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平成十九年十一月二十二日提出
質問第二六四号

生活保護基準の認定に関する質問主意書

提出者  山井和則




生活保護基準の認定に関する質問主意書


 生活保護について、これまで二回質問し、平成十九年十月二日付内閣衆質一六八第二七号の答弁書(以下、「第一回答弁書」という。)及び平成十九年十一月六日付内閣衆質一六八第一六五号の答弁書(以下「第二回答弁書」という。)を受領したが、答弁内容について疑義があるので、以下のとおり質問する。

一 第一回答弁書において、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六(平成十八年七月七日閣議決定)」(以下「骨太の方針二〇〇六」という。)に基づき、生活扶助基準の見直しを検討しているとの答弁があったとおり、現在行われている「生活扶助基準に関する検討会」(以下「検討会」という。)の基本的考え方は骨太の方針二〇〇六で掲げられた方針を速やかに実行するというものであると理解して間違いないか。
二 政府は、高齢者医療の分野においては、来年度予算編成において、平成十八年の医療制度改革による負担増の大部分を凍結する方針であると聞く。これは、高齢者の生活の実態を考慮して、骨太の方針二〇〇六の「現役世代の負担が過度のものとならないようにしていくためには、更なる改革が不可避」との方針の実施を延期するものであると理解するが、間違いないか。それともこの理解は間違いで、高齢者負担増凍結は現役世代の負担を軽減するための更なる改革なのか。
三 厚生労働省は、「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針(平成十九年厚生労働省告示第二八九号)」において、人材確保の方策として、適切な給与水準と介護報酬の必要性を指摘し、待遇の改善の必要性を述べている。これは、介護現場の実態を考慮して、骨太の方針二〇〇六の「保険料負担が過度のものとならないよう、…介護報酬の在り方についての見直しなど必要な改革に取り組む。」との介護報酬を切り下げていく方針とは逆の方向性を指し示していると理解するが、間違いないか。それともこの理解は間違いで、厚生労働省は、人材確保のためには、介護報酬切り下げの方向で適正化するべきであると考えているのか。
四 与党連立政権合意には、「障害者自立支援法について抜本的な見直しを検討するとともに、障害者福祉基盤の充実を図る。」との条項がある。これは、障害福祉の現場の実態を考慮して、骨太の方針二〇〇六の「社会保障制度全般にわたり…給付の伸びを抑制することが必要となる。」との給付抑制・負担増の方針とは逆の方向性を指し示していると理解するが、間違いないか。それともこの理解は間違いで、連立政権合意での障害者自立支援法の抜本見直しでは、給付抑制・負担増の方向で、障害福祉基盤の充実を図るべきと考えているのか。
五 以上のように、政府与党は、医療・介護・福祉の多くの分野で、骨太の方針二〇〇六の給付抑制・負担増の方針を速やかに実行するとの立場をとっていないと考えられる。それにもかかわらず、生活保護においてのみ、骨太の方針二〇〇六に掲げられた方針を速やかに実行するとの立場に立つ理由は何か。
六 第一回検討会の資料にある、検討会開催の趣旨によれば、平成十六年十二月の「生活保護の在り方に関する専門委員会報告書」(以下「専門委員会報告書」という。)において生活扶助基準について定期的に検証する必要があることが指摘されていることが、今回の検討会開催の理由の一つとなっている。この点からしても、検討会は、専門委員会報告書の考え方を引き継ぐものであると理解して間違いないか。
七 専門委員会報告書では、「定期的な評価を次回行う際には、…被保護世帯の生活への影響等も十分調査の上、必要な見直しを検討することが求められる。」とされており、検証に際して被保護世帯の生活への影響等も十分調査する必要があるとの考えが示されているが、検討会においてこのような調査等は行ったのか。行っていない場合には、行う予定はあるのか。
八 専門委員会報告書では、「さらに今後詳細なデータによる検証を行った上、級地制度全般について見直しを検討することが必要である。」とされており、級地制度の見直しには詳細なデータによる検証を行う必要があるとの考えが示されているが、検討会において、専門委員会報告書の時点では得られていなかったような詳細なデータによる検証は行われたのか。行っていない場合には、行う予定はあるのか。
九 第二回答弁書には「検討会については、…年内にその結論が得られるよう検討していくこととしている」とあり、検討会は、十月十九日に第一回を初めて行い、その後二ヶ月程度で結論を得る予定となっている。しかし、生活扶助基準は、被保護世帯のみではなく、住民税均等割非課税基準に影響を与え、そのことを通して低所得世帯の社会保険料負担や健康保険や障害者自立支援法などの自己負担などにも波及効果をもたらすものである。また、生活扶助基準は、就学援助などの基準にも大きな影響がある。この重要な生活扶助基準について、詳細なデータを得る調査やそれに基づく検証もなく、わずか二ヶ月程度の検討で「生活扶助基準の全体水準」を見直そうとするのは、先の参議院選挙で国民が求めた生活に対する配慮を欠いたものであり、拙速と言うべきではないかと考えるが、政府の見解はいかがか。
十 生活扶助基準についての定期的な検証は不可欠であり、専門委員会報告書が指摘するように単身世帯の生活扶助基準等についての十分な検証が必要なことも事実であると考える。ただこの検証においては、拙速を戒め、被保護世帯の生活への影響等を含めた十分な調査により詳細なデータを収集し、専門家による詳細な検討を行う必要があると考えるが、政府の見解はいかがか。

 右質問する。



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