衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十九年十月十一日提出
質問第一一〇号

警察職員の不祥事に関する再質問主意書

提出者  鉢呂吉雄




警察職員の不祥事に関する再質問主意書


 平成十九年九月二十五日受領の答弁第二一号について、政府に再度質問する。なお、国会法第七十五条の第二項に規定する通り、再質問主意書受領の日から七日以内に答弁されたい。また、同様の文言が並ぶ場合であっても、項目ごとに平易な文書で答弁されたい。

一 一の(1)の答弁について
 報道によると、昨年十一月に群馬県太田市で起きた埼玉県警加須警察署地域課巡査長による郵便局強盗事件の際、当時の漆間巌警察庁長官が定例記者会見で、再発防止策として「全国の警察官への家庭訪問をできるだけ早期にやらせたい」と述べたとされている。
 (1) 身上監督の方法として、家庭訪問も行われるのか、答弁願いたい。
 (2) 漆間前警察庁長官の指示により、全国の警察では警察官への家庭訪問は行われたのか、その実施状況を答弁願いたい。
 (3) 漆間前警察庁長官の指示により、警視庁は「当該職員」(答弁第二一号で示された巡査長を指す)に対して家庭訪問を行ったのか、行われたとするならば、その実施日時、回数などを具体的に答弁願いたい。
二 一の(2)の答弁について
 (1) 身上監督は、個人のプライバシーとの兼ね合いから、法的な根拠が必要と考えるが、その法的な根拠を答弁願いたい。
 (2) 指揮監督上必要な人事管理の一環として行われるとしても、個人の私生活に無制限に立ち入ることには問題があると考えられる。具体的に許容される範囲及び限度について答弁願いたい。
三 一の(3)の答弁について
 (1) 「適正な人事管理に必要な範囲」とは何か、具体的に答弁願いたい。
 (2) 警察官への家庭訪問は、「適正な人事管理に必要な範囲」に含まれるのか、答弁願いたい。
四 一の(4)の答弁について
 (1) 「当該職員」に対する定期及び随時の面接等を行ったとあるが、その日時、回数、面接内容等について具体的に答弁願いたい。
 (2) 「警視庁職員人事記録等」とあるが、文書名を具体的に答弁願いたい。
五 一の(5)ないし(8)の答弁について
 (1) 「当該職員の元上司」とあるが、この「元上司」は現在においても警察官の職にあるのか、答弁願いたい。警察官の職を辞しているとするならば、その理由について答弁願いたい。
 (2) この「元上司」が現在においても警察官の職にあるならば、職名、階級、現階級への昇任年月日、年齢について答弁願いたい。
 (3) 「当該元上司は、そのことを当該職員の上司に伝えなかった」とあるが、伝えなかった理由について答弁願いたい。また「当該職員の上司」の職名、階級について答弁願いたい。
 (4) 「当該職員の元上司」の勤務成績及び勤務評定のランク(A、B、C、D、E等)について答弁願いたい。
 (5) 「当該職員の元上司」に対する立川警察署地域課長等の上司の日常の指導・監督状況について答弁願いたい。
 (6) 当該職員の相談に対する「当該職員の元上司」の応対、指導、助言等はいずれも不十分だったと認められるが、幹部としては能力、適格性を欠いているのではないか、これらについて答弁願いたい。
六 二の(1)及び(2)の答弁について
 (1) 立川警察署の交番・駐在所の数を答弁願いたい。
 (2) 立川警察署の交番・駐在所に勤務している警察官について、その人数を階級別に答弁願いたい。
 (3) 交番・駐在所勤務の警察官は、交代制で勤務していると考えるが、その概要について答弁願いたい。
 (4) 交番・駐在所勤務の警察官を指導・監督する幹部警察官について、その人数を階級別に答弁願いたい。
 (5) 立川警察署長は問題の富士見台交番を含めて、交番を巡回した事実はあるのか。その日時、回数、指導内容について答弁願いたい。
 (6) 事件当日、「当該職員の元上司」以外の交番を監督する立場の幹部警察官が富士見台交番を巡回した事実はあるのか。その幹部警察官の職名、階級、巡回の日時、指導内容について答弁願いたい。
七 二の(3)の答弁について
 (1) 警視庁の勤務成績の評定のランク(A、B、C、D、E等)付けは、どのような根拠・判断に基づいて行われるのか。その内容について答弁願いたい。
 (2) 「当該職員」の過去三年間の評定ランクについて答弁願いたい。
 (3) 各都道府県警察には、素行に問題のある職員や勤務成績が不振な職員を「問題職員」あるいは「要指導職員」として指定し、特別の管理・監督を行う制度があるとされる。警視庁を含め都道府県警察には、そうした制度はあるのか。あるとするならば、制度の内容について詳しく答弁願いたい。
 (4) 警視庁は「当該職員」をそうした「問題職員」等に指定していたのか。指定していたとすれば、指定の時期、具体的な指導内容について答弁願いたい。
八 二の(3)ないし(5)の答弁について
 (1) 答弁によると、当該職員は他の職員に比べて勤務成績の評定が低かったとしているが、警察署長をはじめ地域課長等、管理的立場にあった幹部は「当該職員」に対して、勤務実績を向上させるため、どのような指導を行っていたのか、具体的に答弁願いたい。
 (2) 警視庁では、警察署、交番ごとに年間の犯罪検挙件数等の目標を設定しているのか、答弁願いたい。
 (3) 警視庁及び道府県警察の「犯罪検挙件数等の目標」、例えば、職務質問件数、刑法犯検挙件数、交通法令違反の摘発件数、各種情報報告件数等、具体的な内容について答弁願いたい。
 (4) 「当該職員」が勤務していた富士見台交番及び「当該職員」に示されていた「犯罪検挙件数等の目標」の具体的な内容及びその数値について答弁願いたい。
 (5) 地域警察官による犯罪検挙について、平成十五年から平成十九年までの、凶悪犯、粗暴犯、窃盗犯、知能犯、その他の刑法犯、特別法犯別に、その件数及びそれぞれについて地域警察官一人あたりの件数を答弁願いたい。
 (6) 平成十六年六月、兵庫県警地域部自動車警ら隊の隊員らが、検挙実績を上げるために、自転車盗などの処理の過程で捜査書類を偽造した不祥事が発覚している。地域警察官が検挙した自転車盗及び自転車等の占有離脱物横領事件について、平成十五年から平成十九年までの検挙件数及び地域警察官の一人あたりの件数を答弁願いたい。
 (7) 地域警察官が検挙した自転車盗及び自転車等の占有離脱物横領事件の処理を通常送致、簡易送致、不送致に区分して答弁願いたい。
九 二の(6)の答弁について
 巡査長制度の目的からみて、「当該職員」は巡査長としての適格性を欠いていると認められる。そのほか、埼玉県警の郵便局強盗等、巡査長の不祥事が多発している。
 (1) 巡査長は、勤務成績が優秀で、かつ、実務経験が豊富な巡査であって、勤務年数が六年(大学卒は二年、短期大学卒は四年)に達しており、かつ、指導力を有するものから選ばれることになっているが、最近では勤務年数に達すれば、巡査長に昇格させているとの指摘がある。巡査長制度の運用の実態について調査・検証する必要はないか、答弁願いたい。
 (2) 巡査長制度の見直しを行う必要性はないか、答弁願いたい。
十 二の(7)ないし(9)の答弁について
 (1) 報道によると、「当該職員」と同じ交番で勤務していた警察官が、「当該職員」が所在不明になってから八時間後に立川警察署の当直に報告したという。また、この警察官は警視庁の調べに対して「『当該職員』がパトロールに出て何時間も戻らないことがあった」と説明したとある。警視庁は、この警察官から、当該職員の規律違反について直ちに報告しなかった理由を確認したのか。確認したのならば、その内容を答弁願いたい。確認していないならば、その理由を答弁願いたい。
 (2) 答弁によると「当該職員」は、勤務成績が不振であり、警視庁が定める勤務成績、実務経験等の巡査部長への昇任要件を満たしていなかったとある。巡査長とはいいながら、そうした「当該職員」を経験が十分でない警察官と富士見台交番で勤務させたのは、適切さを欠いた人事配置ではなかったか、答弁願いたい。
 (3) 加えて、「当該職員」を直接監督する立場にあった「当該職員の元上司」が、上司としての役割を全く果たしていない。「当該職員の元上司」だけではなく、警部補の階級にある幹部警察官全体の能力、資質等が低下しているのではないかと考えられるが、答弁願いたい。
 (4) 警部補の能力、資質の低下が、警察の現場に及ぼす影響は極めて大きいものがある。平成三年の幹部警察官の階級比率の見直し以来、警部補の階級にある警察官の比率は倍増している。こうしたことが、警部補の階級にある警察官の能力、資質の低下に繋がった可能性があると考えられる。警部補の階級にある幹部警察官の能力、資質の向上のための具体策について答弁願いたい。
 (5) 警察では、地域課の幹部には、刑事、公安などの専務警察の幹部に比べて能力、資質などが低い幹部、あるいは、高齢の幹部を配置する傾向にあるとの指摘がある。立川警察署地域課の幹部の人事配置にはそうした傾向はないのか。また、立川警察署の地域課幹部の人事配置に問題点はなかったと認識しているのか、所感を答弁願いたい。
十一 三の(1)の答弁について
 指摘した事案に関し、警視総監及び警視庁立川警察署長以外の幹部職員の処分内容について答弁願いたい。
十二 五の(1)の答弁について
 (1) 答弁によると、監察の指示の数は平成十六年の二件となっているが、この内容について答弁願いたい。
 (2) 今回の警視庁立川警察署の巡査長によるストーカー殺人事件の発生にともない、東京都公安委員会は監察の指示を行ったのか、行う予定はあるのか、答弁願いたい。行ったとするならば、どのような監察指示を行ったのか。今後、行うとするならば、どのような監察指示を行うのか、答弁願いたい。行っていない、もしくは行わないとするならば、その理由について答弁願いたい。
十三 五の(3)の答弁について
 (1) 答弁によると、苦情の受理件数は年々増加している。その要因について答弁願いたい。
 (2) 都道府県公安委員会は、苦情の処理にあたって、申立人に面接し直接事情を聞くわけでもなく、警察に調査を全面的に任せている、これでは苦情に対する客観的な判断は期待できないとの指摘がある。苦情処理のあり方を見直す必要があるのではないか、所感を答弁願いたい。
十四 五の(4)の答弁について
 (1) 公安委員を、「現に社会の第一線で活躍している人材」に限定している理由について答弁願いたい。
 (2) 高齢社会にあっては、第一線を退いても幅広い視野と高い見識のある人材は多く存在する。そうした人材から公安委員を選任することで、公安委員の常勤化は可能と考えるが、これらに関する所感を答弁願いたい。
十五 五の(5)について
 (1) 都道府県知事が公安委員を任命する過程では、都道府県警察が知事に対して、具体的な人名を示して公安委員に推薦する実態がある。警察庁及び国家公安委員会は、そのような状況について承知しているか、答弁願いたい。また、国家公安委員の任命については、どのような過程で決定されるのか答弁願いたい。その際、国家公安委員の任命に関して、警察庁から具体的な人名をもって、いわゆる推薦という行為が、これまであったのかどうか、答弁願いたい。
 (2) 都道府県警察を管理する上部組織として位置づけられている公安委員会の委員人事に、警察組織が関与することは極めて公平性を欠くなど、問題が多いと指摘できる。こうした実態を調査・把握した上で警察庁は、各都道府県警察に対して、公安委員の任命の過程において、警察組織が関与しないようにとの指示・通達をすべきと考えるが、答弁願いたい。
十六 五の(6)の答弁について
 (1) 都道府県公安委員会の任務は都道府県警察を管理することにある。そのためには、都道府県警察からの独立性は不可欠である。迅速円滑な意思疎通や事務の重複を理由とする事務局の分離独立の否定は、むしろ公安委員会の存在理由の形骸化に繋がり、論拠に乏しいと考えるが、これらに関する所感を答弁願いたい。
 (2) 公安委員は知事が任命前五年間に警察又は検察の職務を行う職業的公務員の前歴のないもののうちから任命することになっている。その趣旨からして、警察業務に精通した警察職員が補佐することは、かえって、一般国民の立場を離れた偏った判断を公安委員に与えるおそれがある。また、仮に、警察業務に関する知識が必要であるとしても、警察職員以外の職員に対する研修等により、警察業務に関する一定程度の知識の習得は可能である。都道府県公安委員会の事務局の体制を強化し、都道府県警察から分離独立しない限り、都道府県公安委員会の厳正・公平な立場での警察の管理は不可能と考えるが、これらに関する所感を答弁願いたい。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.