質問本文情報
平成十九年十二月二十五日提出質問第三五四号
国際平和活動と安保理決議に関する質問主意書
提出者 長島昭久
国際平和活動と安保理決議に関する質問主意書
インド洋での補給支援活動を継続するか否かは、今国会の最重要課題である。この問題を論ずる際の最大の焦点は、我が国の防衛を超えて自衛隊を海外に派遣する正当性の根拠をどこに求めるかである。自衛隊の海外派遣をめぐっては、これを恒久的に規定する一般法は存在しない。したがって、アフガニスタン戦争の際にもイラク戦争の際にも、時限的な特別措置法を制定して緊急対処した。その際、つねに争点となってきたのが国連の決議である。一概に国連決議といっても、総会で採択されるものや安全保障理事会で採択されるもの、法的拘束力のあるものから政治的な宣言に過ぎないものまでその形態は一様でなく、これまでの我が国の国会において、国連決議について実質的な議論が深められたとは言いがたい。にもかかわらず、政府提出の新テロ法案でも、民主党提出の法案でも、自衛隊派遣に係る正当性の根拠を国連決議に求めている。今後、与野党間で行われる法案審議の過程で国連決議が主要な論点の一つとなることは間違いなく、この際、これまでの国会審議においてなされた国際平和活動と国連決議との関係をめぐる政府見解を改めて整理しておく意義は大きいと考える。
従って、次の事項について質問する。
二 今国会に提出された『補給支援特措法案』第一条において、「国際的なテロリズムの防止及び根絶のための取組」及びその一環としての「テロ攻撃による脅威の除去に努めることにより国際連合憲章の目的の達成に寄与する活動」が「同理事会決議第千三百六十八号、第千三百七十三号その他の同理事会決議が国際連合のすべての加盟国に対し国際的なテロリズムの行為の防止等のために適切な措置をとることを求めていること」を「受けて」行われるとはどのような意味であると政府は解釈しているか。
三 一及び二の法案における「受けて」の意味は基本的に同様の意味であると解されるのか。
四 平成二年十月十九日の衆議院予算委員会において、政府は、当時サウジアラビアに駐留していた多国籍軍は安保理決議第六百六十号の実効性確保のための役割を果たしている旨の統一見解を示したが、同活動は『国際連合平和協力法案』第三条第一号に規定されている、国連決議の実効性を確保するために国連加盟国等が行う活動(以下、「国連決議の実効性を確保するための活動」)に該当すると解していたのか。
五 平成二年十月二十六日の衆議院国際連合平和協力に関する特別委員会において、柳井条約局長は、「国連決議の実効性を確保するための活動」は、国連決議に示された「国連の意思」ないしは「国際社会の一つの統一された意思」の達成のために加盟国が判断して、協力してとる措置である旨の解釈を示した。四の政府統一見解の関連で、安保理決議第六百六十号に示され、サウジアラビア駐留の多国籍軍が達成しようとした「国連の意思」ないしは「国際社会の一つの統一された意思」とは何であると解していたか。
六 平成十九年十一月八日の衆議院テロ・イラク特別委員会において、高村外務大臣は、不朽の自由作戦の海上阻止活動は、「安保理決議による呼びかけという、国連の意思を反映した」活動である旨答弁した。ここにいう「安保理決議による呼びかけ」や「国連の意思」とは、具体的にはどのようなものを念頭に置いていたのか。
七 政府は、不朽の自由作戦の下での活動は、六の「安保理決議による呼びかけ」や「国連の意思」の達成に寄与するものであると考えているか。
右質問する。