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平成十九年六月二十八日提出
質問第四三三号

「消えた年金」問題に関する質問主意書

提出者  長妻 昭




「消えた年金」問題に関する質問主意書


 年金をはじめとする社会保障は、国家存立の基盤でもある。現在、その信頼が失われており、一刻も早く信頼を回復するためには実態解明が欠かせない。以下、真摯に実態を明らかにするよう要望する。

一 未統合五〇〇〇万件の記録に関して、保険料総額を明らかにするように昨年一二月に提出した予備的調査で求めたところ、今年二月に回答が来た。「保険料総額については、システム開発をすることによって算出可能であると考えられるが、その場合においても相当の期間及び多額の費用が必要になると思われる」というものだった。ここでいう期間と費用はどのくらいなのかお示し願いたい。保険料総額を公表する予定はあるのかもお尋ねする。また、五〇〇〇万件の推定人数をお示し願いたい。
二 政府が「年金記録問題検証委員会」あるいは「年金記録確認第三者委員会」で配布した資料「厚生年金保険の被保険者記録の記載について」がある。その中に、「仮に社会保険オンラインシステムの記録が誤っていたとしても、被保険者名簿又は被保険者原票がすべてマイクロフィルム化して保存されている」とある。これは事実か。
 また、紙に厚生年金の納付記録が記されたものは、すべてマイクロフィルム化していると考えて良いか。マイクロフィルム化しないで廃棄されているものがあるとすれば、その紙の名称と枚数をお示し願いたい。また、その記録は現在、引き継がれているのか否か、引き継がれているとすれば、どこに存在するのかも合わせてお尋ねする。
三 被害者の補償を進めるためには、納付記録が記された紙の原本とコンピューターデータとの照合・訂正が欠かせない。そのためには、手書きの紙記録がどこに何件、どのようなものがあるかの確定が欠かせない。平成一九年五月一七日事務連絡として、社会保険庁が地方社会保険事務局長宛に出した「被保険者台帳等のマイクロフィルムの保管状況等について(依頼)」という調査依頼文書がある。各三一二カ所の社会保険事務所に回答を求め、締め切りは本年五月末までとなっている。そこでお尋ねする。
 1 この文書では何を調査依頼したのか。
 2 回答はいくつの事務所から返信されたか。
 3 回答の内容を詳細にお示し願いたい。
 4 昭和六〇年九月に出された国民年金台帳の廃棄命令書がある。国民年金の手書き台帳の一部である特殊台帳は、マイクロフィルム化した後、廃棄せよという命令だった。しかし、大部分を占める特殊台帳以外のいわゆる普通台帳は、コンピューターに入力後、マイクロフィルムにも保管せずに廃棄せよとの命令がなされた。この廃棄命令が出された普通台帳のうち、「廃棄せずに残して保管している事務所が複数確認された」と社会保険業務センターは認めている。この複数の事務所名とそれぞれ何枚保管してあったのか、お示し願いたい。その紙台帳は、コンピューターに入力されていたか、否かもお示し願いたい。また、その紙台帳は、相談者の記録確認に必要な場合は、確認に供されていたかどうかもお尋ねする。
 5 これまで国会答弁で保管が確認された以外の紙記録の存在は確認されたか否か。
四 未だ存在が明らかにされていない納付記録が記された手書き紙記録及びマイクロフィルム化された紙記録も含めて、すべての紙記録(自治体保管分も含む)を、コンピューターのデータと照合して、コンピューターデータを訂正する、これが重要であると考える。この抜本対策は待った無しである。仮にこの作業を一年間で実施するとすれば、どれだけの人・モノ・カネが必要か概要をお示し願いたい。また、マイクロフィルムや紙記録の総枚数など基礎的な情報もお示し願いたい。

 1 会計検査院法二七条には「会計検査院の検査を受ける会計経理に関し左の事実があるときは、本属長官又は監督官庁その他これに準ずる責任のある者は、直ちに、その旨を会計検査院に報告しなければならない。 一 会計に関係のある犯罪が発覚したとき 二 現金、有価証券その他の財産の亡失を発見したとき」とある。これまで社会保険庁は、同条に当たる案件にもかかわらず会計検査院に報告しなかったものはあるか。あるとすれば、その内容を詳細にお示し願いたい。
 2 また、少なくとも以下三案件は、同条に基づく報告が必要にもかかわらず報告が無かったものと考えられるがいかがか。そうであるとすれば、報告しなかった理由と責任を問う。「平成一七年七月七日金銭登録機の紛失」「平成一七年七月二三日金銭登録機の紛失」「平成一七年一一月一一日切手の紛失」。
 3 社会保険庁の設立以来、年金保険料の横領、受給の横取りなど不正はいつからあったのか、古い順に時系列でその詳細をお示し願いたい。
 4 3の質問に関して、少なくとも昭和四〇年度船員保険保険料の横領にはじまり、平成九年度健康保険給付の横領、平成一〇年度国民年金保険料等二件、国民年金支給一件、厚生年金支給一件、船員保険保険給付一件の計五件、平成一一年度厚生年金支給一件、平成一三年度国民年金保険料一件、平成一七年度厚生年金保険料等一件、平成一八年度二件の不正行為があったと認識しているが、間違いないか。間違いなければ、その詳細と処分内容をお示し願いたい。
六 「職員等による事件・事故及び事務処理誤りの状況(平成一八年四月一日〜平成一九年三月三一日)」という資料は、現在、社会保険庁の庁内LANでは回覧されていると聞く。本当か。また、前年度のものは公表されており、職員による事件・事故五三件、社会保険事務所等における事務処理誤り三四〇件、社会保険業務センターにおける事務処理誤り一四件の概要が記されている。この最新の一八年度の資料を公表するおつもりはあるか。あるとすればいつ公表するおつもりか。公表しない場合は、例年公表しているのに本資料だけ公表しない理由を問う。

 1 国民年金の特例納付に関して、記録が消えた相談が多い。そこでお尋ねする。本来は特例納付は市区町村が現金を受領できないが、受領されているケースも耳にする。現在、政府は、市区町村の特例納付金の受領の有無、処理の実態の調査をしているが、いくつの自治体で現金受領が確認されたか問う。またその調査結果の全容公表は今年七月末までと聞くが本当か。
 2 過去三回実施された特例納付(申し出期間 昭和四五年七月〜昭和四七年六月=月額四五〇円、昭和四九年一月〜昭和五〇年一二月=月額九〇〇円、昭和五三年七月〜昭和五五年六月=月額四〇〇〇円)それぞれの納付総件数と納付総額をお示し願いたい。
 3 すべての特例納付の記録確認を紙台帳まで遡って(自治体保管分も含めて)確認すべきと考えるがいかがか。いつまでに実施するか。

 1 厚生年金保険脱退手当金に関して、「受け取った」「受け取っていない」というトラブルが多い。これに関して全容の調査を要請するが、いかがか。また、この制度自体の欠陥があったのか否か、どのような認識か。
 2 厚生年金保険脱退手当金の平成一四年度から平成一八年度までのそれぞれの裁定件数と裁定金額をお示し願いたい。

 1 厚生年金においては、平成七年度から平成一四年度まで「特別保険料」という、賞与から引き落とされるものの受給額には反映されない保険料があった。公的年金制度、相互扶助の精神からして、受給に反映されない保険料をとることは問題なかったのか。なぜ、平成一五年度から廃止されたのか、問題があったために廃止されたのか否か。
 2 平成七年度から平成一四年度まで、それぞれ特別保険料を払った人数と金額をお示し願いたい。

 1 社会保険庁が昨年八月から昨年一二月まで記録相談を受けた方のうち、社会保険庁にも市区町村にも紙台帳も含めて記録が全くないものの、五五人は本人が領収書などを保管していたため納付が認められた。同様なケースの今年五月末までの数字をお示し願いたい。そして、それぞれ消えていた期間・納付場所を明らかにされたい。示せない場合は、今年に入っていつまでの数字であれば示せるのか。
 2 平成一九年四月一日以降に、社会保険庁が受け付け、四月中に回答した二八五五件の照会申し出のうち、マイクロフィルム等により記録を確認したものの件数は七一件ということだが間違いないか。つまり、七一件はコンピューター上には全く記録が存在しなかったということか。原因は入力漏れや入力ミスか。また、七一件それぞれは、どこにあった紙記録で確認されたのか。また、そのうち、市区町村保管の紙記録等で確認されたのは何件か。
十一
 1 総務省に設置された「年金記録問題検証委員会」では、村瀬現社会保険庁長官、柳澤現厚生労働大臣、安倍現内閣総理大臣の責任も追及するのか。
 2 平成一八年六月一六日衆議院厚生労働委員会で、私が、村瀬長官に「裁定が済んである程度統合されているのが六十五と推定すると、六十五歳以上でちぎれたレコード、つまり宙に浮いた年金情報はどのくらいあるんですかと聞きましたら、厚生年金保険に関して千七百五十四万件もある、国民年金に関して五百八十九万件もある」と指摘した上で、「統合を促進する工夫を早急に立てるということをぜひお約束いただきたい」と質した。すると村瀬長官は「記録というものをこちらから御本人に確認していただく仕組みは、おっしゃるように大事だろうというふうに思っております」と答弁して対応を示唆したが、放置されたと言わざるを得ない。この認識していたにもかかわらず放置した不作為の責任は検証委員会で問うのかどうか。この責任を不問に付すことは許されないと考えるがいかがか。内閣としては、現時点で村瀬長官の解任は検討をしていないのか。
 3 平成一九年二月一四日衆議院予算委員会で、私が、安倍総理に「緊急事態宣言をして、社会保険庁は、被保険者と受給権者の皆様全員に納付記録を郵送して、抜けがあるかどうか緊急に点検してください」と質したところ、「ただいま御提案がありました緊急事態宣言をすべての被保険者に出す、これは年金そのものに対する不安をあおる結果になる危険性があるのではないか、私はこのように思うわけでありまして」と答弁された。
  この時点で安倍総理は事の重大性を認識されていたのか否か。また五〇〇〇万件の件はこの時点で総理に報告が上がっていたか。不安をあおるという当時の発言は取り消すのかどうか。
  また、平成一九年五月八日衆議院本会議で、私が、安倍総理に「この際、緊急に、全被保険者、受給者約一億人に、年金加入履歴を送付して、漏れがないかチェックしていただくことを強く要請します」と質したところ、「すべての被保険者、年金受給者に対して納付記録を送付し点検をお願いすることは、大部分の方の記録が真正なものであることを考えれば、非効率な面が大きいのではないかと考えます」と答弁があった。
  また、平成一九年五月二三日衆議院予算委員会で、私が「五〇〇〇万件のうち、受給者三〇〇〇万人とダブっている記録は何件あるのか、総理にお伺いします」と質したところ、「今、長妻議員からもいろいろお話がございました。やはり、国民の皆様に不安を与えてはならない、私はこのように思うわけでありまして」と答弁があった。
  すでに国会質問から一年近くたっても安倍総理は鈍感だった。これらの不作為の責任も検証委員会では問うのか。
 4 検証委員会では、五〇〇〇万件の記録は問題がないと説明に歩いた社会保険庁現部長、現課長の責任追及はするのか。
十二
 1 平成九年一月時点で付番した基礎年金番号を、当時約一億一五六万人の加入者に送付した。その際に、基礎年金番号以外に年金手帳記号番号を有する場合等に社会保険庁に申し出て頂くための返信用回答書も合わせて送付した。その返信用回答書は、受給者も含めた約一億一五六万人に送付したのか。受給者も含めて九一六万人の方から基礎年金番号以外に年金手帳記号番号を有する旨の返信があったというのは事実か。受給者からの返信は何人か。また五五歳以上の被保険者からの返信は何人か。
 2 この返信があったにもかかわらず、受給者や五五歳以上の被保険者のものは、活用せず放置していたと聞く。それは事実か。詳細を明らかにされたい。いま、その返信現物はどこに何枚保管されているのかお示し願いたい。
十三
 1 旧三公社(国鉄、電電公社、専売公社)の納付記録は平成九年四月に厚生年金に移管されたと聞く。つまり、社会保険庁に移管されたということだが、事実か。また移管された記録の全数はそれぞれいくつか。そのうち、平成九年一月の基礎年金番号付番前に、三公社を退職した方の記録はそれぞれ何件か。これらの記録の磁気データと紙台帳はすべて社会保険庁に移管され、データはコンピューターのオンライン上に存在するか。紙台帳はすべて現物が保管されているか。
 2 これらの記録のうち、基礎年金番号に未だ統合されていないものは何件あるか。
 3 これらの記録のうち、未統合五〇〇〇万件に含まれるものもあるのか否か。
十四 野党議員に対する社会保険庁の情報開示がほとんどストップした状況になっている。開示が大臣決裁になっていると聞くが本当か。内閣として、野党議員の資料要求に応じるべきと考えるがいかがか。
 また、国会議員が個人で資料要求する際にも、国政調査権そのものでないが、国政調査権を背景に資料要求していると政府は認識しているのか。
十五 市区町村のうち、国民年金の被保険者名簿(手書き納付記録)をすべて廃棄してしまったのが一九一市町村ある。この自治体名を公表願いたい。いつまでに公表する予定か。
十六 コンピューター上にも紙にも物理的にも全く記録が消えてしまった納付記録(本人の領収書しかない)はあるのか。それはこれまで何件か。
十七 政府(社会保険庁の前身、国民生活センター等も含む)が記録ミスを最初に認識したのは昭和何年か。どのような事実から認識したのか。
 質問番号を束ねて粗く不誠実な回答をするのではなく、質問番号ごとに誠実に回答を頂くことをお願いする。

 右質問する。



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