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平成十九年十月十九日提出
質問第一三五号

国立大学法人・名古屋工業大学二部(夜間部)における大幅な定員削減問題に関する再質問主意書

提出者  佐々木憲昭




国立大学法人・名古屋工業大学二部(夜間部)における大幅な定員削減問題に関する再質問主意書


 平成十九年十月十六日受領の答弁書第九五号について、政府に再度質問する。

一 政府は、先の答弁書において「勤労学生を含む社会人の高等教育を受ける機会を充実することは、現在においても、重要である」との見解を示した。さらに、「文部科学省としては、雇用形態に関係なく、勤労青年を含めた幅広い年齢層の人々に多様で柔軟な学習機会を提供していくことが重要であると考えている」とも述べている。
 ここでいう「雇用形態に関係なく」とは、「正社員」に限定せず「非正規」で働く勤労青年をも対象としていることと理解して相違ないか。
二 先の質問主意書(平成十九年十月五日提出)において、「(名古屋工業大学当局が)『勤労学生』とみなす対象を『正社員』だけに限定することは妥当といえるか。『妥当』とするならその根拠は何か、明らかにされたい」と質した。しかし、政府はこの質問には答えず、むしろ、「どのような者を対象にどのような学習機会を提供すべきかについては、高等教育に対する様々な需要を総合的に勘案して、各大学が自主的・自律的に判断した結果を尊重すべきもの」とし、「大学の自主性・自律性」を理由に「正社員だけに限定することが妥当であるか否か」についての答弁を回避している。
 改めて問う。
 @ 名工大当局が、二部縮小の根拠としているのが「勤労学生が八人(六%)と大幅に減少している」ことであり、ここでいう「勤労学生」とは「正規の職員・社員」のことである。先の答弁書にもあるように政府が、「雇用形態に関係なく」広く社会人に教育の門戸を開くことの重要性を今日も認めているなら、名工大当局が、根拠としている正社員のみを勤労学生とみなす考え方は、政府の立場と相容れないと考える。政府の見解を示されたい。
 A 答弁書によると「高等教育に対する様々な需要を総合的に勘案」した結果、「各大学が自主的・自律的に判断した」とされる内容は、「尊重する」と強調している。名工大二部においては、いかなる実態をふまえて「総合的に勘案」したのか、明らかにされたい。
  その際、少なくとも正規雇用で働く学生の割合、非正規雇用の割合、その他、働いていない学生の割合等を明らかにされたい。
 B 名工大当局が、二部縮小の根拠のもう一つの理由としているのが、「二部生の奨学金申請が少ない」「経済的に困難な学生は少ない」ということである。中日新聞(〇七年七月四日付)でも、「第二部の学生で、奨学金を申請する学生の割合は第一部よりも少なく、経済的な理由で第二部を志望している学生も少ない」と大学当局の見解を明らかにしている。
  名工大二部の学費は、国立大学昼間部の半額の年間二十六万七千九百円であり、「日本一学費が安い」と学生たちに歓迎されている。私が、二部の学生たちから話を聞いた際、相次いで出されたのが、「家庭の事情で昼間部に行けなくて夜間部を選んだ」という声である。
  名工大当局が二部縮小を「総合的に勘案」したうえでの結果だとするならば、「経済的に困難な学生は少ない」という根拠を示されたい。併せて「家庭の事情などを含め、経済的事情で二部に進学した」学生は何割になるか、答弁を求める。
 C 「二部生の奨学金申請が少ない」というが、低所得層の人たちにとっては実質上返済が必要な奨学金の利用に消極的となる調査もあり、現に、私どもが二部の学生たちと懇談を行った際、「奨学金は借金なので、昼間働いて学費を払えるのであれば極力借りたくない」という声が多く出されている。加えて、名工大二部は学費が安く、フルタイムに近い就労も可能であることから、奨学金を借りずに(ローンを組まずに)何とかしのいでいける事情もある。実際、学生自治会のアンケートでは、三四%の学生が、自らの努力で授業料の全額を払っており、そのうち七七%の人が、「名工大二部以外では授業料を払えない」と回答している。
  政府は、名工大当局が、このような二部学生の実態を把握したうえで、二部縮小に踏み出していると承知しているのか、答弁を求める。
三 十月五日提出の質問主意書において「(二部の)廃止を指向することはもちろん、二部の定数を七分の一にまで削減する現計画」も、名工大二部の存在意義を大きく変容させるものであることを指摘し、政府の見解を求めた。しかしながら、政府は明確な答弁を避けており、逆に「二部の入学定員を縮減する一方で…大学院における社会人の受入れの拡充等を図る」名工大当局の方針を尊重する立場をとっている。
 以下、改めて質問する。
 @ 質問主意書は、名工大二部の大幅縮小問題について質しているものであり、大学院の今後のあり方については、一言も触れていない。しかしながら、答弁書では、二度にわたって名工大当局の「大学院における社会人の受入れを拡充する方針」について言及している。それはなぜか。二部の大幅縮小と大学院の充実はどのような関係があると考えているか。見解を求める。
 A 高校を卒業し、何らかの事情で大学昼間部に進めなかった青年が、働きながら大学教育を受けたいと二部に進学するのが一般的なケースである。その二部の受入れ枠を極端に狭めることは、「勤労学生を含む社会人の高等教育を受ける機会を充実することは、現在においても、重要である」(平成十九年十月十六日付答弁書)とする政府自身の見解と大きく異なり、矛盾するものである。この矛盾をどう説明するのか。
 B 名工大当局は学生への説明会で「(過去には)企業の理解が十分にあって就学の保障があったんですけども、そういう支援を考えている企業がどんどんどんどん少なくなってきている」(十月十日の説明会での学長の発言)ことを、今回の縮小の根拠の一つとしている。しかし、こうした企業の姿勢は、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」や「労働基準法施行規則」の精神に逆行しており、法令の精神に則って事業主の姿勢こそあらためられるべきであり、二部の縮小の根拠にはなり得ないと考える。政府の見解を示されたい。
 C 社会人教育の重要性を認める政府の基本的見解と、名工大当局の考え方が大きく異なっているにも関わらず、「大学の自主的・自律的判断」の結果を尊重するのはなぜか。国立大学が独立行政法人化されたもとでは、政府の基本的見解と異なることを行っても、「大学の自主的・自律的判断」として尊重するのか。具体的でわかりやすい答弁を求める。
四 今日、全国の国立大学工学部系において、二部・夜間部が存在するのは、室蘭工大、山形大、茨城大、群馬大、千葉大、電気通信大、名古屋工大、京都工芸繊維大、徳島大、琉球大、前橋工科大の十一大学、募集人員は合計七百二十人と承知している。これに相違ないか。変更があればその大学名、直近の募集人員ならびに来年度の募集予定人員を当該の大学ごとに明らかにされたい。
 加えて、これらの大学で、今後、二部・夜間部縮小の計画があるか、明らかにされたい。
五 前項でかかげた各地の大学で、名工大のように大幅な定員削減を進めることになると、二部の存在そのものが危ぶまれることになる。それは、大学夜間部について「勤労青年に対し高等教育を受ける機会を拡大する等の観点から、…夜間部の充実に意を用いてきており、今後とも十分配慮してまいりたい」(平成元年六月二十三日、日本共産党佐藤昭夫参議院議員=当時=の質問主意書に対する答弁書)と、政府も表明している「社会人教育の重要性」そのものが否定されることとなる。これは、大学二部の存在意義を根本から変容させるものといわざるをえないが、政府はどのように考えるか。見解を求める。
六 答弁書「三の(一)」定数削減計画の立案、実行に関わる手続きの問題について
 @ 二部縮減計画を七月三日に公表する前に、学生や教職員等の大学関係者の間で意見を求める機会はあったか。機会がなければなぜ設けなかったか。答弁を求める。
 A 学生に対する説明会は、七月二十五日が最初であるが、その理由はなぜか。また、七月二十五日、十月二日、十月十日の各説明会への参加人数、今後の説明会等の計画を明らかにされたい。
 B 平成十五年六月五日、参議院文教科学委員会の質疑で、与党である公明党議員が次のように質している。「法人化によって大学側が学部だとか学科とか、そうしたものをいろいろ裁量で変えていけると。急に大学生が目指していた学科がぱっとなくなっちゃうということもあるのかなと。……受験生が振り回されることとならないように何らかの配慮が必要だと思うんですが、文科省としてはどういうことをお考えになっていらっしゃいますでしょうか」
  これに対し、河村建夫・文部科学副大臣(当時)は、「……十二月下旬の政府予算原案成立後の募集要項の発表など、予算の流れを踏まえてこれまで実施していたところでございますけれども、これを法人化後におきましては、それぞれこれまで以上に早期に対応することが可能にするということにいたしまして、予算ができなきゃできないよというようなことじゃなくて、やっぱり学生の方を向いて、早く事前にそういう方向をPRする、知らせるということをまず考えなきゃいかぬというふうにしておるわけでございます」と述べ、そのうえで「なお、教育研究組織の見直しについては、各大学の個別な事情だけじゃなくて、学生を始め社会や地域のニーズを踏まえて、各大学がやっぱり創意工夫を生かしながら責任ある対応を取ってもらいたいと考えておりますから、委員の御指摘のように、いわゆる大学に入ろうとする人たちの期待に反するようなことにならないように最大の注意を払って大学運営をやってもらうということを期待をいたしておるわけであります」と答弁している。
  そこで質問する。
  答弁では、法人化によって各大学の裁量が拡大するだけに、これまで以上に学生の方を向いて事前に早く知らせる、これから大学に入ろうとする人たちの期待に反してはいけない、個別の大学の事情だけでなく学生を始め社会や地域のニーズを踏まえて、大学が責任ある対応をとらなければならない、ということが強調されている。この趣旨に鑑みて、名工大当局の進めている大幅な二部縮小計画は、学生だけでなく高校関係者、地域・社会の関係者などへの必要な説明と理解の促進その他、実行の手法において十分なものだと考えるか。あるいは、検討を要するものであると考えるか。明確な見解を求める。

 右質問する。



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