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平成十八年十二月十二日提出
質問第二四一号

財団法人日本美術刀剣保存協会の刀剣審査の透明性に関する質問主意書

提出者  佐々木憲昭




財団法人日本美術刀剣保存協会の刀剣審査の透明性に関する質問主意書


 公益財団法人である日本美術刀剣保存協会における刀剣審査のあり方、その透明性が、いま大きく問われている。本年五月、文部科学大臣宛に匿名の投書が送られ、「重要刀剣、特別重要刀剣の審査制度が一部の理事と業者の癒着によって歪められている」と指摘されたことは、同財団を所管する文部科学省・文化庁も認めているところである(平成十八年十月二十日、衆議院文部科学委員会)。
 日本美術刀剣保存協会は、「刀剣類並びに刀装・刀装具を審査し、保存・特別保存、重要・特別重要刀剣等の鑑定・指定を行う」ことを事業の一つとしている。今日では、全国の刀剣商や刀剣収集家から持ち込まれる刀剣を審査する役割も担っている。これらの刀剣は、「特別重要」「重要」「特別保存」「保存」の四階級に区分され、「特別重要に指定されれば重要文化財クラス」ともいわれるほどの評価を受けるものである。
 同時に、金額的にも相当の価値を生んでいることも周知の事実である。実際、当該財団(保存協会)の審査で上位階級に指定されると、例えば一振百万円〜二百万円相当の刀剣が、その数倍から十数倍へと金額的にも跳ね上がるといわれている。
 それだけに刀剣審査のあり方については、いっそうの透明性・公平性が求められるものである。しかしながら先の「匿名の投書」にも表れているように、同財団における審査制度のあり方は、常に疑問が生じており、過去にも様々な点が指摘されてきた。
 透明性と公平性を保った審査を貫くことは、同財団の生命線である。とりわけ、国からの補助金を受給し、税制面でも優遇されている公益法人だけに、運営上の不正や不透明性が生じることは決してあってはならないことである。早急に改善の方策をとるべきである。
 以下、質問する。

一 「重要刀剣、特別重要刀剣の審査制度が一部の理事と業者の癒着によって歪められている」との文部科学大臣宛の匿名の投書を受けて以降、実態解明のためのいかなる対策をとってきたか。
 また、その結果、どのような事実が明らかになったか。
二 二〇〇一年(平成十三年)十月、文化庁が行った当該財団法人(日本美術刀剣保存協会)の実地検査について
 @ 実地検査を行うに至った経緯と理由、検査の目的はどのようなものだったか。
 A 実地検査の結果、法人側から提出された改善方策ならびに政府としての対応について、詳細を明らかにされたい。
三 刀剣審査の透明性を確保するために、「役職員、審査員本人及びその親族については、審査会への申請はしない」との法人側の自主規制(いわゆる窓口規制)があり、文化庁もこれを了としている。しかし、二〇〇一年(平成十三年)の実地検査以降も窓口規制に反する行為が生じている。現に、同法人が発表している「重要刀剣等指定品」の一覧(『刀剣美術』)のなかでも、理事ら現職の役員が申請した刀剣が「重要刀剣」として指定されていることが公になっていることは重大である。
 そこで以下の点について明らかにされたい。
 @ 二〇〇一年(平成十三年)十月の文化庁による実地検査以降、直近までの期間で、窓口規制に違反した件数は何件か。
 A その内、理事・親族、職員・親族、審査員、非会員などの内訳を明らかにされたい。
 B また、「重要・特別重要」、「保存・特別保存」などランク別の件数を明らかにされたい。
 C 違反した役員に対してはどのような処分を行ったか。また、今後の対応策を示されたい。
四 伊吹文明文部科学大臣は、先述の文部科学委員会で「一つしかない機関が…インサイダーだとか行為規範というのと同じ疑いを差し挟まれないように厳正に行動していただくという原点が確立されれば一番いいわけですから、その方向で文化庁が努力をすると思います」(二〇〇六年十月二十日)と答弁を行っている。これは、当該財団の刀剣審査の透明性を確保し、社会的信頼を取り戻すうえでもきわめて重要な指摘であると考える。政府として改善のためのいかなる具体的な方策をとるか、明らかにされたい。

 右質問する。



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