質問本文情報
平成十九年十一月二十日提出質問第二四七号
改正入管法と外国人の「指紋情報強制採取」に関する質問主意書
提出者 保坂展人
改正入管法と外国人の「指紋情報強制採取」に関する質問主意書
十一月二十日から施行された改正入管法によって、日本を訪問する十六歳以上の外国人の入国審査時に「顔写真撮影・指紋採取」が行われることになった。入国時に「生体情報」(バイオメトリクス)の提供を義務付けている国は、米国以外にないと聞いている。昨年の衆議院法務委員会における法案審議にあたって、米国の「US−VISIT」を運営するアクセンチュア社が日本版「US−VISIT」の装置開発・ソフト開発・実証実験などを「十万円」で受注しており、「低価格入札調査の概要」(法務省大臣官房会計課)として、あまりにも低価格の入札の経緯が公表された。年間、八百万人の外国人訪問者を受け入れる日本で、実施された今、いくつか懸念される問題点を緊急に質問する。国会法の規定通りの期日内に答弁されたい。
「個人識別情報を提供しない者については、慎重な、かつ毅然とした対応が求められます」と呼びかけているが、具体的な措置についての記述で懸念を感じる。まず、法の施行のわずか二週間前となって、通達ではなく課長通知で重大な人権侵害のおそれもある内容を伝達した事情と意図を伺いたい。
二 入国審査時に指紋情報提供を拒否した特別永住者を除く外国人で、この提供を拒んだ者に対して、通知はどのような手続きを示しているか。
三 入国審査官から退去命令を受けて、退去強制手続の対象となる外国人について、収容時に「両手十本」の指紋を強制採取すると通知に書かれているが、「改正入管法」の衆参両院の国会審議において法務省の答弁の中に、こうした措置を明言した答弁はあったか。
四 思想・信条や宗教上の理由から指紋採取を拒否する外国人が、結果として強制出国させられるのに、指紋採取を強要されることになる。また、退去強制手続が開始されてから「拒否」を改めて指紋採取に応じても入国出来ないというのは、国際人道上問題ではないか。
五 日本に住居や家族を持つ外国人永住者は、本人及び日本人の配偶者などが思想・信条や宗教上の理由から指紋採取を拒否した際に、戻るべき国がないのに退去強制の対象になる。こうした場合、どの国に退去させるのか。法務大臣による特別在留許可を発出する等の柔軟な対応を検討出来ないのか。
六 強制的に指紋を採取する際に、首席入国警備官の指揮の下で複数の入国警備官の手により執行するとしているが、対象となる外国人が抵抗する場合は困難を極めるものと予想される。強制採取の場合にも、電子的な読み取り装置で十本の指の指紋を採取し、データベースに送り込むのか。また、犯罪捜査や米国等同様のシステムを持つ国々とのデータ提供・照合なども予定しているのか。
七 「強制指紋採取」をビデオ撮影する理由は何か。また、外国人が指などを骨折する等の怪我をした場合に、本人並びに代理人から請求があればこの映像は提供されるのか。
八 警備課長通知二七一号が明らかにした指紋採取拒否者の「強制指紋採取」の法的根拠となる改正入管法の条文を示されたい。
右質問する。