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平成十九年六月五日提出
質問第三二九号

信濃川水系の東京電力発電水利権の目的外使用に関する質問主意書

提出者  保坂展人




信濃川水系の東京電力発電水利権の目的外使用に関する質問主意書


 東京電力株式会社(以下「東電」という。)は、信濃川水系の四ケ所の水力発電所(中津川第一、中津川第二、信濃川、湯沢)において、発電取水した水を導水路の途中から、計十ケ所の目的外分水(灌漑・雑用水等)を行っていたと報告している。この中の七ケ所については現在も分水は続いており、中には八十年間継続しているものもある。これら目的外の分水については、法に適った処理を怠れば、流水占用の規範が崩れ、許可行政が根底から揺らぐこととなる。

一 水利権の法的解釈について
 @ 大正時代に発生した渓流水(法外河川)使用の損失を導水路(法河川)から水利権を取得せず補償する分水に、旧河川法制定以前から存在する慣行水利権と同等の権利性は認められないが、許可行政上どのように整理するのか。
 A 発電目的での取水量は、位置エネルギーのみを利用するもので消費されないことを前提に、その取水量が許可されるが、その一部を消費される灌漑用等の目的外使用水(維持管理用水を含む)に利用していたことをどう整理するのか。
 B 河川法では目的外の水利使用を認めていないが、発電目的で許可したもののうち維持管理用水(冷却水・消火用水・融雪水など発電以外の用途)として河川管理者の裁量で認められるものはどの範疇か。
二 このうち、湯沢発電所においては、東電が平成十七年十一月三十日に水利権更新申請を提出しており、現在、国土交通省北陸地方整備局にて審査されている。東電は提出時に、目的外使用水(維持管理用水を含む)を含めず申請しており、一連の不適切事案調査聴取(平成十九年三月十四日まで)においても灌漑分水の事実を報告していない。
 @ 更新申請を受理し、審査実務を行った信濃川河川事務所は、分水の事実を知らぬまま「申請は妥当である。」として北陸地方整備局に副申したが、水利使用をチェックする仕組みに問題はないか。
 A 当該発電所は発電後の水を同一水系内に放流する通常の施設とは異なり、流域を変えて発電後放流する構造である。下流に灌漑水利権を有する利水者がある両河川において、取水した川と異なる流域に、導水の過程で、目的外の灌漑分水をしていることをどう整理するのか。
 B 更新申請の基になっている基準期間データは、経済産業省に年次報告していた流量年表であるが、この中で目的外使用水(維持管理用水を含む)はどのように処理されているか。また、更新申請の取水量、取水制限流量等の検討において問題はないのか。
 C 東電は国土交通省への年次取水量報告において、当該発電所の場合、平成十五年までは、許可の条件である水利使用規則に定めた手法と異なる、発電出力から逆算した使用量を取水量として提出しており、信濃川河川事務所はこの報告を受けていた。平成十九年二月十四日、東電は「当社水力発電所の河川法に係るデータ改ざん及び手続き不備に関する調査報告書」の中で、「出力換算の報告では上限値処理を行っていた」としている。湯沢発電所もこれに該当しているが、導水路途中からの目的外使用(維持管理用水を含む)分水量は、報告上どのように処理するのか。
三 これら目的外使用(維持管理用水を含む)を行っている発電施設について、
 @ 目的外使用水(維持管理用水を含む)の分水にかかわる施設についての管理点検はどのようにされているのか。
 A 東電は不適切事案調査聴取(平成十九年三月十四日まで)において、維持管理用水として融雪水・消火用水等の報告をしているにもかかわらず、灌漑分水の事実を隠蔽しており、報告を求められるまで明らかにしなかったが、許可受者に対する法令遵守の指導は徹底されているか。
四 同様の目的外水利使用が、他の水力発電施設においても行われていないか調査の必要はないか。

 右質問する。



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