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平成十九年九月十一日提出
質問第一〇号

平成二十年度予算の四十七兆三〇〇〇億円という上限目標に関する質問主意書

提出者  滝  実




平成二十年度予算の四十七兆三〇〇〇億円という上限目標に関する質問主意書


 財務省は八月三十一日に二〇〇八年度の概算要求を締め切った。各省庁の要望を合算すると一般歳出総額は五十兆円強に上る見込みで、財務省は一般歳出について四十七兆三〇〇〇億円という上限内に収めようとしていると報じられている。このことに関して質問する。

一 四十七兆三〇〇〇億円という上限目標はどのようにして決められたのか。この数字の根拠を明らかにしていただきたい。
二 内閣府の発表によれば、日本の一人当たりの名目GDPは、一九九三年度、一九九四年度には世界一であったが、二〇〇六年度には世界十八位まで下落したとのこと。このことを図一に示した。世界十八位と言えば実に一九七一年度の水準である。一九七一年度から二十二年もかけて世界一豊かな国になった日本を、このように一気に貧乏にさせてもよいと政府はお考えか。今回の参議院選の与党大敗も、国を貧しくし、生活を苦しくした政府の政策への反発が一因であると考えるが、政府はこのような考えにどう対処しようとするのか。
三 図二は名目成長率の国際比較である。この図より日本が極端に低い成長率であることが分かる。フランスは日本の二倍以上も経済成長をしているのに、まだ低すぎるとして、積極財政で成長率を高めようとしているし、世界各国、経済成長率を高め、国を繁栄させようと努力している中、日本はこれだけ低い成長率であるにも拘わらず、最大限財政を削減して成長を低めようとしている。日本のこれだけ低い成長率をさらに低めてよいとお考えか。
四 デフレ下の日本では、予算を増やせばGDPが増大し豊かになるし、逆に予算を減らせばGDPは減り貧しくなるのは自明の理である。四十七兆三〇〇〇億円という額が今の日本にとって最良の額なのか、予算額を増やしたり減らしたりして、どのくらい日本が豊かになるか、あるいは貧しくなるかを示して頂きたい。
五 政府は、国の債務のGDP比が多いから、歳出を抑えなければならないという。しかし、無理な歳出削減に対しては、与党内からも従来の「歳出削減一本やり」では参議院選の惨敗から立ち直れないという危機感を背景に反発の声が上がっていると報じられている。例えば、公共投資を減らした場合、内閣府の試算によれば、少なくとも最初の一、二年は債務のGDP比は増加し財政悪化を招くとのことだが、誤差が大きくて試算自身が信頼できないというのが政府の見解だと理解している。そうであれば、現在の日本において、歳出削減は国を貧しくし、デフレ脱却を遅らせるのは間違いないが、財政悪化を招くか、財政健全化に貢献するかマクロモデルによる試算では結論が出ないというのが政府の見解だと思って良いか。
六 政府は歳出削減がGDPを減らし、デフレ脱却を遅らせることは熟知しているであろうが、その一方で歳出削減が財政健全化を導くかどうかは信頼できるマクロモデルによる試算で確固たる結論を得ていないようで、強引に歳出削減を続けており、それが国を貧しくし、国民を苦しめている。現在の日本において、歳出削減は本当にメリットがあるのか。その理論的根拠は何なのか。その理論に対する責任者は誰なのか。
七 八月一日、内閣府は二〇〇七年度の名目経済成長率の見通しを実質と同じ二.一%に下げると発表した。もともと二〇〇六年度にデフレ脱却をするというのは内閣の公約であり、今回の発表は二〇〇七年度もデフレ脱却ができないということであり、このように次々と経済見通しの下方修正を続けることに何の反省もないのか。
八 国民を苦しめている一つが社会保険料の値上げであり、これは増税と同様な意味を持っている。国の試算によれば、厚生年金積立金は二〇一五年頃まで減少を続けるとなっていて保険料の値上げをしなければ年金財政が危なくなるとしている。しかし、実際は平成十四年が一四一兆円、十五年が一四五兆円、十六年が一四七兆円、十七年が一五〇兆円というように、厚生年金積立金は増え続けている。ということは試算に誤りがあったということであり、適正な試算をしていたら、このように保険料の値上げは必要がないとの結論が出たところだ。つまり保険料の取りすぎということである。
 マクロ経済スライドなどと称し、一〇〇年安心できる年金財政などと言っている。しかし、定率減税廃止で三.三兆円もの増税をしたのに加え、計算ミスが原因で不必要に高い保険料を取り、国民を苦しめ、経済を停滞させ、日本を貧乏にしてしまったら、一〇〇年後を目指して巨額の年金積立金をため込むことにどのような意味があるのか。

 右質問する。


図一


図二


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