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平成十九年十二月十日提出
質問第三一六号

北方領土におけるロシアの実効支配強化に対する政府の対応に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




北方領土におけるロシアの実効支配強化に対する政府の対応に関する質問主意書


一 二〇〇七年十二月八日付の新聞によると、ロシアが不法占拠している国後島においてロシア政府が進めている港湾改修事業(以下、「港湾改修事業」という。)に、日本の企業である三興プログレス社がサハリンの建設会社であるトルード・サハリン社との間で輸出契約を結んだ鋼材が使われていること(以下、「輸出問題」という。)が明らかになったと報道しているが、右の報道の内容は事実か。「輸出問題」の詳細につき、説明されたい。
二 北方四島における我が国の企業の活動に対して、政府としてどの様な規制をかけ、指導をしているのか説明されたい。
三 「輸出問題」は我が国の国益にどのような影響を及ぼすと外務省は認識しているか。
四 我が国企業のロシア国内における経済活動に対して政府として何らかの規制がかけられ、特別な指導がなされていることはないと承知するが、では「輸出問題」の様に、当初ロシア国内の企業と契約を結び、輸出した物が北方領土へ輸送され、北方領土内で使われることに対して、政府としてどの様な認識を持ち、それを阻止すべくどの様な対策をとっているのか説明されたい。
五 「港湾改修事業」に対する外務省の認識如何。右はロシアによる北方領土の実効支配を認めるものであると外務省は認識しているか。
六 「港湾改修事業」に対して、外務省または在ロシア日本国大使館、在サハリン日本国総領事館よりロシア側に対して抗議をしたか。したのならば、@抗議をした日にち、A抗議の内容、B日本側の誰からロシア側の誰に対して抗議をしたのかの右三点を明らかにされたい。
七 六で、抗議をしていないのならば、その理由を明らかにされたい。政府が我が国の企業に対して北方領土における活動に規制をかける一方で、実際に不法占拠をしているロシアに対して抗議をしていないのならば、政府の対応として整合性がないと考えるところ、その理由を明らかにされたい。
八 「政府答弁書一」(内閣衆質一六八第八五号)では、ロシアが発給するビザを受けて北朝鮮をはじめとする外国人労働者が北方領土に入り、国後島古釜布の裁判所の建設現場で働いている問題(以下、「北方領土問題における外国人労働者問題」という。)についての実態を把握することを求めたのに対し、「外務省として外交経路を通じた申入れ等によりお尋ねの事実関係の確認に努めているところであるが、現時点で確認するに至っていない。」との答弁がなされているが、右答弁が閣議決定された本年十月十六日からほぼ二ヵ月が経った十二月十日現在、外務省による「北方領土における外国人労働者問題」の実態調査はどの程度進み、どの程度の実態を把握するに至っているか、その進捗状況を説明されたい。
九 「政府答弁書二」(内閣衆質一六八第九号)で、「北方領土における外国人労働者問題」等、ロシアによる北方四島の実効支配が進んでいる現状を鑑み、北方領土問題解決までの間、北方領土への入域を行わない旨日本国民に対して要請している一九八九年九月十九日、一九九一年十月二十九日、一九九八年四月十七日の閣議了解について、我が国の民間人による北方領土への渡航を積極的に認め、様々な活動を行う機会を作る等の見直し(以下、「閣議了解の見直し」という。)を検討する必要があるのではないかとの問いに対して、「ロシア連邦の管轄権を前提として我が国国民が北方四島に『渡航』し、及びこれらの島々において『様々な活動』を行うことは、ロシア連邦による不法占拠を認めることにほかならず、北方領土問題に関する我が国の立場とは相容れないものと認識している。」との答弁がなされている。
 それに対し、「閣議了解の見直し」を検討せず、「北方領土問題における外国人労働者問題」等ロシアによる北方四島の実効支配が強化されている現実を前に、政府は具体的にいかなる方策をとるのかとの問いに対しては、「第三国の国民等がロシア連邦の管轄権を前提として我が国固有の領土である北方四島に入域すること等は、北方領土問題に関する我が国の立場とは相容れないものと認識しているが、外務省としては、北方四島がロシア連邦により法的根拠なくして占拠されている現状において、この問題を根本的に解決するためには北方領土問題そのものを解決する必要があると考えており、ロシア連邦との間で北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下、引き続きロシア連邦政府との間で交渉する考えである。」との答弁がなされ、あくまで「閣議了解の見直し」は必要ないとの見解を政府は示している。
 しかし、現実に今回「輸出問題」が明らかになり、我が国の企業のロシア国内と北方領土内の経済活動に対して明確な区別、規制をすることが困難であることが明らかである今、右政府答弁にあるような対応では、ただいたずらにロシアによる北方四島の実効支配の強化が進むだけであり、実際政府がなんら有効な対策をとれていないことは明らかである。また、北方領土問題の原点の地である根室市は、二〇〇六年二月、「北方領土問題の解決に向けた取り組み 再構築提言書」を作成し、その中で北方領土隣接地域の復興対策の一つとして自由貿易ゾーン(経済特区)の形成を提言している。
 政府がこれまでの閣議了解の通り、我が国邦人の北方領土への渡航、また北方領土における経済活動を認めないとするなら、ロシアによる実効支配をいかにして食い止めるか、具体的な対策をとるべきであり、それができないのならば、「閣議了解の見直し」を検討する等、新たな対策をとる必要があると考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



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