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平成十九年五月十一日提出
質問第二二一号

九州・四国等における再造林放棄地の対策に関する質問主意書

提出者  赤嶺政賢




九州・四国等における再造林放棄地の対策に関する質問主意書


 スギ、ヒノキなど針葉樹の民有地における人工林を伐採した跡地に植栽が行われない再造林放棄地が九州各県をはじめ全国に広がっている。こうした再造林放棄地の拡大は、人工林を荒廃させ、森林資源の減少、生物多様性保全・水源の涵養機能の低下、土砂崩壊等の危険性の増大が懸念される。
 人工林の再生は、森林の多様な機能の持続的な発揮と地球温暖化防止、生活環境・国土保全にとって極めて重要であり、特に再造林放棄地における早期の植生回復は喫緊の課題である。
 従って、以下の事項について質問する。

一 再造林放棄地の実態把握について
 1 本年一月、九州大学大学院農学研究院の吉田茂二郎教授らの研究グループは、九州地域の再造林放棄地の実態調査結果をまとめた。調査結果によると、一九九八年から二〇〇二年の五年間に伐採された人工林約五千ヘクタール、二千八百十二箇所のうち、再造林放棄地は千二百四十四ヘクタール、六百八十四箇所、二十五パーセントに上る。
  再造林放棄地を各県別にみると、熊本県は五百四十四ヘクタール(二百七十箇所)、宮崎県が五百三十二ヘクタール(二百九十三箇所)、大分県が百十六ヘクタール(八十六箇所)、福岡県が三十六ヘクタール(二十一箇所)、鹿児島県が十ヘクタール、長崎県が二ヘクタール、佐賀県が二ヘクタールとなっている。
  この調査結果で明らかにされた九州地域の再造林放棄地の実態について、政府はどのように考えているのか。
 2 宮崎県は、人口衛星の画像解析から五年間で二千四百六十八箇所が伐採された可能性があるとのデータを下に、国有林を除外した千九百七十七箇所の調査を実施している。この調査結果によれば、再造林放棄地は三百五十箇所存在する。また、場所や伐採の有無が不明なものが三百二十五箇所あり、同県は、これらの箇所について詳細な調査を進めると再造林放棄地はさらに増加すると予想されるとしている。
  これらの調査結果が示すように九州地域においては、現在も再造林放棄地が増大しているのではないかと考えられる。政府の見解を問う。
 3 平成十八年三月現在の農林水産省の調査によれば、民有地における人工林の伐採後三年以上経過しても更新が完了していない伐採跡地、すなわち造林未済地(再造林放棄地)は、全国で一万七千ヘクタール存在しているが、都道府県別にその面積を明らかにされたい。
 4 平成十五年三月現在の農林水産省の調査では、造林未済地(再造林放棄地)が二万五千ヘクタール存在し、平成十一年三月現在の同省の調査では、二万二千ヘクタールである。
  この際、平成十五年及び平成十一年の調査についても、それぞれ都道府県別の面積を明らかにされたい。
 5 平成十五年三月の調査では、造林未済地(再造林放棄地)は二万五千ヘクタール存在し増加傾向にあった。平成十八年三月の調査では減少傾向にあるが、その理由について伺いたい。
 6 九州地域では、大規模な造林未済地(再造林放棄地)があるが、平成十八年三月の調査では、その実態を把握しているのか。この際、再造林放棄地についての面積別の箇所数を、十ヘクタール未満、十以上五十ヘクタール未満、五十ヘクタール以上に区分して都道府県別に明らかにされたい。
  また、百ヘクタール規模以上の再造林放棄地については、その地域名を明らかにされたい。
 7 再造林放棄地の保有構造の把握は、対策構築の基礎をなすものと考える。造林未済地(再造林放棄地)となっている森林を保有する林業事業体数を保有山林規模別に明らかにされたい。
  また、それぞれの林業事業体が保有する山林面積に占める造林未済地のシェアについて、階層別(保有山林規模別)に明らかにされたい。併せて、造林未済地を保有する事業体の森林施業計画の策定状況について明らかにされたい。
 8 高知県においては、平成十五年三月現在の調査では、造林未済地(再造林放棄地)が大幅に増加しており、在村・不在村別では不在村林地が在村の二倍近くを占めているとのことである。九州地域をはじめ全国的には、再造林放棄地での不在村者保有森林の存在はどのような実態にあるのか明らかにされたい。
 9 国及び都道府県が効果的な対策を講ずる上で、再造林放棄地の正確な実態把握は不可欠である。今後とも引き続き調査し実態把握に努めるべきと考えるがどうか。
二 再造林放棄地の動向予測とその影響について
 1 林業生産活動が停滞している中で、今後、再造林放棄地の面積、賦存状況はどうなると予測しているのか。
 2 再造林放棄地の存在とその増大は、森林の有する多面的機能の発揮にどのような影響を与えると考えているのか。
三 再造林放棄地の発生原因について
 造林未済地(再造林放棄地)の発生の原因は、木材価格の低迷、経費の増加といった林業経営環境の悪化にあると言われているが、政府の見解を伺いたい。
四 再造林放棄地対策について
 1 森林・林業基本法、森林・林業基本計画に基づき、造林未済地(再造林放棄地)の解消及び発生防止に向けて、どのような見通しを持ち具体的にどのような対策を講じているのか、短期、中期、長期の対策及び構想があれば明らかにされたい。
 2 農林水産省は、平成十八年四月十八日の参議院農林水産委員会において、都道府県が「伐採跡地の適確な更新を確保するための行動計画」(平成十七−十九年度)等に従って、造林未済地(再造林放棄地)の計画的な解消、伐採・伐採後の届出制等により拡大を抑制していく旨答弁している。
  各都道府県が策定した同行動計画等による造林未済地の解消、発生防止対策の進捗状況及び効果について政府の見解を伺いたい。
  また、同行動計画は造林の目標数値を設定した上で、造林未済地の計画的解消等を進めていると考えるが、その目標に照らしてどの程度解消したのか都道府県別に明らかにされたい。
 3 三で示したような、木材価格の低迷、経費の増加といった林業経営環境をめぐる根本問題が解決されない中で、農林水産省が現在取組んでいる造林未済地(再造林放棄地)解消及び発生防止に向けた対策の実効性について、政府の見解を伺いたい。
 4 伐採跡地の植栽へのインセンティブを働かせるための林業経営者の経済的コスト負担の軽減策の他、保安林以外の森林についても植栽を義務付ける制度の導入などが必要と考えるが、政府の対処方針を伺いたい。

 右質問する。



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