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平成十九年十月十九日提出
質問第一三八号

富山県における冤罪判決に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




富山県における冤罪判決に関する再質問主意書


 「前回答弁書」(内閣衆質一六八第一一一号)を踏まえ、再質問する。

一 強姦などの疑いで富山県警に誤認逮捕され、二年あまり服役した柳原浩氏の再審判決公判が二〇〇七年十月十一日、富山地裁高岡支部で行われ、藤田敏裁判長は柳原氏に無罪を言い渡し、柳原氏の無罪が確定した事件(以下、「富山事件」という。)につき、柳原氏の捜査を担当していた責任者の官職氏名を問うたところ、「個別具体的な事件の捜査を担当する検察官の官職氏名については、今後の捜査活動に支障をもたらすおそれがあり、答弁を差し控えたい。」との答弁がなされているが、「富山事件」は司直による審査が既に終了しており、また新聞等による報道で事件自体広く国民に知れわたっている。「富山事件」を担当した責任者の官職氏名を明らかにすることで今後の捜査活動に支障がもたらされるとは考えにくいところ、「富山事件」を担当した責任者の官職氏名を明らかにされるよう、再度求める。
二 「前回答弁書」では、冤罪の定義について「お尋ねの『冤罪』については、法令上の用語ではなく、様々な意味で用いられることがあるものと承知しており、お尋ねについて一概に答弁することは困難である。」との答弁がなされているが、例えば二〇〇七年五月十一日の衆議院法務委員会において、長勢前法務大臣は「冤罪という言葉は、いろいろな意味で使われるのかもしれませんが、有罪になった方が実は無罪であったというケースが一般的に冤罪と言われているのではないかと思います。」と答弁している。右長勢前法務大臣の答弁に対する政府の見解如何。
三 前回質問主意書で、柳原氏を起訴する決定を下した経緯及び「富山事件」が起きた原因につき問うたところ、「前回答弁書」では、「富山地方検察庁高岡支部においては、捜査の結果、『富山事件』において被告人とされた方が未遂事件及び既遂事件について自白していたことや両事件の被害者らの供述に基づいて作成された似顔絵と似ていたこと等の証拠を総合的に評価し、同氏を両事件につき起訴したものと承知している。」「『富山事件』において被告人とされた方については、未遂事件及び既遂事件の両被害者の供述に基づいて作成された似顔絵と似ていたことから犯人ではないかとの疑いが生じ、両被害者がいわゆる写真面割において同氏の写真を犯人として選んだことや同氏が自白したこと等から、両事件について逮捕・起訴され、富山地方裁判所高岡支部において、同氏が公判廷で両事件の公訴事実を認める旨の供述をしたことを含め、公判廷で取り調べられた証拠に基づき、両事件につき有罪であると認定されて懲役三年に処する旨の判決が言い渡され、同判決に対する控訴がされないまま控訴期間が経過し同判決が確定したことから、同氏に対して刑の執行がなされ、同氏が服役するに至ったものと承知している。」との答弁がなされているが、では無罪であった柳原氏が犯行を認めるウソの自白をさせられるに至るまで、富山地検によりどのような取り調べが行われたのか、取り調べの様態、総時間、取り調べた検事の人数につき、詳細に明らかにされたい。
四 二〇〇七年一月二十六日付読売新聞夕刊一面の記事(以下、「読売記事」という。)には、柳原氏が受けた取り調べの様子が詳細に書かれている。「読売記事」には、「『身内の者が間違いないと言っている』と何度も告げられ、やっていないと言っても信用されるわけがないと思った。言われるままに認めざるを得ない状況だった」「『うん』か『はい』以外に言うな。『いいえ』という言葉を使うなと言われた」と、当時の取り調べの様子についての柳原氏のコメントが載っているが、「富山事件」に関して、柳原氏の取り調べで検察官が右のような言葉を発したという事実はあるか。「富山事件」に関し、柳原氏がウソの自白をするに至ったのは、三の富山地検による取り調べが極めて非人間的なもので、柳原氏を精神的に追いつめたことが原因ではないのか。
五 「前回答弁書」で、「『富山事件』の捜査について、最高検察庁が調査・検討したところによれば、検察官において、客観的な証拠の吟味が十分ではなかったほか、自白の信用性について慎重に検討する姿勢が足りなかったなどとされているものと承知している。」との答弁がなされ、検察官の過失を政府が認めておきながら、一方では「『富山事件』において被告人とされた方の取調べを担当した検察官については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第一項に規定する懲戒処分に該当する事由はなかったと認められる上、御指摘の『富山事件』については、最高検察庁においてその捜査・公判活動について調査・検討し、組織として再発防止策を講じることとしており、同検察官及びその監督者について処分をするなどの必要はないものと考えている。」と、「富山事件」に関わった検察官及びその監督者を処分する必要はないとの答弁がなされている。しかし、柳原氏に対する富山地検の取り調べは、四にあるように柳原氏を心理的に追い込む極めて非人間的なものであり、国家公務員法第八十二条第一項で規定する「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」に該当するのではないか。政府の見解如何。
六 「前回答弁書」では、「富山事件」について「最高検察庁においてその捜査・公判活動について調査・検討」するとの答弁がなされているが、最高検察庁での「富山事件」の捜査・公判活動に関する調査・検討の進捗状況を明らかにされたい。
七 「前回答弁書」では、「富山事件」について「組織として再発防止策を講じる」との答弁がなされているが、具体的にどのような再発防止策を講じているのか。本年一月二十六日の閣議後記者会見で、「富山事件」について当時の長勢法相が「捜査に若干、不十分な点があった。証拠に基づいた捜査を徹底するよう指示する」と述べていると承知するが、その当時、長勢法相からはどのような指示が下されているか明らかにされたい。
八 「富山事件」に関わった検察官及びその監督者を処分せずに、「富山事件」のような事件の再発を防ぐことはできると政府は考えているか。取り調べを録画・録音するなどの方法により、取り調べの可視化を図るなど具体的な策を講じる必要があると考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



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