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平成十九年二月十六日提出
質問第七五号

二〇〇二年八月二十一日の外務事務次官室における会議に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




二〇〇二年八月二十一日の外務事務次官室における会議に関する質問主意書


一 二〇〇二年八月二十一日に竹内行夫外務事務次官室で北朝鮮問題に関する会議(以下、「会議」という。)が行われたか。行われたとするならば、その会議に出席した者の官職氏名を明らかにされたい。
二 「会議」の内容は外部に公開することを前提としたものだったか。
三 「会議」に参加した外務省職員は守秘義務を負うか。
四 「文藝春秋」二〇〇七年三月号に掲載されている、手嶋龍一氏が執筆した「小泉訪朝 破綻した欺瞞の外交」という論文において、
 「二〇〇二年の七月末、ブルネイで開かれたASEAN地域フォーラムを機に日朝交渉は表に姿を見せ始める。両国は『この地域の平和と安定に資するために、国交正常化を可能な限り早期に実現』するとした共同発表文を出し、八月中に国交正常化を協議する局長会談を設定した。この発表文のトーンは従来のものとは明らかに違っている−。条約局の担当者が海老原紳条約局長のもとに駆け込んできた。確かに日朝の交渉当事者は何か大きな仕掛けで動いている−。異変を察した海老原は、発表文を鷲づかみにしたまま、田中均をアジア大洋州局長室に訪ねて直に問い詰めた。緊張を孕んだやりとりが交わされ、田中は苦しそうに打ち明けた。
 『実はあることを進めているのだが−。条約局長の君には話さなければいけないと思っていたんだが。しかし、いまはちょっと−』
 海老原には勘づかれてしまったようだ−。こう田中から告げられた竹内外務事務次官は、谷内正太郎総合外交政策局長、藤崎一郎北米局長、海老原条約局長それに田中の四人を次官室に急遽招集した。八月二十一日のことだった。
 竹内は首相の平壌訪問が固まったことを告げた。なぜこれほど重大な案件を秘密裏に運んでいたのか−。出席者たちの瞳の奥には疑念が燃え盛っていた。
 気まずい雰囲気のなか『平壌宣言』の草稿が各局長に配布された。竹内と田中を除いて皆が初めて眼を通す文書だった。
 『秘のまま折衝を進めたのは総理の強い意向だった』
 竹内はこう弁明した。次官室はしばし重苦しい沈黙に包まれた。
 谷内が田中に質した。
 『この宣言には拉致という言葉がまったく書かれていないが、これでいいのか』
 核心を衝かれた田中は、一瞬押し黙り、短く応じている。
 『拉致問題については別途交渉していますから−』
 拉致問題をめぐる田中と谷内の永く険しい対決がこの瞬間から始まった。
 条約局長は外交文書の作成に最終責任を分かち合わなければならない。このため海老原の舌鋒は勢い鋭角的になった。
 『宣言文は「安全保障にかかわる問題について協議を行っていくこととした」と日朝安保委員会の設置を謳っている。ならば、アメリカにはきちんと知らせてあるのですね。アメリカ政府抜きに安保協議など進むはずがない』
 だが、ブッシュ政権には一切知らせていないという。
 『安保委員会を設けて議論するというが、これは順番が違うのでは−。不審船の問題もあり、やはりアメリカには知らせるべきではありませんか』
 アメリカへは近く来日するリチャード・アーミテージ国務副長官に次官から説明してもらうという。
 海老原はもう一つの疑問をぶつけた。
 『宣言には北朝鮮に過去の植民地支配に心からお詫びすると書いているが、村山談話は特定の国を相手に謝ったものではない。韓国には文書を出したが、中国の求めは拒んでいる。いまだ国交もない国に謝って問題はないのですか』
 田中は憮然として言い放った。
 『いや、それについてはすでに総理のOKをとってありますから』
 総理や官房長官とじかに取り引きし、政府部内の反対を抑えてしまう。そうした田中独特の手法は、普天間基地の移転以来繰り返されてきた。
 すべてを秘にと総理からの厳命だと念が押され、次官室協議は打ち切られた。」
との記述があることを外務省は承知しているか。
五 二〇〇二年七月もしくは八月に当時の海老原紳条約局長が田中均アジア大洋州局長を往訪し、ASEAN地域フォーラムの共同発表文を根拠に『日朝の交渉当事者は何か大きな仕掛けで動いている』のではないかと詰め寄った事実があるか。
六 「会議」において竹内行夫外務事務次官が「秘のまま折衝を進めたのは総理の強い意向だった」と述べたという事実があるか。
七 「会議」において、海老原紳条約局長が、
 「宣言文は『安全保障にかかわる問題について協議を行っていくこととした』と日朝安保委員会の設置を謳っている。ならば、アメリカにはきちんと知らせてあるのですね。アメリカ政府抜きに安保協議など進むはずがない」、
 「安保委員会を設けて議論するというが、これは順番が違うのでは−。不審船の問題もあり、やはりアメリカには知らせるべきではありませんか」、
 「宣言には北朝鮮に過去の植民地支配に心からお詫びすると書いているが、村山談話は特定の国を相手に謝ったものではない。韓国には文書を出したが、中国の求めは拒んでいる。いまだ国交もない国に謝って問題はないのですか」
と述べたという事実があるか。
八 七の発言が事実とすれば、それに対して竹内行夫外務事務次官、田中均アジア大洋州局長はどのような応答をしたか。
九 「会議」の記録が作成されたか。
十 「会議」ではどのような決定がなされたか。この決定が日本の国益にとってどのような影響を与えたと外務省は認識しているか。

 右質問する。



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