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平成十九年十二月二十七日提出
質問第三六三号

歯科医療の向上に関する質問主意書

提出者  前原誠司




歯科医療の向上に関する質問主意書


 適切な食事を通じて健康の回復、維持、増進を図ることは、運動とともに健全な日常生活を営む上で注目され、実践されている。メタボリックシンドロームにおける歯周病予防・口腔機能維持管理は糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞の発症・重篤化を抑制し国民の健康増進、医療費抑制に寄与することが明らかになってきている。病院、介護の現場では、栄養サポートチームの取り組み、口腔ケアの取り組みなどを通じて、入院患者の平均在院日数の短縮、誤嚥性肺炎の減少をはじめ、様々な効果が報告されている。また、八〇二〇運動などによって口腔機能が高く維持されることで、総医療費が抑制されることも期待されている。健康寿命の延伸、ならびにそれに伴う総医療費の適正化に歯科医療が果たすべき役割は極めて大きいと考えられるが、歯科医療を取り巻く現状は極めて厳しい。従って、歯科医療をさらに発展させるために以下の諸点に関わる、政府の見解を問う。

一 歯の健康が、全身の健康に大きな影響を及ぼすと専門家の間では指摘されている。例えば、歯周病の予防・管理が糖尿病や動脈硬化の予防・重篤化抑制、早期低体重児出産の抑制などにつながると言われているが、政府の認識を問う。
二 平成十八年度の診療報酬改定によって、歯周病指導・管理を保険診療で行うことが困難となった。歯周疾患に係る維持管理の診療報酬上への明確な位置づけと点数化が必要と考えるが、政府の見解を問う。
三 八〇二〇(八十歳で自分の歯を二十本以上持っていること)を実現している人は、医療費用や介護費用を削減できるとの調査結果が報告されているが、政府の認識を問う。
四 国民医療費に占める歯科診療費の割合は、昭和五十六年(一九八一年)の十一.〇%を極大値として下がり続け、平成十八年(二〇〇六年)には、七.七%にまで下落した(なお差額徴収制度下[昭和三十年〜五十一年]においても、十三.〇%が八.六%となっている。最大値は昭和三十四年の十三.二%)。政府はどの程度の数値を適切と考えているのか、政府の見解を問う。
五 現在、厚生労働省には百十一名の医師が公務員として働いているのに対し、歯科医師は十三人に過ぎず、医師の約十分の一程度のレベルでしかない。歯科医師の比率を増やすべきだと考えるが、政府の見解を問う。
六 中央社会保険医療協議会(中医協)のメンバーに医師が五人いるのに対して、歯科医師は一人に過ぎない。この状況では、歯科医療の重要性を医療政策に十分反映できないのではないか。歯科医師、あるいは歯科医療の現場を知る人間の比率を高めるべきではないか。政府の見解を問う。
七 中央社会保険医療協議会が平成十九年六月に実施した「第十六回医療経済実態調査(医療機関等調査)結果速報」によると、一般診療所(個人立・無床)の収支差額が二二五.三万円(月額)であるのに対し、歯科診療所(個人立)の収支差額は一二二.九万円(月額)となっている。等しく人間の生命と健康を扱う医療機関において、約二倍の格差が付いていることを是正すべきだと考えるが、政府の見解を問う。
八 レセプトオンラインシステム導入が義務付けられることにより、コンピュータに習熟できずに廃業を余儀なくされる歯科医師が生じることが懸念される。また、機材・システムの導入により数百万円という高額の出費が予想される。オンラインシステム導入に関して、何らかの対応を政府として採るべきと考えるが、政府の見解を問う。
九 画一的な文書提出の義務化によって、歯科医師が患者と向き合う時間が奪われ、逆にコミュニケーション不足になるという皮肉な結果が生じている。一回目はまだしも、二回目以降の治療で大きな変更点がなければ義務化を外すなど、現実に即した運用をすべきだと考えるが、政府の見解を問う。
十 高齢化社会が進み、お年寄りの介護に関わるニーズは日増しに高まっている。今後、地域の「認知症サポーター」を増やす取り組みが必要となり、歯科医療従事者もその中核になりうると考えるが、歯科医師による訪問診療や、歯科衛生士による訪問衛生指導のインセンティブを高める対応を診療報酬上で採ることが必要ではないか。政府の見解を問う。
十一 平成十九年四月に施行された医療法改正によって、C型肝炎に罹っている患者に対する安全対策など、歯科医師が負うべき義務が増えたにもかかわらず、その行為は、今までの初診料・再診料に含まれ、新たな保険点数として評価されていない。診療報酬に加算させるなど、何らかの新たな対応が必要だと考えるが、政府の見解を問う。
十二 職場における歯の検診は極めて重要である。しかし、労働安全衛生法第六十六条一項は「医師による健康診断を行なわなければならない」とあるのみで、歯科の定期健診は明記されていない。そのことによって、学校保健によって培われた歯の健康は損なわれ、老人保健における対策は手遅れになってしまう。労働安全衛生法第六十六条一項は、歯科検診も含むと解釈されるのか。されないのであれば、通知・通達による努力義務ではなく、法律に明記されるべきだと考えるが、政府の見解を問う。

 右質問する。



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