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平成十九年二月八日提出
質問第五一号

住民基本台帳ネットワークシステムと社会保険庁「最適化計画」に関する質問主意書

提出者  河村たかし




住民基本台帳ネットワークシステムと社会保険庁「最適化計画」に関する質問主意書


 社会保険庁は、平成一八年三月二九日に「社会保険業務の業務・システム最適化計画」を策定(同年一〇月三一日に改定・以下単に「最適化計画」という)し、実行に移している。社会保険庁は、もともと、年金情報、健康保険情報(レセプトなどの医療情報を含む)、市区町村から受領した税情報、勤務先情報など多くの個人情報を保有している。また、社会保険庁が保有する、基礎年金番号と、住民票コードが突合され、マッチングすることが計画されてもいる。
 住民票コードの付番については、国民のプライバシー保護の観点から、強い疑念が出されたことは記憶に新しいが、「基礎年金番号」制度の導入時においても、同様に強い危惧が示されていた。例えば、平成八年六月六日、参議院において、「厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」が可決され、「政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。・・・五、受給者及び被保険者に対するサービスの向上を図るため、年金現業業務の一元化等の整備を推進するとともに、そのための基礎年金番号の導入に当たっては、プライバシー保護に万全を期すること。」と決議されている。
 この二つの番号が突合されるということは、国民のプライバシー保護上、重大な問題が生じることが懸念される。しかも、社会保険庁は、この間、年金加入情報の不正閲覧問題が発生し、その後も、年金の不正免除を「組織的に」行ったことが明らかとなった組織である。国民のプライバシー侵害に対する懸念は一層高まったと言わざるを得ない。
 よって、以下の点につき質問する。

1 (「社会保険庁」の保有する個人情報について)
 (1) (年金運営新組織について)
  @ 「最適化計画」の「別添2」「U 将来体系」の「年金運営新組織の行う業務」中の「2・3・1・2情報資産評価表」において、保有数の想定がついているものの「個人情報」の総数について、「連携情報」ごとに明らかにされたい。
  A @の「連携情報」の内、基礎年金番号を含む予定のものを、明らかにされたい。
  B @の「連携情報」の内、住民票コードを含む予定のものを、明らかにされたい。
  C @の「連携情報」の内、「被保険者情報」に含まれる「生年月日」、「性別」、「氏名」、「住所」は、本人確認情報の四情報を反映したものとなる予定であるのか、明らかにされたい。
 (2) (健康保健運営新組織について)
  @ 「最適化計画」の「別添2」「U 将来体系」の「全国健康保険協会の行う業務」中の「6 情報資産評価表」において、保有数の想定がついているものの「個人情報」の総数について、「連携情報」ごとに明らかにされたい。
  A @の「連携情報」の内、基礎年金番号を含む予定のものを、明らかにされたい。
  B @の「連携情報」の内、住民票コードを含む予定のものを、明らかにされたい。
  C @の「連携情報」の内、「被保険者情報」や「被扶養者情報」に含まれる「生年月日」、「性別」、「氏名」、「住所」は、本人確認情報の四情報を反映したものとなる予定であるのか、明らかにされたい。
 (3) (現状と将来計画の関係について)
  @ 現在、社会保険庁が保有する、社会保険事業関係の「個人情報」と、(1)(2)において明らかにした将来において保有が予想される「個人情報」との異同について、明らかにされたい。
  A 現在、基礎年金番号を含む「個人情報」が記録されたファイルの総数および主なファイルの名称を、明らかにされたい。
  B 現在、既に住民票コードを含む「個人情報」が記録されたファイルの総数および主なファイルの名称を、明らかにされたい。
2 (二〇歳到達者全員の本人確認情報の社保庁への提供について)
 社会保険庁は、二〇歳に到達することにより第一号被保険者となるものについて、既に、住基ネットから本人確認情報の提供を受け、対象者の把握を行っていると聞いている。以下の点について、明らかにされたい。
 (1) この点間違いないか。誤りがある場合は、その点を説明されたい。
 (2) 提供を受ける目的。
 (3) 提供を受ける法的根拠は、住基法第三〇条の七第三項、別表第一の七七、並びに「住民基本台帳法別表第一から別表第五までの総務省令で定める事務を定める省令」第一条第八五項第一号か。
 (4)@ 提供を受け始めたのは、平成一五年四月からか。
  A 提供を受けた回ごとに、提供を受けた本人確認情報の数。
  B 提供を受けているのは住基ネットに登録された二〇歳到達者全員分から、最新の異動事由が「死亡」もしくは「職権消除等」の者、生年月日が一意に特定できない者、性別が「不明」の者、住基ネットに不参加の団体内に住所を有する者を除いた者でよいか。
 右において、「生年月日が一意に特定できない者」や「性別が不明の者」は、住基ネットに本人確認情報が登録されているのか。
 されている場合、「生年月日」「性別」はどのように登録されているのか。
  C 提供を受ける手段はどのようなものか。
  D 福島県矢祭町、東京都杉並区、東京都国立市に住所を有する者については、何か別の手段をとっているのか。
 とっている場合、どのような手段をとっているのか。
 (5) 社会保険庁の保有する、いかなるデータベース(個人情報ファイル)と突合しているのか。
 (6)@ 社会保険庁が、全国の市町村から二〇歳に達した住民の個人情報の提供を受けることは、住基ネット稼働前から行われていたのか。
  A 行われていた場合、(ア)その提供はいかなる法的根拠に基づき行われていたのか、(イ)すべての市町村から提供を受けていたのか、それとも、一部の市町村からのみ提供を受けていたのか、(ウ)具体的にどのような手続・方法で提供を受けていたのか、(エ)提供を受けていた期間及び年度ごとの提供件数、をそれぞれ明らかにされたい。
 (7)@ 提供を受けた本人確認情報は、社会保険庁のデータベースに記録されるのか。
  A 記録される場合、いかなるデータベースに記録されるのか、および、本人確認情報六情報の内のいかなる情報が記録されるのか。
3 (住基ネットを利用した「現況届」の廃止について)
 社会保険庁は、「住基ネットを活用するにあたり、平成一八年四月から半年程度かけて順次、社会保険庁から全受給者の個人情報(氏名、性別、生年月日、住所)を住基ネットに照会し、住基ネットの情報と突合している」とのことである。
 これに関し、以下の点を明らかにされたい。
 (1) 「突合」の具体的方法。
  @ 社会保険庁から地方自治情報センターに「社会保険庁保有の全受給者の個人情報」を送付して、センターにおいて突合を行ったのか否か。その具体的方法如何。
  A 社会保険庁が保有する全受給者の数。
  B 「突合」作業は終了したのか。
 その結果(突合成功数など)はどうであったのか。
 突合が成功しなかった理由はどういうものであったか。
 (2)@ 本「突合」に要した費用は幾らであったか。
  A 受給者の内、(ア)外国籍(外国人登録)者、(イ)外国に居住している者、(ウ)加給年金額等が加算されている者、(エ)障害の程度を確認する必要がある者、および、(オ)本「突合」に成功しなかったため、今後も現況届を提出する必要のある者は、それぞれ何人程度か。
 (3)@ 「突合」が成功した受給者の本人確認情報は、社会保険庁のデータベースに記録されるのか。
  A 記録されるならば、それはいかなるデータベースであるのか。
  B 記録される本人確認情報は六情報中のどの情報か。
 (4)@ 本「突合」に失敗した受給者に関して、社会保険庁は、自己の住民票コードを同庁に通知するよう求めているか。
  A 求めている場合、受給者が回答してきた住民票コードを基に、社会保険庁のデータベース上のデータはどのように修正されるのか(元のデータベース上の住所、氏名等は修正され、旧住所、氏名等は消去されてしまうのか、住民票コードのみの追加となるのか、「本人確認情報」の住所、氏名等が追加されるのか)。
 (5) 平成一六年一〇月二二日開催の「第二回社会保険事業運営評議会」において、社会保険庁の青柳運営部長は、「これは経緯論になるのですが、そもそもこの住基ネットなり基礎年金番号導入に際し、国民総背番号みたいな形でこれを活用することに対しては国会でも大変大きなご懸念をいただきました。その意味で基礎年金番号は基礎年金番号、住基ネットは住基ネットを基本にしようというあたりの合意というか、一つのコンセンサスがあったという経緯もあります。」と説明している。
 前記基礎年金番号と住基ネットの「突合」(=データマッチング)という事態は、前記「コンセンサス」に反しないのか。
 反しないとするならば、その理由を明らかにされたい。
 (6) 同じく青柳運営部長は、前記説明に続けて、「年金を受けておられる方の確認については、実は私ども社会保険庁には住基ネット以上にもっと強い手段があります。これは介護保険の第一号被保険者の保険料徴収情報です。市町村にお住まいの六五歳以上の介護保険の被保険者については、二ヶ月に一回の支払日ごとに市町村から、この方の保険料をこうやって取ってくださいという情報をいただいています。したがって、もしそこで亡くなられた方がいると、市町村から『この人は亡くなられたので保険料を取らなくて結構です』という形の情報が来ますので、私どもとしてはむしろその方が確実に亡くなったかどうかを確認できるなということです。むしろ、それを中心に考えて仕事を組み立てています。」と説明し、宮武座長の、「それでは、現況届は介護保険の情報を使えば廃止できるのですか。」という質問に対しても、「事実上、廃止できると思っています。」と回答している。
  @ このように、実務を担当する責任者が、あえて住基ネットの本人確認情報と「突合」しなくても、現況届を事実上廃止できると述べているにもかかわらず、何故、プライバシー保障上問題の大きい前記「突合」を行おうとしているのか、その理由を、明らかにされたい。
  A その際、プライバシー保障上の問題点をどのように考慮に入れたかも、明らかにされたい。
  B 現在も、介護保険の第一号被保険者の保険料徴収情報は、市町村から情報を提供してもらっているのかどうか、明らかにされたい。
4 (端末の設置数など)
 (1)@ 現在、基礎年金番号を含む個人情報を閲覧することのできる端末は、全国で何台設置されているのか、明らかにされたい。
 また、その設置箇所の概要について、明らかにされたい。
  A 現在、住民票コードを含む個人情報を閲覧することのできる端末は、全国で何台設置されているのか、明らかにされたい。
 また、その設置箇所の概要について、明らかにされたい。
 (2)@ 「最適化計画」において、基礎年金番号を含む個人情報を閲覧することのできる端末は、全国で何台程度設置される予定か、明らかにされたい。
 また、その設置予定箇所の概要について、明らかにされたい。
  A 「最適化計画」において、住民票コードを含む個人情報を閲覧することのできる端末は、全国で何台程度設置される予定か、明らかにされたい。
 また、その設置予定箇所の概要について、明らかにされたい。
5 (「最適化計画」の内容に関して)
 (1) (年金業務について)
  @ 「最適化計画」の「2.2.1 実体関連図(ERD)」によると、年金業務の「業務系・支援系システム」では、「被保険者・受給権者」情報に、各種の情報が関連づけられ、この「被保険者・受給権者」の「主キー」として「被保険者ID」が定められている。
 この「被保険者ID」とは具体的にどのようなものが想定されているか、明らかにされたい。
 また、基礎年金番号とは別の番号を想定しているのかどうかについても、明らかにされたい。
  A 「被保険者・受給者情報」と関連づけられているデータに、「被保険者保有番号」が存し、この「被保険者保有番号」は、「被保険者が保有する他省庁・公的機関から発行された番号を管理する情報を保持する。管理すべき番号としては、住民基本台帳番号や外国人登録番号などが考えられる。また将来の制度改変に対応するために複数の種類の番号を保有できる体系とする」と説明されている(「2.2.2.1エンティティ定義表」二頁)。
  ア この「住民基本台帳番号」とは「住民票コード」と同一であるのか、明らかにされたい。
 同一でないとすれば何であるのか、説明されたい。
  イ 「将来の制度改変」として、想定している事態はどういうものか、明らかにされたい。
 また、「社会保障番号」「納税者番号」が保持される可能性も否定されないのかについて、明らかにされたい。
 (2) (健康保険業務について)
  @ 「健康保険業務システム」では、「被保険者情報」に「事業所情報」「健診情報」「給付情報」「納付情報」が関連づけられ、この「被保険者情報」の「主キー」として「都道府県番号」「被保険者証記号」「被保険者証番号」が定められているという理解でよいか。
 誤っている場合は、正しい内容を説明されたい。
  A 右@の「都道府県番号」「被保険者証記号」「被保険者証番号」について、説明されたい。
 (3) (外注化との関係について)
 「最適化」の一環として、業務の「外部委託の拡大」等が計画されているが、その内容として、前記年金や健康保険用の端末を、それらの外部委託された民間人にも使わせる予定であるのかについて、明らかにされたい。

 右質問する。



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