつ行われた適切な医療行為の一環としてのタッピングであって、あくまでも医療行為そのものである」と反論している。そこで、
 A 「タッピング」とはどのような治療方法か。医学的定義を示されたい。「タッピング」とは「叩く」「殴る」行為とどう違うのか。
 B 国が「殴る行為」を精神科治療の一環と認定した科学的・医学的根拠、及び経緯を示されたい。
 C 国は、今でも「殴る行為」が「適切な医療行為」の一部であると考えているのか。
 D 国は、この判決後全国の国立・公立精神科病院等に当該判決を受けて何らかの注意、指導をしたのか。
三 東京地裁は、この裁判において同患者のカルテが改ざんされたことを認定している。同センター内において内部調査が終了した後、カルテに診断名や治療法などを書き加えたとされるが、政府の見解を示されたい。
四 被告医師は国内のPTSDの第一人者とされ、約一億円以上の厚生労働科学研究費が同医師の関連する研究(主任研究者あるいは共同研究者として)に使用されているが、その研究の成果によって殴る治療の有効性が証明されているのか。また、同医師を中心に国内初のPTSDの指針が策定され、その後もPTSDの権威として、同医師は精神科医療を牽引しているが、そのことについて政府はどう考えているか。
五 本年九月及び十月、同センターの職員が患者の金銭を盗むなどという事件が発覚している。また、国立病院機構賀茂精神医療センターでも、患者の金銭を着服したとして関係者が処分されている。国立の精神医療従事者の倫理感はどうなっているのか。国はどのような綱紀粛正をしているのか。さらに、九月には八歳の女の子を死亡させた事件に関連し、厚生労働省の発達障害者支援に係る検討会で中心人物の都立梅ヶ丘病院の院長が処分され、宮城県立富養園(精神科)では精神薬の治療によって多機能不全を起こさせたという医療事故が起きている。あるべき精神科施設としての患者に対する治療や処遇がないがしろにされ、昔の収容施設的な精神医療現場に回帰しているのではないか。政府の見解を明らかにするとともに、対策を示されたい。

 右質問する。



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